NHKが煽る温暖化報道を統計でファクトチェック!
NHKスペシャル「2030 未来への分岐点 暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦(1月9日放映)」を見た。一部は5分のミニ動画として3本がYouTubeで公開されている:温暖化は新フェーズへ 、2100年に“待っている未来”、若者たちの声で脱炭素へ!
だけど、どこまで本当だろうか? ファクトチェックをしてみよう。
災害の事例をいくら並べ立てても「災害激甚化」の証拠とは言えない。統計を見てみよう。すると、豪雨は強くなっていないし、山火事はむしろ減っているし、台風は増えても強くなってもいない。以下でデータを確認しよう(いずれも詳しくはリンク先をご覧ください):

図1 日本の豪雨は強くなっていない。データは気象庁による。(詳しくは地球温暖化ファクトシート 第2版)

図2 世界の山火事はむしろ減っている。データは欧州連合の気象機関による。山火事についてさらに詳しくは(地球温暖化ファクトシート 第2版)

図3 台風は増えても強くなってもいない。図は気象庁による。(詳しくは地球温暖化ファクトシート 第2版)
以上のデータは全て公式かつ公開の資料で、誰でもリンクを辿って確認できる。
そもそも自然現象が激甚化などしていないのだから、「温暖化のせいで災害が激甚化した」などということも論理的に有り得ない。
同番組では「既に温暖化の悪影響が起きている、地球が壊れている、いますぐ行動しないといけない!」といって、最近欧米で流行っている若者の温暖化反対運動の学校ストライキとデモの様子を流し、日本の若者にも行動せよ!と訴えている。
だが若者は、学校をストライキする前に、勉強して統計データを読めるようになり、事実関係を確認すべきではないのか?
NHKは猛烈に反省し、まずは自分が勉強し、若者へのメッセージも改めるべきだ。
番組の最後では、アインシュタインの言葉を引用して、若者への「行動」を訴えている。それは「世界は危険でいっぱいだ。なぜなら、それは悪事を働くものがいるからというのではなく、それを見て見ぬ振りをする人たちがいるからだ」、というものだ。
だけれども、これは最早ブラックジョークにしか聞こえない。すぐ入手できるし誰にでもわかる公式統計を「見て見ぬ振り」しているのは、NHKではないのか?

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