米国民は温暖化対策より石油増産を望んでいる

Philippe Fritsch/iStock
ウクライナ戦争の影響を受けて、米国でもエネルギー価格が高騰し、インフレが問題となっている。
ラムスセン・レポート社が発表した世論調査によると、米国の有権者は気候変動よりもエネルギーコストの上昇を懸念していることがわかった。(ブライトバート記事、世論調査の詳細)
調査結果を紹介しよう:
Q1. 今後100年以内に、気候変動が人間や動植物に壊滅的な打撃を与える可能性はどの程度ですか?
30% 非常に高い
20% ややありそう
18% あまり可能性がない
24% まったく可能性がない
8% よくわからない
Q2. エネルギーやガソリンの価格上昇について、どの程度懸念していますか?
60% 非常に心配している
22% やや心配
10% あまり心配していない
4% 全く心配していない
4% よくわからない
Q3. あなたは、米国における石油・天然ガスの採掘を劇的に増加させる法律に、強く賛成しますか、やや賛成ですか、やや反対ですか、強く反対ですか?
43% 強く賛成
17% やや賛成
14% やや反対
16% 強く反対する
11% わからない
Q4. エネルギー価格低減のための石油・ガス採掘の拡大と、気候変動抑制のための二酸化炭素排出抑制のどちらを議会とバイデン大統領は重視すべきとお考えですか?
52% 石油とガスの採掘を増やす
34% 二酸化炭素の排出を制限する
6% その他
9% わからない
米国なので、例によって共和党と民主党の支持者で意見は真っ二つに分かれる傾向にはあるが、それにしても、エネルギー価格の高騰(Q2)、石油・ガスの採掘を増やすべきこと(Q3)、それを気候変動抑制より優先すべきこと(Q4)については、過半数の支持があることが注目される。
民主党支持者であっても、少なからぬ人々が、石油・ガスの増産を気候変動抑制よりも望んでいるということだ(党派別の内訳について詳しくは調査報告に譲る)。
■
関連記事
-
2024年7月24日各新聞に「原発の建設費を電気料金に上乗せ、経産省が新制度け検討 自由化に逆行(朝日新聞デジタル)」などの報道がありました。 一方、キヤノングローバル戦略研究所杉山大志氏の「電気代が高い理由は3つ:みん
-
加速するドイツ産業の国外移転 今年6月のドイツ産業連盟(BDI)が傘下の工業部門の中堅・中手企業を相手に行ったアンケート調査で、回答した企業392社のうち16%が生産・雇用の一部をドイツ国外に移転することで具体的に動き始
-
オーストラリア海洋科学研究所が発表した、グレートバリアリーフのサンゴの被覆面積に関する最新の統計は、グレートバリアリーフの滅亡が間近に迫っているという、60年にわたる欠陥だらけの予測に終止符を打つものだ ピーター・リッド
-
実は、この事前承認条項は、旧日米原子力協定(1988年まで存続)にもあったものだ。そして、この条項のため、36年前の1977年夏、日米では「原子力戦争」と言われるほどの激しい外交交渉が行われたのである。
-
パリ協定を受けて、炭素税をめぐる議論が活発になってきた。3月に日本政府に招かれたスティグリッツは「消費税より炭素税が望ましい」と提言した。他方、ベイカー元国務長官などの創立した共和党系のシンクタンクも、アメリカ政府が炭素
-
COP28が11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される。そこで注目される政治的な国際合意の一つとして、化石燃料の使用(ならびに開発)をいつまでに禁止、ないしはどこまで制限するか(あるいはできないか)と
-
はじめに アメリカがプルトニウムの削減を求めてきたとの報道があってプルトニウムのことが話題になっている。まず、日本がなぜプルトニウムを生産するのかを説明する。もちろん、高速炉が実用化されたらプルトニウムを沢山使うようにな
-
政府「クリーンエネルギー戦略」中間整理が公表された。岸田首相の肝いりで検討されてきたものだ。 紆余曲折の末、木に竹をつなぐ もともと、この「クリーンエネルギー戦略」は、脱炭素の投資を進めるべく構想されたものだった。これは
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間


















