今週のアップデート — 原発再稼動、迫られる実行(2012年5月28日)
日本では原発の再稼動が遅れているために、夏の電力不足の懸念が広がっています。菅直人前首相が、政治主導でストレステストと呼ばれるコンピュータシュミレーションを稼動の条件としました。それに加えて全国の原発立地県の知事が、地方自治体の主張が難色を示していることが影響しています。
5月中に再稼動の道筋をつけなければ、夏は電力不足が懸念される関西で、停電の可能性が高まります。関心を集める原発再稼動についての意見を紹介します。もちろん、どの立場の意見もGEPRは尊重します。
今週のコラム
1) GEPRを運営するアゴラ研究所の池田信夫所長は「政府は違法な原発の運転妨害をやめよ」を寄稿しました。再稼動については、経産大臣が許認可で実施できるにもかかわらず、それを実行していないと指摘し、それは違法であると主張します。速やかな再稼動を求めています。
2) グロービス経営大学院学長である堀義人氏に「原発再稼働、政治リーダーは逃げずに決断せよ!」を寄稿いただきました。堀氏は原発停止により日本の経済に負担が増える状況を指摘。一方で、世論からの批判を恐れて経済界が沈黙をせざるを得ない状況を説明します。政治リーダーはこの状況を直視し、逃げずに再稼動についての政治決断をすることを、論考で迫ります。
3) GEPRは再稼動問題についての識者の論考をこれまで紹介してきました。皆様の思索の参考にしてください。
「原発再稼動、対話不足ミスの修正を =安定供給を全国民が考えるとき ― 政策家・石川和男氏に聞く(上)」
「再稼動に向けて−政府と原子力コミュニティの宿題」(澤昭裕 NPO法人国際環境経済研究所所長)
4) 低線量の放射線を長期にわたって照射した場合に、どのような影響があるのでしょうか。新しい研究が2つ発表されており、その解説をGEPRに協力する科学者が提供します。「低線量被ばくに健康への影響はあるのか?—MITレポートと放影研LSS第14報の解説」
5)GEPRはNPO法人国際環境経済研究所(IEEI)
と提携し、相互にコンテンツを共有しています。民間有志からつくる電力改革研究会のコラム「評価が分かれるテキサス州の電力自由化−新規参入は活発だが、価格は上昇。最近は輪番停電も」を提供します。米国の成功例とされるテキサスの自由化の状況を紹介。成果と問題の双方が起こっている事実を伝えています。
今週のリンク
1) 再稼動問題について、全国紙のうち、読売、産経、日経の各紙はその実施を主張しています。直近では、日経は再稼動の政治決断を主張しています。「首相は前に出て原発再稼動の判断を急げ」(5月28日)
2)英国の科学誌ネイチャーが「福島の放射線の現状」 というリポートを出しています。福島の現状について、大量に被ばくした一般市民はいない。また100mSv以上を被曝した原発の作業員約160名について発がんなどの健康被害の懸念はあるが、あったとしても、その影響はかなり小さいという事を指摘しました。
ネイチャーは東日本大震災と福島第一原発事故の分析ページを開設し、関係する情報を公開しています。
3)世界保健機関( WHO)は「2011年の東日本大震災、津波による原発事故の放射線についての予備的な評価」(New report gives preliminary dose estimation from Fukushima nuclear accident )を5月23日公表しました。原発事故による放射線量について日本の放射線量の増加は0.1−1mSv以下であるなどの、事実を世界に伝えています。
4)今回紹介したMITの論文、また放射線影響研究所のリンクは、GEPRの論文集に紹介してあります。GEPRは社会に役立つ知見を、世の中に提供していきます。
関連記事
-
トランプ次期政権による「パリ協定」からの再離脱が噂されている中、我が国では12月19日にアジア脱炭素議員連盟が発足した。 この議連は、日本政府が主導する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想をさらに推進させ、
-
5月13日に放送した言論アリーナでも話したように、日本では「原子力=軽水炉=福島」と短絡して、今度の事故で原子力はすべてだめになったと思われているが、技術的には軽水炉は本命ではなかった。1950年代から「トリウム原子炉の道?世界の現況と開発秘史」のテーマとするトリウム溶融塩炉が開発され、1965年には発電を行なった。理論的には溶融塩炉のほうが有利だったが、軽水炉に勝てなかった。
-
1.はじめに 雑誌「選択」の2019年11月号の巻頭インタビューで、田中俊一氏(前原子力規制委員会(NRA)委員長)は『日本の原発はこのまま「消滅」へ』と題した見解を示した。そのなかで、日本の原子力政策について以下のよう
-
COP26において1.5℃目標、2050年カーボンニュートラルに向けて強い政治的メッセージをまとめあげた英国であるが、お膝元は必ずしも盤石ではない。 欧州を直撃しているエネルギー危機は英国にも深刻な影響を与えている。来春
-
日本経済新聞12月9日のリーク記事によると、政府が第7次エネルギー基本計画における2040年の発電量構成について「再生可能エネルギーを4~5割程度とする調整に入った」とある。 再エネ比率、40年度に「4~5割程度」で調整
-
(前回:米国の気候作業部会報告を読む⑦:災害の激甚化など起きていない) 気候危機説を否定する内容の科学的知見をまとめた気候作業部会(Climate Working Group, CWG)報告書が2025年7月23日に発表
-
昔は“正確”が自慢だったドイツ鉄道が、今ではその反対で、“不正確”の代名詞になってしまった。とにかく遅延の度合いが半端ではない。 ヨーロッパの遠距離列車は国境を超えて相互に乗り入れているケースが多く、周辺国ではドイツから
-
本年1月11日、外電で「トランプ大統領がパリ協定復帰の可能性を示唆した」との報道が流れた。例えばBBCは”Trump says US ‘could conceivably’ rejoin Pari
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















