小池都知事が伊豆諸島を洋上風力で環境破壊とCOPで宣言
アゼルバイジャンで開催されている国連気候会議(COP29)に小池東京都知事が出張して伊豆諸島に浮体式の(つまり海に浮かべてロープで係留する)洋上風力発電所100万キロワットの建設を目指す、と講演したことが報道された。
伊豆諸島に洋上風力発電導入へ…小池都知事がCOP29で方針強調
どんな発言をしたのか調べてみたが東京都はまとめていないようだ。
なので、実際に何を話したのかは突き止められなかった(誰か知っていたら教えてください)。
それにしてもこの構想、ちょっと聞いただけですぐに問題だらけだ。
【景観】
伊豆諸島は富士箱根伊豆国立公園の一部であり、しかも風光明媚な観光地で、多くの人々が自然の癒しを求めて訪れる。ビーチに行っても、100万キロワットもの風車が林立していれば、台無しではないのか? 少なくとも私は1本も見たくない。
【浮体式という技術】
冒頭の記事では「都によりますと、浮体式の洋上風力で現在稼働しているものは、世界的にみても現時点では0.1GW程度にとどまっているということで、都が目指すGW級の浮体式洋上風力発電が実現すれば世界最大となります」とのことだ。つまり、浮体式の洋上風力発電というのは、まだ実証途上の技術に過ぎない。なぜそれを1GW、つまり100万キロワットも建設する計画を建てるのか? それに伊豆諸島は台風も多いし海流も早い。
【送電線】
100万キロワットの風力発電は伊豆諸島では消費しきれない。だから本土まで送電線を引かねばならないが、深い海が横たわっている。海底に送電線を引くことは出来るのか? 仮に出来るとして、コストは?
【費用】
浮体式の洋上風力はとても高くつく。送電線まで含めれば、なおさらだ。伊豆諸島まで行って工事するなら、ますますコストは膨らむ。離島では、何をするにもコストが嵩むのだ。誰が、いくら負担するのだろうか?
小池知事は「東京都再エネ実装専門家ボード」で「専門家」に意見を聞いてこの構想に至ったというが、いったいどんな専門家やら・・。
上記の問題点を少しでも考えたのだろうか。
この構想(というより妄想)、まずは机上で検討してみて、結果を都民に公開し、ダメ出しをされたらさっさと諦めるべきだ。住宅の太陽光パネル義務付けはゴリ押しで条例を通してしまったが、まさか同じことをするのではないかと危惧する。
■

関連記事
-
笹川平和財団が発表した「プルトニウム国際管理に関する日本政府への提言」が、原子力関係者に論議を呼んでいる。これは次の5項目からなる提言である。 プルトニウム国際貯蔵の追求:「余剰」なプルトニウムを国際原子力機関(IAEA
-
札幌医科大学教授(放射線防護学)の高田純博士は、福島復興のためび、その専門知識を提供し、計測や防護のために活動しています。その取り組みに、GEPRは深い敬意を持ちます。その高田教授に、福島の現状、また復興をめぐる取り組みを紹介いただきました。
-
再生可能エネルギーの導入拡大に向けてさまざまな取組みが行われているが、これまでの取組みは十分なものといえるのだろうかというのが、今回、問題提起したいことです。そのポイントは以下のようになります。
-
熊本県、大分県など、九州で14日から大規模地震が続いている。1日も早い復旧と被災者の方の生活の回復を祈りたい。この地震でインフラの復旧の面で日本の底力に改めて感銘を受けた。災害発生1週間後の20日に、電力はほぼ全戸に復旧、熊本県内では都市ガス、水道は9割以上が復旧した。
-
自民党河野太郎衆議院議員は、エネルギー・環境政策に大変精通されておられ、党内の会議のみならずメディアを通じても積極的にご意見を発信されている。自民党内でのエネルギー・環境政策の強力な論客であり、私自身もいつも啓発されることが多い。個人的にもいくつかの機会で討論させていただいたり、意見交換させていただいたりしており、そのたびに知的刺激や新しい見方に触れさせていただき感謝している。
-
日本では原発の再稼動が遅れているために、夏の電力不足の懸念が広がっています。菅直人前首相が、政治主導でストレステストと呼ばれるコンピュータシュミレーションを稼動の条件としました。それに加えて全国の原発立地県の知事が、地方自治体の主張が難色を示していることが影響しています。
-
中国のCO2排出量は1国で先進国(米国、カナダ、日本、EU)の合計を追い越した。 分かり易い図があったので共有したい。 図1は、James Eagle氏作成の動画「China’s CO2 emissions
-
私は原子力発電の運用と安全の研究に、およそ半世紀関わってきた一工学者です。2011年3月の東京電力福島第一原発事故には、大変な衝撃を受け、悲しみを抱きました。自分は何ができなかったのか、自問と自省を続けています。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間