誰も真面目にやっていないカーボンニュートラル
2050年にCO2ゼロという昨年末の所信表明演説での宣言に続いて、この4月の米国主催の気候サミットで、菅首相は「日本は2030年までにCO2を46%削減する」ことを目指す、と宣言した。

Olivier Le Moal/iStock
これでEU、米国・カナダ、日本といった先進国は、軒並み2030年までにCO2をほぼ半減すると宣言した訳だ。
だが宣言はしたけれど、全然、政策の実体が伴っていない。
そう指摘するのは、欧州の環境NGOであるClimate Action Tracker(CAT)である。
CATは1.5℃という気温の目標を実現するためには「2030年CO2半減および2050年CO2ゼロ」という排出の目標を実現する必要があると考えている。
しかしながら、CATのホームページのマップを見ると、EU、米国・カナダ、日本のいずれも、1.5℃目標を達成する見込みの国はゼロだ。このことは、図中で、黄緑色の先進国が全く無いことから分かる。

図 気温目標を達成する見込み。図はCATによる。色分けは、黒:決定的に不足、赤:かなり不足、橙:不足、黄:2℃目標に整合、黄緑:1.5℃目標に整合、緑:理想的。
それどころか、1.5℃よりは緩い2℃という目標ですら、それに整合する先進国はゼロであることが、黄色に塗られた国が無い事から分かる。
この分析がどこまで正しいかは、今回は措いておく。
だがはっきり分かることは、
どの国も、威勢の良い目標を言っているだけで、全然真面目に達成しようとしていない。
ということだ。
だいたい、2030年半減とか、2050年ゼロなど、少し技術のことを知っていれば、不可能だということはすぐに分かることだ。
日本人は真面目なので、「2030年にCO2を46%削減しなければならない」と本当に思い詰めている人が多い。けれど、現実はこのようなものだ。よく世界を見渡して、貧乏くじを引かないように気を付けないといけない。
関連記事
-
私は42円については、当初はこの程度の支援は必要であると思います。「高すぎる」とする批判がありますが、日本ではこれから普及が始まるので、より多くの事業者の参入を誘うために、少なくとも魅力ある適正利益が確保されればなりません。最初に高めの価格を設定し、次第に切り下げていくというのはEUで行われた政策です。
-
合理性が判断基準 「あらゆる生態学的で環境的なプロジェクトは社会経済的プロジェクトでもある。……それゆえ万事は、社会経済的で環境的なプロジェクトの目的にかかっている」(ハーヴェイ、2014=2017:328)。「再エネ」
-
今年の新米が出回り始めた。 JAの提示した令和7年度産米の概算金は、例えば1等米60kgあたりで銘柄米のコシヒカリで2万5200円などと、軒並み昨年度の1.6倍以上になっている。 ちなみに、これだと5kgあたり2100円
-
現在、世界の産業や文化はAIの活用に邁進し、いかにして先行者利得を独占するかに狂奔している。そのAIに関わる設備・システムは、レアアースと呼ばれる希少金属を重要素材とする電子部品で構成されており、AIの普及に伴ってレアア
-
国家戦略室が策定した「革新的エネルギー・環境戦略」の問題を指摘する声は大きいが、その中でも、原子力政策と核燃料サイクル政策の矛盾についてが多い。これは、「原子力の長期利用がないのに再処理を継続することは、矛盾している」という指摘である。
-
原子力問題のアキレス腱は、バックエンド(使用済核燃料への対応)にあると言われて久しい。実際、高レベル放射性廃棄物の最終処分地は決まっておらず、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」はトラブル続きであり、六ヶ所再処理工場もガラス固化体製造工程の不具合等によって竣工が延期に延期を重ねてきている。
-
おなじみ国連のグテーレス事務総長が「もはや地球温暖化(global warming)ではなく地球沸騰(global boiling)だとのたまっている。 “地球沸騰”の時代!?観測史上最高気温の7
-
田中 雄三 国際エネルギー機関(IEA)が公表した、世界のCO2排出量を実質ゼロとするIEAロードマップ(以下IEA-NZEと略)は高い関心を集めています。しかし、必要なのは世界のロードマップではなく、日本のロードマップ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間













