脱炭素と言いつつ脱原発というドイツの大矛盾

Oleksii Liskonih/iStock
米国のロジャー・ピールキー(Roger Pielke Jr.)は何時も印象的な図を書くが、また最新情報を送ってくれた。
ドイツは脱原発を進めており、今年2022年にはすべて無くなる予定。
その一方で、ドイツは脱炭素、脱石炭を国是にしている。
けれど、もしも原発が2001年の水準で維持されていれば、はやくも今年には石炭火力は不要になっていたはず、というのだ(図)
図中、赤は2001年の原子力発電電力量。黒は、2020年の、石炭火力発電量。
もしもドイツが2001年の原子力発電量を維持さえしていれば、今年にも、石炭火力発電量はゼロに出来ていた、ということだ。
脱原子力と脱石炭を同時に進めるというドイツの政策が、いかに矛盾に満ちていることか。
■

関連記事
-
1. 三菱商事洋上風力発電事業「ゼロからの見直し」 2021年一般海域での洋上風力発電公募第1弾、いわゆるラウンド1において、3海域(秋田県三種沖、由利本荘沖、千葉県銚子沖)全てにおいて、他の入札者に圧倒的大差をつけて勝
-
6月23日、ドイツのハーベック経済・気候保護相は言った。「ガスは不足物資である」。このままでは冬が越せない。ガスが切れると産業は瓦解し、全世帯の半分は冬の暖房にさえ事欠く。 つまり、目下のところの最重要事項は、秋までにガ
-
日本ではエネルギー体制の改革論をめぐる議論が、議会、またマスメディアで行われています。参考となる海外の事例、また日本の改革議論の問題点を紹介します。
-
元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 5月26日、参議院本会議で「2050年までの脱炭素社会の実現」を明記した改正地球温暖化対策推進法(以下「脱炭素社会法」と略記)が、全会一致で可決、成立した。全会一致と言うことは
-
福島原発事故以降、「御用学者」という言葉がはやった。バズワード(意味の曖昧なイメージの強い言葉)だが、「政府べったりで金と権勢欲のために人々を苦しめる悪徳学者」という意味らしい。今は消えたが2012年ごろまで「御用学者リスト」(写真)がネット上にあった。卑劣にも、発表者は匿名で名前を羅列した。それを引用し攻撃を加える幼稚な輩もいた。
-
上記IEAのリポートの要約。エネルギー政策では小額の投資で、状況は変えられるとリポートは訴えている。
-
国際エネルギー機関(IEA)の最新レポート「World Energy Outlook2016」は将来のエネルギー問題について多くのことを示唆している。紙背に徹してレポートを読むと、次のような結論が得られるであろう。 1・
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間