経済活動支援は「楢葉方式」で【復興進む福島5】

2015年09月24日 07:00
渡辺 清
楢葉町商工会会長(ヘルシージャパン代表)
渡辺清・楢葉町商工会会長(ヘルシージャパン代表)

商工会の会員240社のうち、町内で仕事を始めたのは土建、建設、宿泊施設など復興に関連する54社。町民を相手に商売をしていた商店は廃業も多い。いまコンビニが2店営業しているが、客のほとんどは廃炉や除染の作業員などだ。町民の売り上げは1割に満たない。

除染で膨大な国の予算が使われているが、それが町の企業にも還元する仕組みが必要だ。その点で、楢葉町で除染をしている前田・鴻池・大日本土木JVには感謝している。商工会を窓口にして話し合いの場をもって、地元で調達できるものは地元で調達する方針をとってくれた。すると企業は基礎的な売り上げが確保できるから、町に戻るようになる。この「楢葉方式」を相双地方の自治体の復興でぜひ普及してほしい。競争入札をするにしても、ポイント制で地元調達が有利になるようにしてほしい。

私の仕事はホテルや寮へのふとんのリースなど。頭が痛いのは人件費だ。大震災前は時給750円で雇えたが、今は1250円でも人がこない。派遣業者に頼むと「1500円」と言われる。会員にも従業員を雇えなくて、家族や親戚で会社を切り盛りしているところが多い。

戻ってきて住むのは50~60歳代ばかりだ。30~40歳代は子供もいるし、帰町は難しいと思う。しかし、これから5年で町は大きく変わる。われわれ50歳以上が今、前向きになってがんばって、5~10年後に若い人たちが戻ることを考える時の判断材料にならなければいけない。

楢葉にはJビレッジという「財産」がある。サッカー場を早く再開して、子供たちの大会を開いたり、オリンピック選手が合宿をしたりするようにしてほしい。すると国内外のマスコミがくる。その時に、町が立派に復興したことを世界中に発信したい。(談)

(この記事はエネルギーフォーラム9月号に掲載させているものを、同社から転載の許諾を得た。関係者の方に感謝申し上げる。)

(2015年9月24日掲載)

This page as PDF
渡辺 清
楢葉町商工会会長(ヘルシージャパン代表)

関連記事

  • 3月27日、フィンランドの大手流通グループケスコ(Kesko)は、フィンランドで6基目に数えられる新設のハンヒキヴィ(Hanhikivi)第一原発プロジェクトのコンソーシアムから脱退することを発表。同プロジェクトを率いる原子力企業フェンノヴォイマの株2%を保持するケスコは、ロイターに対して、「投資リスクが高まったものと見て脱退を決意した」と伝えた。
  • 原子力規制委員会が、JAEA(日本原子力研究開発機構)によるもんじゅの運営に対して不適切な行為が多いとして、「機構に代わってもんじゅの出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体的に特定すること」と文部科学省に対して「レッドカード」と言える勧告を突きつけた。
  • フィナンシャル・タイムズ
    英フィナンシャル・タイムズ7月19日記事。シェールガスで大量の生産が始まった米国から産出の中心である中東へガスが輸出された。エネルギーの流れが変わろうとしている。
  • 原発事故から3年半以上がたった今、福島には現在、不思議な「定常状態」が生じています。「もう全く気にしない、っていう方と、今さら『怖い』『わからない』と言い出せない、という方に2分されている印象ですね」。福島市の除染情報プラザで住民への情報発信に尽力されるスタッフからお聞きした話です。
  • 原発事故に直面した福島県の復興は急務だ。しかし同県で原発周辺の沿海にある浜通り地区でそれが進まない。事故で拡散した放射線物質の除染の遅れが一因だ。「被ばく水準を年1ミリシーベルト(mSv)にする」という、即座の実現が不可能な目標を政府が掲げていることが影響している。
  • 原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査に合格して、九州電力の川内原発が再稼動した。この審査のために原発ゼロ状態が続いていた。その状態から脱したが、エネルギー・原子力政策の混乱は続いている。さらに新規制基準に基づく再稼動で、原発の安全性が確実に高まったとは言えない。
  • アゴラ研究所の運営するネット放送「言論アリーナ」。11月29日放送分は「政治の失敗のツケを新電力に回す経産省」というテーマで、今行われている東電福島事故の処理、電力・原子力再編問題を取り上げた。
  • 4月30日に、筆者もメンバーとして参加する約束草案検討ワーキングにおいて、日本の温暖化目標の要綱が示され、大筋で了承された。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑