今週のアップデート — 放射能の恐怖を考え直す(2014年1月14日)

2014年01月14日 14:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク、GEPRはサイトを更新しました。

今回は新年初の更新となります。新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

GEPRは2012年1月の開設以来、エネルギーの専門家、論文、研究の紹介を、中立的視点から重ねてきました。(設立趣旨

13年は250万ビューの閲覧数がありました。さらに昨年12月にはシンポジウムを実施しました。

アゴラ研究所は、今年もこのプロジェクトを継続して進めます。読者の皆さまには閲覧、また情報の活用、投稿などをお願いいたします。

今週のアップデート

1)人類の放射能への恐怖は間違っている【講演】

アゴラ研究所は昨年12月8日に、シンポジウム「持続可能なエネルギー戦略を考える」を、東京工業大学(同)で開催しました。

プログラム)(紹介記事)(映像第1セッション・放射能のリスクを考え直す)(映像第2セッション・原発ゼロは可能か

そこで行われたウェイド・アリソン オックスフォード大学名誉教授(物理学)の基調講演の要旨を紹介します。放射能のリスクを冷静に考えようという呼びかけです。

2)パニック(下)— 米政府は危険認定のミスをした

アゴラシンポジウムにパネリストとして出席した米国のジャーナリストのポール・ブルースタインさんの論考です。

全3回で()、()から続きます。米政府の過剰なリスク評価が日本に悪影響を与えたという指摘です。

3)電力料金値上げの影響は、1か月あたりコーヒー1杯程度なのか?

提携する国際環境経済研究所(IEEI) の論考です。電力料金値上げが、今年までに沖縄電力以外の全国で行われます。原発の停止などが影響しています。その影響が産業を直撃し、見た目より大きくなっているという分析です。

今週のリンク

1) 東電、政府に新再建計画を提出

ロイター通信13年12月27日記事。福島原発事故を起こした東京電力が、新再建計画をつくりました。多くの人が唱える破綻処理ではなく、自力再建、分社化を目指しています。

2)資金援助額の変更の申請(5回目)

東京電力ホームページ。13年12月27日公表資料。福島原発事故処理に伴う同社の累計の国への資金援助申請は4兆7800億円の巨額になりました。もちろん、事故処理、賠償が必要ですが、その内容の精査が必要な状況です。

3) 亡国の輩よ、「原発ゼロ」の話はやめよう

プレジデントオンライン、12月30日号記事。小泉首相の首相秘書官だった、飯島勲内閣府特別参与の寄稿です。タイトルは過激ながら、常識的な主張です。そして彼が政権の中枢にいる事実も注目されるべきでしょう。

4)再稼動って何?

池田信夫アゴラ研究所所長のアゴラへの寄稿。原子力規制委員会、国の政策が、法律に基づかず、おかしな状況で行われている現状を、解説しています。

5)日米原子力同盟史

共同通信の特集記事。太田昌克編集委員執筆のルポルタージュ。日本の核燃料サイクルの歴史が、米国との密接な関係の中で成立してきたことが分かります。(連載中)

6) 気候変動政策、2030年の目標でEU内で対立 

英紙ガーディアン、1月10日記事。原題は「EU commissioners clash over 2030 climate goals」毎年のことですが、EU(ヨーロッパ連合)の気候変動をめぐる政策の激しい議論が行なわれています。今回のテーマは2030年の目標。炭素の削減目標を35%にするか40%にするか。再生可能エネルギーの比率の引き上げを20%台のどれに落とすかが議論の焦点です。

This page as PDF

関連記事

  • 福島第一原発(資源エネルギー庁サイトより)
    ネット上で、この記事が激しい批判を浴びている。朝日新聞福島総局の入社4年目の記者の記事だ。事故の当時は高校生で、新聞も読んでいなかったのだろう。幼稚な事実誤認が満載である。 まず「『原発事故で死亡者は出ていない』と発言し
  • 東日本大震災を契機に国のエネルギー政策の見直しが検討されている。震災発生直後から、石油は被災者の安全・安心を守り、被災地の復興と電力の安定供給を支えるエネルギーとして役立ってきた。しかし、最近は、再生可能エネルギーの利用や天然ガスへのシフトが議論の中心になっており、残念ながら現実を踏まえた議論になっていない。そこで石油連盟は、政府をはじめ、広く石油に対する理解促進につなげるべくエネルギー政策への提言をまとめた。
  • 福島第一原発の事故は我国だけでなく世界を震撼させた。電力会社に在籍したものとして、この事故の意味を重く受け止めている。
  • デモクラシーの歴史は長くない。それを古代ギリシャのような特権階級の自治制度と考えれば古くからあるが、普通選挙にもとづく民主政治が世界の主流になったのは20世紀後半であり、それによって正しい意思決定ができる保証もない。特に
  • 立春が過ぎ、「光の春」を実感できる季節になってきた。これから梅雨までの間は太陽光発電が最も活躍する季節となるが、再エネ導入量の拡大とともに再エネの出力制御を行う頻度が多くなっていることが問題となっている。 2月6日に行わ
  • 検証抜きの「仮定法」 ベストセラーになった斎藤幸平著『人新世の「資本論」』(以下、斎藤本)の特徴の一つに、随所に「仮定法」を連発する手法が指摘できる。私はこれを「勝手なイフ論」と命名した。 この場合、科学的な「仮説」と「
  • 米ニューヨーク・タイムズ、および独ARD(公営第1テレビ)などで、3月7日、ノルドストリームの破壊は親ウクライナ派の犯行であると示唆する報道があった。ロシアとドイツを直結するバルト海のガスパイプラインは、「ノルドストリー
  • 福島の原発事故では、原発から漏れた放射性物質が私たちの健康にどのような影響を与えるかが問題になっている。内閣府によれば、福島県での住民の年間累積線量の事故による増加分は大半が外部被曝で第1年目5mSv(ミリシーベルト)以下、内部被曝で同1mSv以下とされる。この放射線量では健康被害の可能性はない。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑