トランプの公約③:急進左翼のESG投資から米国人を守る

2024年02月10日 07:00
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

「もしトランプ」が大統領になったら、エネルギー環境政策がどうなるか、これははっきりしている。トランプ大統領のホームページに動画が公開されている。

全47本のうち3本がエネルギー環境に関することだから、トランプ政権はこの問題を重要視していることが分かる。今回は第3回目。

(前回:トランプの公約②:パリ協定は離脱しエネルギードミナンスを達成する

【動画】トランプ大統領、急進左派のESG投資から米国人を守るために先頭に立ち続ける

ポイントは、「ESG投資は左翼的な価値の押し付けであり、儲からない詐欺的な投資であり、人々からお金を預かる年金基金などの無駄遣いだ。政府の資金運用においてESG投資を禁止する」というものだ。

以下、抄訳を付けておこう。

私は大統領として、ウォール街や雇用主が政治的な理由で、いわゆるESG(Environmental, Social, and Governance)投資に401Kや年金、退職金口座を投入することを禁止する歴史的な規則を発布したことを非常に誇りに思っている。この人たちは病気だ。このようなパフォーマンスの悪い詐欺まがいの金融商品は、急進的な左翼のゴミであり、本来は全く商品として成立しないものだ。

ESGのスキーム全体が、あなたの退職金を急進左翼の狂人に流すように設計されている。私のリーダーシップの下で発行された規則は、世界初のESG禁止規則となった。そして、議会や全米の共和党議員がこの脅威に目覚め、私の指導に従うようになったことを嬉しく思う。

残念なことに、ジョー・バイデンは私のESGルールにメスを入れ、今や彼の労働省のファンド・マネジャーは、高齢者が苦労して稼いだ貯蓄を原資に政治的な駆け引きができると宣言した。バイデンはすでに401Kをつぶしてしまった。私がいたころの401Kを見てみると、ロケットのようにまっすぐ上がっていた。だが今、彼らはそのロケットを墜落させている。

年金や退職金口座は、彼の過激さと無能さによって、大きく崩れ去ろうとしている。彼の行動によって、あるいはこの行動によって、彼はあなたのお金を、あなたを犠牲にして偏狭な左翼の義に資金提供するために使おうとしているのだ。

その代償を払っているのがあなた方であり、それが私たちの国を破壊している。私がホワイトハウスに戻ったら、大統領令に署名し、議会の支持を得て、アメリカの退職金口座から政治を永遠に遠ざける法律を制定する。

私は、資金が彼らを助けるためではなく、あなたを助けるために投資されることを要求する。急進的な左翼共産主義者を助けるためではない。私は再び、以前と同じように、目覚めた左翼から高齢者を守る。彼らは国を滅ぼす。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者たちによる新しい研究では、米国政府が原子力事故の際に人々が避難すること決める指標について、あまりにも保守的ではないかという考えを示している。
  • 昨年11月の原子力規制委員会(規制委)の「勧告」を受けて、文部科学省の「『もんじゅ』の在り方に関する検討会(有馬検討会)」をはじめとして、様々な議論がかわされている。東電福島原子力事故を経験した我が国で、将来のエネルギー供給とその中で「もんじゅ」をいかに位置付けるか、冷静、かつ、現実的視点に立って、考察することが肝要である。
  • 例年開催されるCOPのような印象を感じさせたG7が終わった。新聞には個別声明要旨が載っていた。気候変動対策については、対策の趣旨を述べた前文に以下のようなことが書かれていた。 【前文】 遅くとも2050年までにCO2の排
  • ショルツ独首相(SPD)とハーベック経済・気候保護大臣(緑の党)が、経済界の人間をごっそり引き連れてカナダへ飛び、8月22日、水素プロジェクトについての協定を取り交わした。2025年より、カナダからドイツへ液化水素を輸出
  • 今回は、最近日本語では滅多にお目にかからない、エネルギー問題を真正面から直視した論文を紹介する。 原題は「燃焼やエンジン燃焼の研究は終わりなのか?終わらせるべきなのか?」、著者はGautam Kalghatgi博士、英国
  • GEPRの運営母体であるアゴラ研究所は映像コンテンツである「アゴラチャンネル」を提供しています。4月12日、国際環境経済研究所(IEEI)理事・主席研究員の竹内純子(たけうち・すみこ)さんを招き、アゴラ研究所の池田信夫所長との対談「忘れてはいませんか?温暖化問題--何も決まらない現実」を放送しました。 現状の対策を整理し、何ができるかを語り合いました。議論で確認されたのは、温暖化問題では「地球を守れ」などの感情論が先行。もちろんそれは大切ですが、冷静な対策の検証と合意の集積が必要ではないかという結論になりました。そして温暖化問題に向き合う場合には、原子力は対策での選択肢の一つとして考えざるを得ない状況です。
  • 政府「クリーンエネルギー戦略」中間整理が公表された。岸田首相の肝いりで検討されてきたものだ。 紆余曲折の末、木に竹をつなぐ もともと、この「クリーンエネルギー戦略」は、脱炭素の投資を進めるべく構想されたものだった。これは
  • 昨年発足した原子力規制委員会(以下、規制委員会)の活動がおかしい。脱原発政策を、その本来の権限を越えて押し進めようとしている。数多くある問題の中で、「活断層問題」を取り上げたい。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑