中国は石炭大増産でCOP26期間中に過去最高を更新

Philippe Fritsch/iStock
あまり報道されていないが、CO2をゼロにするとか石炭火力を止めるとか交渉していたCOP26の期間中に中国は石炭を大増産して、石炭産出量が過去最大に達していた。中国政府が誇らしげに書いている(原文は中国語、邦訳は筆者)。
国家発展改革委員会は11月11日、石炭の生産と供給を増やすための措置が引き続き実施されるにつれて、高品質の石炭生産能力がさらに解き放たれると報告した。石炭生産は急速に回復し、増加した。11月10日には、1日あたりの石炭生産量が過去最高の1,205万トンに達し、前回のピークから12万トン増加した。その中でも、山西省、陝西省、新疆ウイグル自治区などの石炭生産量は、すべて過去最高を記録した。これは国のエネルギー供給を確保し価格を安定させる活動の強固な基盤となる。
中国は昨年末以来、石炭不足と電力不足に悩んでおり、政府は必死になって石炭増産を奨励している(参考 九州大学堀井准教授と筆者の対談動画 および対談記事)。その成果が出てきたということだ。
じつはこの中国の石炭大増産のお陰で、世界全体で進行しているエネルギー危機も緩和される訳で、光熱費の上昇とインフレ懸念で悩みを深めている世界各国政府にとってもこれは朗報なのだ。
バラマキ財政でインフレ懸念を招き「バイデンフレーション」と揶揄されているバイデン大統領も例外ではない。
ボリス・ジョンソン英首相はCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」は石炭の終焉をもたらす、などと発言したが、これが世界の現実だ。
その英国でもガス・電気の価格が高騰し大問題になっているが、中国の石炭増産のお陰でこれも少しは緩和しそうだ。
■
関連記事
-
秋田県八峰町・能代市沖の洋上風力も採算が厳しい 2021年6月16日付の地元紙『北羽新報』によると、洋上風力入札の第2ラウンドで秋田県八峰町・能代市沖の開発権を落札したENEOSリニューアブルエナジー(旧ジャパンリニュー
-
本年1月17日、ドイツ西部での炭鉱拡張工事に対する環境活動家の抗議行動にスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリが参加し、警察に一時身柄を拘束されたということがニュースになった。 ロシアからの天然ガスに大きく依存して
-
17の国連持続可能目標(SDGs)のうち、エネルギーに関するものは7番目の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」である。 しかし、上記の資料は国連で採択されたSDGsの要約版のようなものであり、原文を見ると、SDG7は
-
6月27日から30日にかけて、東京電力管内では広域ブロック予備率が5%を切る時間帯が生じると見込まれ、政府より「需給ひっ迫注意報」が発出された。SNS上では「かつてはこのようなことは起きなかった」「日本の電力の安定供給体
-
はじめに 2025年11月、第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)がブラジル・ベレンで開催され、各国は「ネットゼロ」「脱炭素」を合言葉に巨額の資金と政治的エネルギーを費やしました。COP30が閉幕し、世界は
-
トランプ大統領は、かなり以前から、気候変動を「いかさま」だと表現し、パリ協定からの離脱を宣言していた。第2次政権でも就任直後に一連の大統領令に署名し、その中にはパリ協定離脱、グリーンニューディール政策の終了とEV義務化の
-
アゴラ研究所の運営するエネルギー研究機関GEPRはサイトを更新しました。
-
前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。 今回のテーマは食料生産。以前、要約において1つだけ観測の統計があったことを書いた。 だが、本文をいくら読み進めても、ナマの観測の統計がとにかく示
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















