今週のアップデート — 東京都のエネルギー(2014年4月21日)

2014年04月21日 11:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1)「常識」に戻る東京都のエネルギー対策 — 政治の翻弄から再エネ振興へ

2月の東京都知事選では、細川護煕候補などは原発の是非を争点にしようとしました。ところが、有権者はそれに反応しませんでした。また東京都で実際に、どのような政策が行われているか、知る人は少ないと思います。GEPRの編集にかかわるジャーナリストの石井孝明のまとめ記事です。

2)電力値上げ6社目、中部電力の申請を分析=原発停止の影響を見る

政策家で元経産省の石川和男さんの分析です。中部電力の値上げ申請の内容を精査し、原発停止の影響の大きさを示しています。これでも赤字の懸念が出ています。同社もその顧客である東海地域の人々も、法令違反はしていないのに、電力料金値上げに直面しています。これは、問題です。石川氏のブログ「霞が関政策総研」からの紹介。

3)何がエネルギー貧困を作り出すのか−政策の選択肢

山本隆三国際環境経済(IEEI)研究所主席研究員、常葉大学経営学部教授の論考です。「エネルギー貧困」という名の問題が欧州で浮上。再エネ負担で恩恵を受けないのに、負担だけを押し付けられる人が社会問題になっているそうです。IEEIからの転載。

今週のリンク

1)IPCC第5次評価報告第三作業部会報告の公表

文部科学省、4月13日公表。「気候変動の緩和策」を分析した報告です。追加的な緩和策のないと、2100年における世界平均地上気温が、産業革命前の水準と比べ中央値で3・7度から4・8度、気候の不確実性を考慮すると2・5〜7・8度上昇する可能性があることを示しました。さらに政策の統合が行われねば、効果的な緩和策は達成されないと、分析しています。

2)原子力協定承認 官民連携で受注・輸出を図れ

読売新聞4月19日社説。18日の参院本会議で、アラブ首長国連邦(UAE)とトルコとの原子力協定締結が結ばれました。これを肯定的に受け止める論説です。しかし、日本での原発再稼動の遅れなど、原子力政策が定まらない中で、輸出に熱心な安倍政権の姿に違和感を覚えます。

3)原子力エネルギー、拡大か抑制か 湾岸諸国で

日本で珍しい、ペルシャ湾岸諸国のニュース。Gulf Businessから4月18日記事。原題はNuclear Power: Boon Or Bane For The GCC?。石油後をにらみ、アラブ首長国連邦とサウジの原発建設の意欲が高まっている一方、異論が出ていることを紹介しています。

4)(核兵器)軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)広島外相会合

外務省、4月12日発表。核保有国以外の諸国が集まり、核不拡散を働きかける外相会議が、日本のイニシアティブで広島で行われました。残念ながら核保有国、北朝鮮などの潜在的保有国は黙殺しています。しかし、こうしたまとまりが、原子力の平和利用の流れを作ることを、期待します。

5)中・西日本6社で予備率3・4% 今夏の電力需給見通し

産経新聞4月17日記事。原発停止の影響で、また電力供給が綱渡りとなりそうです。電力会社はトラブルに備え、5%程度の予備率を確保してきました。この予備率ではトラブルで、停電などが起こる可能性があります。

This page as PDF

関連記事

  • 政策として重要なのは、脱原子力ではなくて、脱原子力の方法である。産業政策的に必要だからこそ国策として行われてきた原子力発電である。脱原子力は、産業政策全般における電気事業政策の抜本的転換を意味する。その大きな構想抜きでは、脱原子力は空疎である。
  • 科学的根拠の無い極端な気候危機説が溢れかえっているのは日本だけではなく米国も同じだ。 米国の大手テレビ局であるフォックス・ニュースの名物キャスターであるタッカー・カールソンが気候危機説を真向から批判している番組があったの
  • アゴラ研究所の運営するエネルギー調査期間のGEPRはサイトを更新しました。
  • 台湾有事となると、在韓米軍が台湾支援をして、それが中国による攻撃対象になるかもしれない。この「台湾有事は韓国有事」ということが指摘されるようになった。 これは単なる軍事的な問題ではなく、シーレーンの問題でもある。 実際の
  • 明るいニュースは米国から:大学に新設されるマイクロリアクター 最近届いた明るいニュースでは、米国の大学構内に研究用のマイクロ原子炉が新設されるという。 今年4月2日に、米国のナノ・ニュークリア・エナジー(NANO Nuc
  • 企業で環境・CSR業務を担当している筆者は、様々な識者や専門家から「これからは若者たちがつくりあげるSDGs時代だ!」「脱炭素・カーボンニュートラルは未来を生きる次世代のためだ!」といった主張を見聞きしています。また、脱
  • 英国で面白いアンケートがあった。 脱炭素政策を支持しますか? との問いには、8つの政策すべてについて、多くの支持があった(図1)。飛行機に課金、ガス・石炭ボイラーの廃止、電気自動車の補助金、・・など。ラストの1つは肉と乳
  • 以前、尾瀬の自然保護活動に関して「仮想評価法(CVM)」という手法を使ってその価値の計測を試みたことがある。ハイカーが押し寄せて自然が荒廃した1960年代の尾瀬の写真と、保護活動により回復した現在の尾瀬の写真を2つ提示し、尾瀬の美しい自然価値に対して自分が支払ってもいいと考える評価額(支払い意思額)を聞いたものだ。回答のなかには驚くほど高額の回答もあり、平均すると年間で1人1000円超となった。担当者としては、尾瀬の自然に高い価値を感じてくださっていることを嬉しく思うと同時に、その場で自分が支払うわけではない「架空の財布の紐」は緩いのだとも感じた。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑