今週のアップデート - 反発する原油相場の先行きは?(2016年6月27日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
著名な商品アナリストで、投資家の江守哲氏に寄稿いただきました。その主張は需給過剰感が解消する中で、相場のトレンドは緩やかな上昇になるという見方で、説得力があるでしょう。ただし英国EU離脱の影響が、現時点では読み切れないという指摘です。
エネルギーアナリストの岩瀬昇氏とGEPRの編集者であるジャーナリストである石井孝明の対談です。元商社マンで、原油ビジネスに関わってきた岩瀬氏に、14年秋からの下落、16年2月からの反発の問題について、理由をうかがいました。また原油価格の相場観の作り方も聞きました。
英国が6月23日、EUからの離脱を国民投票で決めました。これをめぐるエネルギー・環境政策の問題をまとめました。英国はEUの環境政策をリード、またロンドンはエネルギービジネスの中心です。今後の動きはどうなるのでしょうか。
今週のリンク
1)石油の新経済学
BP資料。2015年10月公開。スーパーメジャーBPの調査部門のトップ、スペンサー・デール氏の講演です。石油のシェア低下、横ばいを指摘。ピーク・オイル(石油生産のピークの終焉)の可能性は減りつつあり、なかなか枯渇しないこと。「デマンド・ピーク」、つまり需要抑制による使用減があり得ることを、指摘しています。
ロイター通信6月17日記事。国民投票前の記事ですが、仮に離脱の場合にはエネルギーセクターが、大変な悪影響を受けるという見通しを示しています。
石川和男氏(政策アナリスト)。6月26日ハフィントンポスト。以前規制委員会の委員だった島崎邦彦氏が、関電の大飯原発の差し止め訴訟に、原告の反原発運動家から陳述書を出し、基準地震動の算定見直しを主張。彼から規制委が意見を聞いたという内容を、批判的に解説しています。原子力規制をめぐる意見表明の適正手続きが決められていないため、このように思いつきのように、意見が採用されます。これは問題です。
読売新聞6月25日記事。バイデン副大統領が、米国でのインタビューで、習近平中国国家主席に、このような警告をしたと発言しました。もちろん本音は中国への牽制でしょうが、米国の警戒感もうかがえます。
日経ビジネス6月21日記事。ドイツ在住の日系ビジネスコンサルタントの寄稿。筆者は再エネ拡充と脱原発を評価する立場のようですが、それでも多くの問題を抱えていることを指摘しています。中でも電力料金の上昇と、電力配電系統の未整備の問題です。

関連記事
-
今月末からCOP26が英国グラスゴーで開催される。もともと2020年に開催予定だったものがコロナにより1年延期しての開催となったものである。 英国はCOP26の開催国となった時点から鼻息が荒かった。パリ協定の実施元年にあ
-
昨年の福島第一原子力発電所における放射性物質の流出を機に、さまざまなメディアで放射性物質に関する情報が飛び交っている。また、いわゆる専門家と呼ばれる人々が、テレビや新聞、あるいは自らのブログなどを通じて、科学的な情報や、それに基づいた意見を発信している。
-
評価の分かれるエネルギー基本計画素案 5月16日の総合資源エネルギー調査会でエネルギー基本計画の素案が了承された。2030年の電源構成は原発20-22%、再生可能エネルギー22-24%と従来の目標が維持された。安全性の確
-
前回の投稿においてG20エネルギー移行大臣会合の合意失敗について取り上げたが、その直後、7月28日にチェンナイで開催されたG20環境・気候・持続可能大臣会合においても共同声明を採択できす、議長サマリーを発出して終了した。
-
私は原子力の研究者です。50年以上前に私は東京工業大学大学院の原子炉物理の学生になりました。その際に、まず広島の原爆ドームと資料館を訪ね、原子力の平和利用のために徹底的に安全性に取り組もうと決心しました。1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故は、私の具体的な安全設計追求の動機になり、安全性が向上した原子炉の姿を探求しました。
-
かつて省エネ政策を取材したとき、経産省の担当官僚からこんなぼやきを聞いたことがある。「メディアの人は日本の政策の悪い話を伝えても、素晴らしい話を取材しない。この仕事についてから日本にある各国の大使館の経済担当者や、いろんな政府や国際機関から、毎月問い合わせの電話やメールが来るのに」。
-
菅首相の16日の訪米における主要議題は中国の人権・領土問題になり、日本は厳しい対応を迫られると見られる。バイデン政権はCO2も重視しているが、前回述べた様に、数値目標の空約束はすべきでない。それよりも、日米は共有すべき重
-
日本の電力料金は高い、とよく言われる。実際のところどの程度の差があるのか。昨年8月に経済産業省資源エネルギー庁がHPに掲載した資料によれば、為替レート換算、購買力平価換算とも2000年時点では、日本の電力料金は住宅用・産業用とも他国と比較して非常に高かった。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間