再エネ負担は世帯あたりで年間6万4554円に上る

2024年03月26日 07:00
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

Jeff_Hu/iStock

再エネ賦課金が引き上げられて、世帯当たりで年額1万6752円になると政府が発表しました。

これに対する怒りの声が上がっています。

飯山陽氏「日本人に選ばれた国会議員が、なぜ日本のためではなく中国のための政治をするのか」

ところがこれは、氷山の一角に過ぎないのです。

1万6752円と言うのは、電気代に上乗せされて家庭が支払う金額です。

けれども、それ以外に企業が支払う金額はもっと大きいのです。

前述政府資料から、再エネ賦課金は1kWhあたり3.49円、となっていますので、販売電力量7707億kWhを掛けると、総額は2兆6897億円になります。1人あたりなら2万2716円、標準的な3人世帯なら6万4554円にもなります

この大半は企業が負担するのです。

企業が負担するといっても、その分給料が減ったり、物価が上がったりして、結局最終的には家庭が負担します。

再エネのために毎年世帯あたり6万4554円も負担しているのです。

家庭の電気料金は総務省家計調査によると3人世帯であれば毎月1万円程度、つまり年間12万円程度だから、事実上、電気料金は、再生可能エネルギー推進のために、すでに5割増しになっているのです

図 世帯あたりの1年間の再エネ賦課金

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • はじめに 本記事は、エネルギー問題に発言する会有志4人(針山 日出夫、大野 崇、小川 修夫、金氏 顯)の共同作成による緊急提言を要旨として解説するものである。 緊急提言:エネルギー安定供給体制の構築を急げ!~欧州発エネル
  • 言論アリーナ「地球温暖化を経済的に考える」を公開しました。 ほかの番組はこちらから。 大停電はなぜ起こったのかを分析し、その再発を防ぐにはどうすればいいのかを考えました。 出演 池田信夫(アゴラ研究所所長) 諸葛宗男(ア
  • オーストラリアは、1998年に公営の電気事業を発電・送電・小売に分割民営化し、電力市場を導入した。ここで言う電力市場は、全ての発電・小売会社が参加を強制される、強制プールモデルと言われるものである。電気を売りたい発電事業者は、前日の12時30分までに卸電力市場に入札することが求められ、翌日の想定需要に応じて、入札価格の安い順に落札電源が決定する。このとき、最後に落札した電源の入札価格が卸電力市場価格(電力プール価格)となる。(正確に言うと、需給直前まで一旦入札した内容を変更することもできるが、その際は変更理由も付すことが求められ、公正取引委員会が事後検証を行う。)
  • そもそも原子力水素とは何か 原子力水素とは、原子力をエネルギー源として製造される水素のことをいう。2050カーボンニュートラル実現のためには運輸、産業、果ては発電においても水素を利用することがキーポイントなるといわれてい
  • 反原発を訴えるデモが東京・永田町の首相官邸、国会周辺で毎週金曜日の夜に開かれている。参加者は一時1万人以上に達し、また日本各地でも行われて、社会に波紋を広げた。この動きめぐって市民の政治参加を評価する声がある一方で、「愚者の行進」などと冷ややかな批判も根強い。行き着く先はどこか。
  • 田中 雄三 国際エネルギー機関(IEA)が公表した、世界のCO2排出量を実質ゼロとするIEAロードマップ(以下IEA-NZEと略)は高い関心を集めています。しかし、必要なのは世界のロードマップではなく、日本のロードマップ
  • 池田・全員の意見で「エネルギーと安全保障は密接に絡み合っている」ということが一致しています。よく「命さえあれば、お金がなくても大丈夫」と言われますが、現実には違います。お金がなければ命を維持するためのエネルギーもつくれません。
  • 高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉決定を受けて、7日に政府の「高速炉開発会議」の初会合が開かれた。議長の世耕弘成経済産業相は冒頭で「高速炉の開発は必要不可欠だ」と述べた。これは高速増殖炉(FBR)に限らず広く高速炉(FR)を開

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑