気候モデルはアメリカも暑すぎる
![](https://agora-web.jp/cms/wp-content/uploads/2022/10/iStock-1410094708-660x341.jpg)
Tr6/iStock
地球温暖化予測に使う気候モデルは、上空(対流圏下部)の気温も海水面温度も高くなりすぎる、と言う話を以前に書いた。
今回は地上気温の話。米国の過去50年について、観測値(青)とモデル計算(赤)の夏(6月から8月)の気温を比較したら、殆どのモデルは暑くなり過ぎていた。(図)
気温上昇率は観測だと10年あたり0.26℃だったが、モデル計算ではその3倍近くの0.71℃というものまであった。
米国では、地球温暖化による高温で干ばつになったり山火事が起きるといった話がよくあるが、その多くはこのようなモデルに基づいたシミュレーションの結果だ。
なおこの米国の地上観測値のデータセットには、都市化の影響が少なからず混在しているとみられるので、実際にはモデルの過大評価はもっと深刻であろう。
■
『キヤノングローバル戦略研究所_杉山 大志』のチャンネル登録をお願いします。
![This page as PDF](https://www.gepr.org/wp-content/plugins/wp-mpdf/pdf.png)
関連記事
-
先進国ペースで交渉が進んできたことへの新興国の強い反発――。最大の焦点だった石炭火力の利用を巡り、「段階的廃止」から「段階的削減」に書き換えられたCOP26の合意文書。交渉の舞台裏を追いました。https://t.co/
-
翻って、話を原子力平和利用に限ってみれば、当面の韓米の再処理問題の帰趨が日本の原子力政策、とりわけ核燃料サイクル政策にどのような影響を及ぼすだろうか。逆に、日本の核燃料サイクル政策の変化が韓国の再処理問題にどう影響するか。日本ではこのような視点で考える人はあまりいないようだが、実は、この問題はかなり微妙な問題である。
-
日本に先行して無謀な脱炭素目標に邁進する英国政府。「2050年にCO2を実質ゼロにする」という脱炭素(英語ではNet Zeroと言われる)の目標を掲げている。 加えて、2035年の目標は1990年比で78%のCO2削減だ
-
はじめに 本記事は、エネルギー問題に発言する会有志4人(針山 日出夫、大野 崇、小川 修夫、金氏 顯)の共同作成による緊急提言を要旨として解説するものである。 緊急提言:エネルギー安定供給体制の構築を急げ!~欧州発エネル
-
このコラムでは、1986年に原発事故の起こったチェルノブイリの現状、ウクライナの首都キエフにあるチェルノブイリ博物館、そして私がコーディネートして今年6月からこの博物館で行う福島展について紹介したい。
-
先週、アップルがEV開発を中止するというニュースが世界中を駆け巡りました。EVに関してはベンツも「30年EV専業化」戦略を転換するようです。国レベルでも2023年9月に英スナク首相がEV化を5年遅らせると発表しました。
-
NRCは同時多発テロの8年後に航空機落下対策を決めた 米国は2001年9月11日の同時多発テロ直後、米国電力研究所(EPRI)がコンピュータを使って解析し、航空機が突入しても安全は確保されると評価した。これで仮に、同時多
-
7月15日、ウィスコンシン州ミルウオーキーで開催された共和党全国党大会においてトランプ前大統領が正式に2024年大統領選に向けた共和党候補として指名され、副大統領候補としてヴァンス上院議員(オハイオ)が選出された。 同大
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間