今週のアップデート - チェルノブイリ事故の今(2014年11月25日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1) チェルノブイリ原発事故、現状と教訓(上)-日本で活かされぬ失敗経験
2) チェルノブイリ原発事故、現状と教訓(下)-情報公開で誤情報の定着を避けよ
GEPRの編集者である石井孝明が、1986年に起こったチェルノブイリ原発を出版社ゲンロンのツアーで訪問しました。福島原発事故への教訓を引き出すという視点から、現地の情報を整理。さらに事故処理にかかわった技術者と話し合いました。
チェルノブイリで起こった不必要なコスト、デマや恐怖による社会混乱は、福島事故後の日本でよく似た形で起こっています。そうした失敗を繰り返してはならないと訴えています。
今週のリンク
1)(再掲載)ロシア政府報告書「チェルノブイリ事故25年 ロシアにおけるその影響と後遺症の克服についての総括および展望1986~2011」より、最終章「結論」
GEPR掲載。ロシア連邦 民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省が2011年にまとめた報告書の日本語訳です。チェルノブイリでは社会混乱が、健康や経済に悪影響を及ぼしたという報告です。こうしたリスクを警戒すべきとの分析です。
GEPR掲載。IAEA(国際原子力機関)など国際8機関、ロシア、ベラルーシ、ウクライナの3カ国の報告です。放射線被害の健康被害の全貌は不明なものの、現在のところ甲状腺がんと、事故処理作業員に限定されていると、紹介しています。
3)(再掲載)現地を見よう、危険と切り捨てるな -「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」を語る(上)
福島原発観光でイメージ回復を ―「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」を語る(下)
GEPR掲載。思想家で東浩紀氏と、政策家の石川和男氏の対談です。今回紹介したチェルノブイリツアーは、東氏の福島の観光地化計画の構想を背景に行われました。
日経BP10月17日記事。米誌ナショナルジオグラフィックの転載です。チェルノブイリ地区が段階的に開放され、多くの人が観光に訪れるようになったことを紹介しています。
アゴラチャンネル11月14日放送。原子力に関係する研究者などの民間有志が集まって、原子力の未来を多角的に考える原子力国民会議という団体の紹介。12月4日に東京中央集会を開催します。(ホームページ)主要メンバーである諸葛宗男(NPO法人パブリック・アウトリーチ上席研究員)、澤田哲生(東京工業大学原子炉工学助教)の両氏に登場いただきました。

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1986年に世界を震撼させたチェルノブイリ原発事故。筆者は14年11月に作家の東浩紀氏が経営する出版社のゲンロンが主催したツアーを利用して事故現場を訪問し、関係者と話す機会を得た。福島原発事故を経験した日本にとって学ぶべき点がたくさんあった。そこで得た教訓を紹介したい。
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7月6日記事。クリントン氏はオバマ大統領の政策を堅持し、再エネ支援などを主張する見込みです。
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