今週のアップデートー 原発事故、海外メディアの報道の誤り(2013年12月24日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクのGEPRは、サイトを更新しました。
今年はGEPRの運営は2年目になり、閲覧数は年180万ページビューに達しました。年間約150本の記事を掲載しました。
また昨年末は、第二回アゴラシンポジウム「持続可能なエネルギー戦略を考える」(紹介記事)を開催するなど、リアルの面での活動も拡充しました。
活動の広がりは、皆さんのご支援のたまものです。誠にありがとうございました。今年は24日の更新が最後になります。来年は1月13日から更新します。日本のエネルギーについては原発事故以来、暗い話が続きます。だからこそ正確な情報を元に、考え、行動して、この状況を変えていかなければなりません。GEPRは党派性にとらわれない情報を、公平に提供していきます。
今週のアップデート
ポール・ブルースタイン
12月3日放送の言論アリーナ「米国ジャーナリストの見る福島、原発事故対策」に、出演した米国のジャーナリスト、ポール・ブルースタイン氏が、番組中で使った資料を紹介します。全3回のうちの2回目です。
米国のメディアが不正確な情報を提供したことを、分析しています。
澤昭裕 国際環境経済研究所(IEEI)所長
提携するIEEIの論考です。原発についてどの立場に立つ人も東京電力について、法的整理を主張しています。これについて澤氏が疑問を示しています。
今週のリンク
内閣府、2011年3月の事故直後の文章です。今回ブルースタインさんが言及したものです。原発事故で、最悪の状況をメモ形式でまとめたものです。菅政権・民主党の政治家はこれを重要文書として言及し、原発の怖さを強調します。しかし、これは可能性の列挙にすぎません。この文章で危険を煽る必要はありません。
青森の地域新聞であるデーリー東北の長期連載。政府が主導して、核廃棄物問題に取り組む動きが出ています。それをめぐり、原発や核燃料製造工場を抱える六ヶ所村の状況を解説しています。地元ならでの詳細な取材です。
日本経済新聞12月20日記事。これまで東電に負担をさせてきた事故の処理について、政府の関与が強まる方向です。経産省などがとりまとめました。ただし東電の廃炉費用、またその資金の使い道の精査など、問題は多く残ります。
産経新聞12月20日社説。福島原発事故による貯蔵施設について、福島県での建造、さらに政治の関与の呼びかけです。しかし住民感情を考えると、かなり難しい問題です。
ウェッジインフィニティ12月20日記事。国際情勢を研究する岡崎研究所の分析。米国を代表する2つの新聞がイラン問題で予測と論説が分かれました。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)はイランの歩み寄りと米国など関係国の交渉開始を批判。一方で、ワシントンポスト紙(WP)は、肯定的に見ています。この問題は2014年もくすぶり、日本のエネルギー問題に影響を与えます。
6)大阪ガス、損失290億円計上 シェールガス掘削が期待はずれ
日本経済新聞12月20日記事。大阪ガスは20日、米国でのシェールガス鉱区でガスが発見できず、14年3月期に特別損失を290億円計上すると発表しました。慎重な行動をするエネルギー業界で、巨額の投資損はめずらしい話です。新しい動き、シェールガス増産への対応の難しさが浮き彫りになりました。

関連記事
-
「脱炭素社会」形成の難問 アポリアとは、複数の理論や議論のうちどれが正しいのかについて合意ができない状態を表わすギリシャ語であるが、英語(aporia)でもフランス語(aporie)でも使われている。ともに「行き詰り」と
-
前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。 ■ 今回は2章「陸域・水域の生態系」。 要約と同様、ナマの観測の統計がとにかく示されていない。 川や湖の水温が上がった、といった図2.2はある(
-
GEPRフェロー 諸葛宗男 はじめに 米国の核の傘があてにならないから、日本は核武装すべきだとの意見がある。米国トランプ大統領は、日本は米国の核の傘を当てにして大丈夫だと言いつつ日本の核武装を肯定している。国内でも核武装
-
太陽光発電の導入は強制労働への加担のおそれ 前回、サプライヤーへの脱炭素要請が自社の行動指針注1)で禁じている優越的地位の濫用にあたる可能性があることを述べました。 (前回:企業の脱炭素は自社の企業行動指針に反する①)
-
田中 雄三 国際エネルギー機関(IEA)が公表した、世界のCO2排出量を実質ゼロとするIEAロードマップ(以下IEA-NZEと略)は高い関心を集めています。しかし、必要なのは世界のロードマップではなく、日本のロードマップ
-
トランプ前大統領とハリス副大統領の討論会が9月10日に開催される。大統領選に向けた支持率調査によると、民主党の大統領候補であるハリス副大統領が42%、共和党候補のトランプ前大統領が37%で、ハリス氏がリードを広げていると
-
5月13日に放送した言論アリーナでも話したように、日本では「原子力=軽水炉=福島」と短絡して、今度の事故で原子力はすべてだめになったと思われているが、技術的には軽水炉は本命ではなかった。1950年代から「トリウム原子炉の道?世界の現況と開発秘史」のテーマとするトリウム溶融塩炉が開発され、1965年には発電を行なった。理論的には溶融塩炉のほうが有利だったが、軽水炉に勝てなかった。
-
国際環境経済研究所(IEEI)版 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が7都府県に発令されてから、およそ3週間が経ちました。様々な自粛要請がなされる中、宣言の解除予定である5月を心待ちにされている方もいらっしゃると思います。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間