今週のアップデート — エネルギー公開シンポジウムを開催(2012年11月19日)

2012年11月19日 17:30

今週のコラム

1)GEPRを運営するアゴラ研究所は、エネルギーシンポジウムを11月26、27日の両日に渡って開催します。山積する課題を、第一線の専門家を集めて語り合います。詳細は以下の告知記事をご覧ください。ご視聴をよろしくお願いします。

シンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」—11月26、27日に開催—アゴラ研究所・NHN・ニコニコ生放送

2)「原子力政策の混乱、収束策は「法治」と「国家管理化」」。元経産省・資源エネルギー庁の石川和男東京財団上席研究員の寄稿です。石川氏は政策家として、エネルギーなどさまざまな社会問題に対する提言を発表。そして、上記のアゴラ研究所、シンポジウムでもパネリストとして参加します。

現在のエネルギー政策の問題点を整理。法的手続きを踏まず混乱した現状の是正、そして原発の国有化によって、状況の混乱の収束を提言しています。

3)「福島第1原子力発電所の事故の概要と30項目の対策案」。奈良林直(ただし)北海道大学大学院工学研究院教授に、福島原発事故の分析と、原子力安全・保安院が出した指針についての解説コラムを書いていただきました。

福島の原発事故の原因については、専門家によって分析が行われています。「津波」と「全電源喪失」の対策を各電力会社、また原発メーカーは、進めています。

4)提携する国際環境経済研究所(IEEI)から、山本隆三富士常葉大学総合経営学部教授のコラム「持続可能という言葉を知らない枝野経産大臣」を紹介します。民主党政権のエネルギー政策の問題を「持続可能性」というキーワードを使い考察したものです。

今週のリンク

1)「福島第1原子力発電所の事故の概要と30項目の対策案」の詳細版。上記コラムを執筆いただいた北海道大学奈良林教授が、専門家向けにまとめたものです。

2)「平成23年度 エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)」が11月16日に公表されました。毎年、政府の政策と構想を示す重要文書ですが、今回は具体性の乏しいものになっています。政権交代、政策見直しの可能性があるためでしょう。

東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえて「原発ゼロベースで見直す」ことを明記しましたが、具体的な政策が決まっていないことから詳細な分析や提言は避けています。

また今回の白書は今年7月までを対象期間としたため、政府が9月に革新的エネルギー・環境戦略として掲げた「30年代の原発稼働ゼロ」には触れていません。

3)IEA(国際エネルギー機関)は「エネルギーアウトルック2012」(本文・(有料))(プレス向け要約

IAEAは12日にこの文章を発表しました。世界のエネルギー市場の構造変化が主要テーマでした。17年までに米国が石油・ガスの生産量で世界最大になるとの予測は、世界各国に驚きを広げています。また非在来型の石油・ガスのほか、原子力発電の抑制やエネルギー効率改善の取り組みにも言及しています。2010年版の原発利用の促進の予想から大きな転換です。

大胆な予想の背景にあるのは、頁岩(けつがん)から採掘する「シェールガス」など非在来型の石油・ガスの生産が増えている事実です。米国は30年代に、米国はエネルギー輸入が不要になる可能性にも言及しました。

一方で、35年までの原子力の発電量の伸びは、昨年発表の10年比70%超から58%に下方修正。日本やドイツなどで原発電抑制する政策の動きがあったことを反映しています。そして、日本については、液化天然ガス(LNG)の輸入増や電気料金増による経済への悪影響を指摘しています。

3)原子力安全推進協会が11月15日に設立されました。(同協会ホームページ)原子力の安全性について、業界内の知見をまとめる横断的組織で、電力会社など123社が加盟しています。

電力会社や原子力関連メーカーなどでつくる「日本原子力技術協会」(原技協)が15日廃止され、その衣替えです。昨年の福島原発事故を受けて原子力への社会的批判が起こったことへの反省踏まえたもので、新組織は「事業者の意向に左右されず、独立して原発の安全評価を行う」としています。(同協会資料

4)「原子力委員会見直しのための有識者会議」(内閣府国家戦略室)。

これまで原子力政策の立案をしてきた原子力委員会のあり方について、民主党政権は9月から再検討をしています。政治主導で国家戦略室が担当する、原子力規制庁に統合するなどの案が浮上しています。一方で経産省、文部科学省は立案組織の必要性を訴えています。経産省は「プルトニウム管理」「技術調整」の必要を訴えました。(第三回会議

5)「東電、「解散」で仕切り直す政治との間合い」日本経済新聞11月16日記事(電子版は有料)。

現在、東京電力は政府に資金支援を依頼し、国民負担をどうするかが課題になっています。総選挙が間もなく行われ、東電への対応は変るでしょうか。問題の現状を整理していますが、不透明さが強まったという趣旨の記事です。

6)「新エネルギー戦略、なぜ曲折? 古川前国家戦略相に聞く」朝日新聞11月17日記事(電子版は有料)。

混乱した「2030年代原発ゼロ」政策を、担当した古川元久前国家戦略相が語っています。重要な論点である原発立地県との交渉、さらに核物質管理について、政策検討の中で配慮していなかったことがうかがえます。不勉強さを批判されるべき政策決定の仕方です。

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