今週のアップデート — 政治と原発、菅・小泉元首相の発言から(2013年11月5日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1)「原発は危険だ。だからゼロに」— 菅元首相の発言から考える(上)
2)エネルギー・原子力政策はなぜ混迷したのか? — 菅元首相の発言から考える(下)
政策家の石川和男さんの主宰するネット放送「霞ヶ関政策総研チャンネル」で、菅直人元首相が出演しました。原発、エネルギーをめぐる自説を語り、また首相当時の政権の取り組みを説明しました。
それを客観的に伝えた後で、GEPRの編集者である、ジャーナリストの石井孝明が批判的に検証しています。
池田信夫アゴラ研究所所長のコラムです。小泉元首相が最近、脱原発を熱心に主張しています。その鍵になる蓄電技術について、開発可能性の少なさを指摘しました。
提携する国際環境経済研究所(IEEI)の論考です。同研究所理事で、東京大学客員准教授でもある松本真由美さんが、エネルギーをめぐる講義について紹介しています。
今週のリンク
小泉さんの脱原発論がエネルギーをめぐって話題になっています。ハフィントンポストが、詳報を出しました。感覚的な反論にとどまっているようです。
2) 除染の長期目標: 広がる見直し論 費用膨大で効果に限界
毎日新聞11月4日記事。IAEA(国際原子力機関)や政府内で、除染目標を1mSvとした政府の活動への疑問が広がっています。それをまとめた記事です。
NHK11月5日。与党自民党は、除染、廃炉で国の関与強化を盛り込んだ提言をまとめました。まもなく、連立与党の公明党との調整の後で政府に提言します。しかし報道を見る限りでは、補償の範囲、そして除染や期間の基準について「線引き」をしていません。これは国費投入が拡大し続ける危険があります。
4)米国、原発全従業員の身辺調査を要求 米公文書で秘密保護法で情報隠し拡大
しんぶん赤旗(日本共産党機関紙)、11月4日記事。米国が核テロを警戒し、日本に原発作業員の身元確認を要請。日本の文部科学省が、それを否定したものの非公式になら可能と返答していました。ウィキリークスの公電からです。議論を呼ぶ問題が、ある程度の確認はやむを得ない面があるでしょう。
ウェッジ、10月28日掲載。GEPR・アゴラの寄稿者である、澤昭裕氏の論考。政治の関心が、原発の推進でも、反対でも薄れています。特別法をつくることで、国の関与を明確にすることを訴えています。考えるべき視点でしょう。

関連記事
-
オーストラリアの東にあるグレートバリアリーフのサンゴ礁は絶好調だ。そのサンゴ被覆度(=調査地域の海底面積におけるサンゴで覆われた部分の割合)は過去最高記録を3年連続で更新した(図)。ジャーナリストのジョー・ノヴァが紹介し
-
小泉環境相が悩んでいる。COP25で「日本が石炭火力を増やすのはおかしい」と批判され、政府内でも「石炭を減らせないか」と根回ししたが、相手にされなかったようだ。 彼の目標は正しい。石炭は大気汚染でもCO2排出でも最悪の燃
-
武田薬品、炭素クレジットでの相殺中止 直接削減を拡大 武田薬品工業は毎年の温暖化ガス(GHG)排出量をボランタリー(民間)カーボンクレジットで相殺するのを中止する。信頼性や透明性を高めるため、高品質クレジットの購入は続け
-
地球温暖化の「科学は決着」していて「気候は危機にある」という言説が流布されている。それに少しでも疑義を差しはさむと「科学を理解していない」「科学を無視している」と批判されるので、いま多くの人が戦々恐々としている。 だが米
-
福島第一原発の後で、エネルギーと原発をめぐる議論が盛り上がった。当初、筆者はすばらしいことと受け止めた。エネルギーは重要な問題であり、人々のライフライン(生命線)である。それにもかかわらず、人々は積極的に関心を示さなかったためだ。
-
(前回:米国の気候作業部会報告を読む⑪:災害のリスクは減り続けている) 気候危機説を否定する内容の科学的知見をまとめた気候作業部会(Climate Working Group, CWG)報告書が2025年7月23日に発表
-
「福島後」に書かれたエネルギー問題の本としては、ヤーギンの『探求』と並んでもっともバランスが取れて包括的だ。著者はカリフォルニア大学バークレーの物理学の研究者なので、エネルギーの科学的な解説がくわしい。まえがきに主要な結論が列記してあるので、それを紹介しよう:
-
日本ではエネルギー体制の改革論をめぐる議論が、議会、またマスメディアで行われています。参考となる海外の事例、また日本の改革議論の問題点を紹介します。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間