気候モデルは地球の平均気温を再現できない

Mocho1/iStock
IPCC報告には下記の図1が出ていて、地球の平均気温について観測値(黒太線)とモデル計算値(カラーの細線。赤太線はその平均値)はだいたい過去について一致している、という印象を与える。
けれども、図の左側に書いてある縦軸は平年値(1961年から1990年の平均気温)からのアノマリ(偏差)であって気温そのものではない。
そしてよく見ると図の右側には1961年から1990年の平均気温、というのがプロットしてあって、ずいぶんとばらついている。これはなんだ?
こんな細工をせず、もっと正直に、モデルの計算した気温をプロットするとどうなるか?
すると分かることは、本当にモデルによって全然平均気温が違うことだ(図2)。上は15.5度ぐらいから、下は13度ぐらいまである。これから0.5度か1度の気温上昇をどうするかという脱炭素政策が議論されているが、その根拠になっているモデルはどうかと言えば、計算する人によって、現在の気温ですらこれだけ異なる。
将来の気温上昇予測(のアノマリのモデル間の平均値)と並べてみても、現時点でのモデル間での気温の差がいかに大きいか分かるというものだ(図3)。
要は、地球という物理・化学・生物システムはとても複雑で、その基本的なエネルギーのバランスですら、現状では、モデルによって十分に捉えられているとはいえない。このため現在の気温についてすらモデル間では大きな差異がある。
それでも、図1からも分かるように、アノマリ(偏差)の時間変化についてはモデル間での一致はわりとよい。だがこれも、20世紀後半の気温上昇がCO2などの温室効果ガスによるものだと教え込んでパラメーターを調整している(チューニング)からに過ぎない。
■
関連記事
-
政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、「2030年CO2排出46%削減」という目標を決めましたが、それにはたくさんお金がかかります。なぜこんな目標を決めたんでしょうか。 Q1. カーボンニュートラルって何です
-
今回は、日本人研究者による学術論文を紹介したい。熱帯域を対象とした、高空における雲の生成と銀河宇宙線(GCR)の相関を追究した論文である(論文PDF)。本文12頁に、付属資料が16頁も付いた力作である。第一著者は宮原ひろ
-
きのうのG1サミットの内容が関係者にいろいろな反響を呼んでいるので、少し補足説明をしておく。
-
英国政府とキャメロン首相にとって本件がとりわけ深刻なのは、英国のEU離脱の是非を問う国民投票が6月に予定されていることである。さまざまな報道に見られるように、EU離脱の是非に関しては英国民の意見は割れており、予断を許さない状況にある。そこにタイミング悪く表面化したのがこの鉄鋼危機である。
-
先日、和歌山県海南市にある関西電力海南発電所を見学させていただいた。原発再稼働がままならない中で、火力発電所の重要性が高まっている。しかし、一旦長期計画停止運用とした火力発電ユニットは、設備の劣化が激しいため、再度戦列に復帰させることは非常に難しい。
-
2020年はパリ協定実施元年であるが、世界はさながら「2050年カーボンニュートラル祭り」である。 パリ協定では産業革命以後の温度上昇を1.5度~2度以内に抑え、そのために今世紀後半に世界全体のカーボンニュートラルを目指
-
昨今、日本でもあちこちで耳にするようになったESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉である。端的にいうならば、二酸化炭素(CO2)排
-
めまいがしそうです。 【スクープ】今冬の「節電プログラム」、電力会社など250社超参戦へ(ダイヤモンド・オンライン) 補助金適用までのフローとしては、企業からの申請後、条件を満たす節電プログラム内容であるかどうかなどを事
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間



















