G7の強制労働排除で太陽光ショックが勃発する
G7貿易相会合が開かれて、サプライチェーンから強制労働を排除する声明が発表された。名指しはしていないが、中国のウイグル新疆自治区における強制労働などを念頭に置いたものだとメディアは報じている。
ところで、これらの国内の報道では何故か書いていないが、声明を読むと、太陽光発電は農産物、衣料品と並んで、名指しになっている。
おおむね、世界の太陽光発電の8割は中国製であり、半分は新疆ウイグル自治区で生産されていることは以前に述べた(図)。残念ながら、太陽光発電の現状は、屋根の上のジェノサイドと呼ぶべきおぞましい状況にある。

図 結晶シリコンの世界市場シェア。ヘレナ・ケネディーセンター報告による
今後は、新疆ウイグル自治区からの巨大な太陽光パネルの供給が消滅するのだろうか? だとすると、価格は暴騰して、かつての石油ショックならぬ、太陽光ショックが起きるのだろうか。

HadelProductions/iStock
さて日本では、菅政権時に検討されたエネルギー基本計画が岸田政権によって閣議決定され、再生可能エネルギーは最優先で大量導入されることになった。この方針は、イギリスで月末から開催される国連の気候会議でも発表され、国際公約のような扱いになるであろう。
でも、いったいどうやって、それを強制労働排除と両立するのか。これまで、エネルギー基本計画では、まともな議論は全くなされていない。
■

関連記事
-
前回に続き、最近日本語では滅多にお目にかからない、エネルギー問題を真正面から直視した論文「燃焼やエンジン燃焼の研究は終わりなのか?終わらせるべきなのか?」を紹介する。 (前回:「ネットゼロなど不可能だぜ」と主張する真っ当
-
今回も、いくつか気になった番組・報道についてコメントしたい。 NHK BS世界のドキュメンタリー「デイ・ゼロ 地球から水がなくなる日」という番組を見た。前半の内容は良かった。米国・ブラジルなど水資源に変化が現れている世界
-
私はNHKに偏見をもっていないつもりだが、けさ放送の「あさイチ」、「知りたい!ニッポンの原発」は、原発再稼動というセンシティブな問題について、明らかにバランスを欠いた番組だった。スタジオの7人の中で再稼動に賛成したのは、
-
事故確率やコスト、そしてCO2削減による気候変動対策まで、今や原発推進の理由は全て無理筋である。無理が通れば道理が引っ込むというものだ。以下にその具体的証拠を挙げる。
-
「核科学者が解読する北朝鮮核実験 — 技術進化に警戒必要」に関連して、核融合と核分裂のカップリングについて問い合わせがあり、補足する。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
福島第一原発の南方20キロにある楢葉町に出されていた避難指示が9月5日午前0時に解除することが原子力災害現地対策本部から発表された。楢葉町は自宅のある富岡町の隣町で、私にも帰還の希望が見えてきた。
-
国際環境経済研究所主席研究員 中島 みき 4月22日の気候変動サミットにおいて、菅総理は、2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、2030年度の温室効果ガスを2013年度比で46%削減、さらには50%
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間