CO2による地球緑化(グローバル・グリーニング)が進んでいる

Sakorn Sukkasemsakorn/iStock
CO2が増えたおかげで、グローバル・グリーニング(地球の緑化、global greening)が進んでいる。このことは以前から知られていたが、最新の論文で更に論証された(英語論文、英語解説記事)。
図1は2000年から2020年までの世界の葉面積指数(Leaf Area Index, LAI)の変化だ。
LAIというのは、1平方メートルの面積の中に、どれだけの面積の葉があるか、という指数。林の中であれば3といった1より大きい値になる。1より大きくなるのは葉が重なっているから。植物は1枚の葉だけだとある程度は光が透過するので、何枚かの葉で光を受け止めるのが普通だ。
図を見ると、そのLAIが20年間で0.1ほど増えていることが分かる。つまり1平方メートルあたりの葉の面積は0.1平方メートルほど増えた。地球はどんどん緑になっているのだ!
4つの異なる線は、異なるデータセットを表しているが、いずれも傾向は同じだ。

図1 LAIの変化
ではこの「地球緑化」は何が起こしているのか?
CO2、太陽光(Srad)、リン(P)、土壌水分(Soil Moisture, SM)、気温(Airt)の5つの要因で分解したのが図2だ。
圧倒的にCO2が寄与していることが分かる。

図2 LAIの傾向を決定づける要因
気候変動が影響するとすれば気温や土壌水分、人間活動が影響するとすれば肥料の一つであるリンと太陽光強度(公害対策で太陽光が強くなっている)の寄与がありうるのだが、CO2が圧倒的と要因になっていて、地球はどんどん緑になっていることが分かった。
CO2は植物の光合成の基本的な要素だ。CO2の増加は生態系を豊かにし、作物の生育を促進する。これはCO2施肥効果(Carbon Fertilization)と呼ばれている。
気候変動の話は別として、大気中のCO2の増加自体は悪い事ではなく、むしろ良い事ばかりである。
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