今週のアップデート — 原発をめぐる世論…活断層、民意など(2014年6月23日)

2014年06月23日 14:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1)活断層と再稼動は無関係である

池田信夫アゴラ研究所所長の論考です。日本原電敦賀発電所2号機の下に活断層があるか、そして廃炉になるかという議論が行われエネルギー関係者の関心を集めています。ところが、それをめぐる原子力規制委員会、政府の行動が、法律的におかしいという指摘を、池田氏は行っています。この視点からの議論は少なく、この論考を参考に議論が広がることを期待します。

2)民意が揺らす台湾原発事情–日本の反原発活動が影響

澤田哲生東工大助教の論考です。日本の学者、国会議員らが、4月に台湾(中華民国)の学会の招待で、台湾のシンポジウムに参加。そして馬英九総統と会見しました。その報告です。日台にはエネルギーをめぐる類似性があります。そして日台の反原発活動もつながっているようです。

3)日本鉄鋼業が推進する3本柱の技術協力

日本の鉄鋼業は、世界最高の生産におけるエネルギー効率を達成しています。それを各国に提供することで、世界の鉄鋼業のエネルギー使用の減少、そして温室効果ガスの排出抑制につなげようとしています。それを紹介します。

今週のリンク

1)敦賀原発評価会合で「活断層」の議論白熱 次回以降に修正案

産経新聞6月21日記事。日本原電の敦賀原子力発電所2号機をめぐり、原子力規制委員会は6月21日に追加調査会合を開催しました。昨年5月に「活断層」と認定して以来、原電側は新証拠を示し、再調査を依頼していますが、規制委員会側は残念ながら原電側の異論に誠実に対応しようとしていません。

2)有識者会合、追加調査会合に関するコメント

日本原電6月21日公開資料。同社が敦賀2号機の審査について、規制委員会が意見を聞かないことに疑問を示し、継続審査を強く要請しています。GEPRでは、中立的な観点から、この問題を考察していきます。

3)敦賀発電所敷地内破砕帯調査 外部レビュー(第2回レビュー)結果

日本原電6月5日公開資料。同社が敦賀2号機について、外部有識者に依頼して行った調査の報告です。

4)「安倍首相が再稼働を表明すべきだ」安念潤司中央大学教授に聞く

JBPress6月13日記事(再掲載)。原発の停止には、法律上の問題が多いことを、中央大学の安念教授が指摘しています。本日の池田信夫氏記事の関連です。

5)総合エネルギー調査会原子力小委員会第一回資料

経産省・資源エネルギー庁6月19日公開。電力システム改革の後で、原子力をどのように扱うべきか、6月19日から経産省で有識者会合が始まりました。自由化が進めば、原発の扱いは大きな問題になりますが、これまでほとんど議論が進んでいませんでした。議論の行く末が注目されます。(解説記事産経Biz6月20日記事「廃炉・自由化後が焦点 原子力政策見直し論議 経産省有識者委」)

This page as PDF

関連記事

  • 沸騰水型原子炉(BWR)における原子炉の減圧過程に関する重要な物理現象とその解析上の扱いについて、事故調査や安全審査で見落としがあるとして、昨年8月に実証的な確認の必要性を寄稿しました。しかし、その後も実証的な確認は行わ
  • (前回:温暖化問題に関するG7、G20、BRICSのメッセージ①) 新興国・途上国の本音が盛り込まれたBRICS共同声明 新興国の本音がはっきりわかるのは10月23日にロシア・カザンで開催されたBRICS首脳声明である。
  • 杉山大志氏の2023年2月4日付アゴラ記事で、電力会社別の原子力比率と電気料金の相関が出ていました。原子力比率の高い九州電力、関西電力の電気料金が相対的に抑えられているとのことです。 この記事を読みながら、その一週間前に
  • 「国民的議論」とは便利な言葉だ。しかし、実際のところ何を表しているのか不明確。そのうえ、仮にそれに実体があるとしても、その集約方法についてコンセンサスがあるとは思えない。
  • GEPR(グローバルエネルギー・ポリシーリサーチ)は、日本と世界のエネルギー政策を深く公平に研究し、社会に提言するウェブ上の「仮想シンクタンク」です。この機関は、アゴラ研究所(東京)が運営し、エネルギー問題についての研究と調査、インターネットでの情報提供、シンポジウムの開催、提言の作成、書籍の出版を行います。
  • 1.2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向け、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に後押しするため、新たに「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」(仮称)を開始します。
  • 低CO2だとされるLNGの方が石炭よりもCO2排出量が多い、と言う論文がコーネル大学のハワースらのチームから報告されて話題になっている(図1)。ここではCO2排出量は燃料の採掘から利用までの「ライフサイクル」で計算されて
  • 東京都の太陽光パネルの新築住宅への義務付け条例案が6月24日までの期限で一般からの意見募集(パブコメ)を受け付けている(東京都による意見募集ホームページはこちら)。 懸念はいくつもあるが、最近気が付いた重大なことがある。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑