今週のアップデート - 福島事故、NHKの誤った報道(2015年1月19日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1) 間違いだらけのNHKスペシャル「メルトダウン・知られざる大量放出」
NHKが昨年12月21日に放映した「メルトダウン・知られざる大量放出」という番組があります。放射性物質の大量放出が4年経過して明らかになったという内容です。しかし専門家が見ると、間違いが多いとの指摘です。4年も経過して、原子力情報について誤った情報が拡散するのは困ったこと。NHKの猛省を求めたいものです。
2) 電力料金の上昇、困窮する産業界の声を聞く—原子力国民会議から
電力料金の上昇が経済に悪影響を広げています。それを批判し、原発の合意を重ねようとする民間団体の原子力国民会議の集会を取材しました。原子力に対する情報は多いものの、経済的利益の面からの情報は少ない状況です。こうした意見を受け止め、議論を深めることが必要です。
3)原発再稼働の手順を考える-第1号「川内モデル」から見えた無駄の多さ
再稼働が遅れています。原子力規制委員会の審査の全体像の検証を行った記事。部外者が見ても無駄と思われる手続きが多く、遅れるのも当然と思います。書類数は3万6000通。まともな対応ができるとは思えません。
4)無資源国・日本は侵略に弱い-脱原発のできなかったウクライナから考える
GEPR編集者の石井孝明が、昨年11月にチェルノブイリ原発とウクライナを訪問。大事故を起こしたのに同国ではなぜか原発を容認している不思議さを伝えています。
15年1月13日公開。チェルノブイリ、ウクライナツアーを企画した、作家で出版社ゲンロンの社長東浩紀さん、ロシア文学者の上田洋子さんに登場いただき、その現状、政変が起こり、戦争状態にあるウクライナ、そしてそこから考える福島原発事故の未来についてうかがいました。
今週のリンク
1)原子力規制委員会によるバックフィット規制の問題点(上)(中)(下)
GEPRの14年2月の池田信夫アゴラ研究所所長の論考。原子力規制委員会の手続きでの法律上の問題について、分析しています。
アゴラ。池田信夫氏のコラム。九州電力川内原発の再稼働差し止めを求める訴訟で、九電側が再稼働の遅れの場合に1日5億5400万円の損害を被る」ので「妥当な金額」の担保金を積み立てたところ、取り下げ者が続出したとのことです。コラムは強い言葉を使った批判ですが、こうした損害を直視することが必要でしょう。
3)<原発現場と対話しない原子力規制委・規制庁>安倍政権はコスト度外視の原子力規制の行政実務を改善する解決策を提示せよ
政策家石川和男氏のコラム。原子力規制委員会の行動が、独善的になっているとの批判です。この問題について、有識者がそろって同じ批判をしているのに、同委員会はなかなか改めません。
読売新聞1月18日社説。まもなくエネルギー比率の議論が始まります。経済負担、安定供給不安になっている現状を指摘し、その活用を指摘しています。政府の腰の引けている様子も批判しています。総じて妥当な見方でしょう。
日本経済新聞1月17日記事。国際的に知られるエネルギーアナリストのダニエル・ヤーギン氏の分析です。原油価格の抑制、シェールガスの生産拡大は続くという分析です。

関連記事
-
はじめに 世界的な生成AIの普及やデータセンターの拡大により半導体需要が急速に高まって、日本国内でも供給の安定化を目指して大規模半導体工場の建設ラッシュが起こっている。 なかでも注目されるのが、世界的半導体製造会社TSM
-
日本でもメガソーラーや風力発電の立地に対する反対運動が増えているが、米国でも事情は同様だ。ロバート・ブライスは、再エネ却下データベース(Renewable Rejection Database)にその事例をまとめて、無料
-
洋上風力発電入札の経緯 そもそも洋上風力発電の入札とは、経済産業省が海域を調査し、風況や地盤の状況から風力発電に適していると判断された海域について、30年間にわたり独占的に風力発電を行う権利を、入札によって決定するという
-
国の予算の使い方が、今批判を集めている。国の活動には、民間と違って、競争、市場による制約がないため、予算の無駄が生まれやすい傾向があることは確かだ。
-
7月22日、インドのゴアでG20エネルギー移行大臣会合が開催されたが、脱炭素社会の実現に向けた化石燃料の低減等に関し、合意が得られずに閉幕した。2022年にインドネシアのバリ島で開催された大臣会合においても共同声明の採択
-
1996年に世界銀行でカーボンファンドを開始し、2005年には京都議定書クリーン開発メカニズム(CDM)に基づく最初の炭素クレジット発行に携わるなど、この30年間炭素クレジット市場を牽引し、一昨年まで世界最大のボランタリ
-
政府は脱炭素政策を進めているが、電気料金がどこまで上がるかを分かりやすい形で公表していない。本稿では、公開資料を元に具体的に何円になるのか計算してみよう。 日本の電気料金は東日本大震災以降、大幅に上昇してきた(図1)。
-
4月29日、トランプ大統領は就任100日目にあたり、ミシガン州で支持者を前に演説し、「私たちの国の歴史上、最も成功した政権の最初の100日間を祝うためにここにいる。毎週、不法移民の流入を終わらせ、雇用を取り戻している」と
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間