英国の新聞の社説は『脱・脱炭素』が優勢になった

DaniloAndjus/iStock
英国の新聞の社説は、脱炭素に対する「反対」が「賛成」を、件数で上回る様になった(図)。
環境団体のカーボンブリーフがまとめた記事だ。
Analysis: UK newspaper editorial opposition to climate action overtakes support for first time
Analysis: UK newspaper editorial opposition to climate action overtakes support for first time

図 気候変動対策の推進について、賛成(more action)と反対(less action)の社説の件数の推移
以下に記事の一部を抄訳しよう:
この傾向は、英国の政治的右派が気候変動に関する長年の政治的コンセンサスから急速に離脱していることを示している。
過去1年間、保守党は2019年に自ら立法化した「2050年までのネットゼロ」目標と、その基盤となる気候変動法(同党が主要な役割を果たして制定)の両方の否定に転じた。一方、改革英国党(Reform UK)は世論調査で支持率を伸ばしており、「ネットゼロ政策を放棄する(scrap net zero)」と公約している。
こうした見解は、英国の右派系新聞紙面において強化され反映されている。これらの新聞はこうした政党を支持する傾向があり、政治に影響を及ぼしている。
気候変動対策に反対する98本の社説はすべて以下の右派寄りの新聞に掲載された: サン紙、デイリー・メール紙、デイリー・テレグラフ紙、タイムズ紙、デイリー・エクスプレス紙などである。
逆に、気候変動対策の強化を訴えた46本の社説のほぼ全ては、左派寄りと中道寄りのメディアであるガーディアン紙とフィナンシャル・タイムズ紙に掲載されていた。なおこれらの新聞の発行部数は、右派寄りのメディアの数紙に比べてはるかに少ない※1)。
図を見ると、英国では、2021年ごろまではあらゆる新聞が脱炭素推進であったのに対して、2025年では逆転していることが分かる。意見を反転させたのは右派系の新聞だった。
2025年に右派系新聞が掲載した気候変動関連の社説の81%が気候対策に反対した。・・・これはわずか数年前に同じ新聞社が気候対策への熱意を急激に高めていた状況とは著しい違いである。
さて、これと同じような分析を日本でやったらどうなるのだろうか?
大手新聞社は相変わらず脱炭素賛成という記事が圧倒的に多そうだ。産経新聞や、あるいは夕刊紙などでは、脱炭素に反対の意見も多くなってきたが、単純に件数を比較すると、まだまだ賛成派が多そうだ。イギリスには何年か遅れている。
なお、このカーボンブリーフの記事には、再エネの推進についても賛成・反対という社説の件数が報告されていて、脱炭素への賛成・反対とほぼ同じような傾向を示している。
こと再エネに関しては、メガソーラーの環境破壊が話題になり、日本の大手新聞も批判的な記事を載せるようになった。だが、まだ総論では再エネに賛成といった論調が多いように感じる。
イギリスは脱炭素先進国であるとして、よく引き合いに出され、日本もそれに追随してきた訳だが、そのイギリスでは、もう論調が反転した。脱炭素ではなく、脱・脱炭素になったのだ。
日本の論調はいつ変わるのだろうか?
※1)ガーディアンやフィナンシャル・タイムズのほうが大手新聞でメジャーな存在だと日本では思っている方が多いかもしれないが、実は発行部数で見ると、デイリー・メールなどのいわゆる大衆紙と呼ばれるものの方が圧倒的に多い。部数はリンクにある下の表で分かる(表の説明は省略)。

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