三井住友FGの脱炭素枠組み脱退が日本の潮目を変える決定打になる

2025年03月07日 06:40

三井住友FG、脱炭素の国際枠組み脱退へ 邦銀にも波及

三井住友フィナンシャルグループ(FG)が脱炭素をめざす金融機関の国際的な枠組みから脱退することが4日、わかった。野村ホールディングス(HD)も同様の検討を進めている。トランプ米政権下で脱炭素をめぐる業界横断的な活動への批判や法的リスクがくすぶっている。米主要銀の離脱が相次ぐなか、邦銀では初の事例となる。

脱退するのは2050年までに温暖化ガスの排出量を実質的にゼロとすることを目標にする「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」。4日時点で44カ国・地域の135金融機関が参加する。三井住友FGは枠組み脱退後も、脱炭素への投融資計画など気候変動への対応は個別に続ける構えだ。

トランプ大統領の就任前後の2024年末から25年初めにかけ、米銀の間ではNZBAからの脱退が相次いだ。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど主要6社がすでに離脱を表明。カナダでもロイヤル・バンク・オブ・カナダを含む複数行の脱退が1月末までに続いた。

トランプ氏は気候変動への対応に消極的で、米共和党の議員からはNZBAの活動が反トラスト法に違反するとの見方が出ている。米議会では金融機関による脱炭素を促す取り組みを「気候カルテル」として批判する声もある。

三井住友FGさん、英断です。

これは大きな潮目の変化になります。他の金融機関も続くはずです。先週公開された動画で話していた内容が早速日本にも波及してきました。

55分00秒~58分10秒あたり。杉山さんとの質疑の中で、日本の金融機関もこの流れに乗った方がよいと話していました。

三井住友FGは「気候変動への対応は強化する」(幹部)と強調する。30年に向けて掲げたサステナブルファイナンスの投融資目標を維持するほか、50年までに融資先の企業が排出する温暖化ガスを実質的にゼロとする目標も続ける。国内企業の脱炭素を見据えた投資の重要性は増しており、金融機関としての支援を一段と強める。

しかしこちらはおかしいですね。

自社ビルのCO2削減等はどうぞご自由に進めてください。でもネットゼロをめざすアライアンスやイニシアチブから自分たちは抜けるのですから、融資先の企業に温暖化ガスゼロを求めるのは明らかに矛盾しています。

よく金融機関から企業に対して「TCFDやSBTiに参加しなさい」「気候変動によるリスクを特定しなさい」などと言われますが、脱炭素アライアンスに入っていることがビジネスリスクだと自ら判断したのです。

トランプ大統領が反ESGだ気候カルテルだと言っても、いや違う、脱炭素は企業価値を向上させる、投資家のビジネスチャンスである、カルテルではない、という信念があれば国際枠組みから脱退しないはずです。

答えは簡単。

儲からないから。企業価値が向上しないから。ESGの終焉が明白だからです。

自分たちが将来のビジネスリスクを回避したのに、融資先の企業に同じリスクを負わせるのはおかしい。当然ながらESG評価や要請もやめなければなりませんよね。

これが決定打になります。日本では、政府ではなく民間から脱脱炭素が始まります。企業の脱炭素宣言撤回も続くはず。企業の皆さま、こちらの雛形をどうぞご自由にお使いください。

2024年は企業の脱炭素宣言の終わりの始まり

This page as PDF

関連記事

  • 経済産業省において10月15日、10月28日、と立て続けに再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(以下「再エネ主力電源小委」)が開催され、ポストFITの制度のあり方について議論がなされた。今回はそのうち10月15日
  • 秋田県八峰町・能代市沖の洋上風力も採算が厳しい 2021年6月16日付の地元紙『北羽新報』によると、洋上風力入札の第2ラウンドで秋田県八峰町・能代市沖の開発権を落札したENEOSリニューアブルエナジー(旧ジャパンリニュー
  • りょうぜん里山がっこうを会場として、中山間地域のみなさんや福島大学の学生を中心に勉強会を開催した。第一回は、2014年10月4日に国立保健医療科学院の山口一郎上席主任研究官をゲストに迎え、食品基準値の疑問に答えてもらい、損失余命の考え方が役立つかどうかや参加者のニーズを話し合った。
  • 11月23日、英国財務省は2017年秋期予算を発表したが、その中で再エネ、太陽光、原子力等の非化石予算を支援するために消費者、産業界が負担しているコストは年間90億ポンド(約1.36兆円)に拡大することが予想され、消費者
  • この頃、10年も前にドイツで見た映画をよく思い出す。『In Time』(邦題『TIME/タイム』)。冒頭に荒れ果てた街の絶望的なシーン。人々はみすぼらしく、工場では産業革命時代のままのような錆び付いた機械がどうにかこうに
  • 経済産業省は1月14日、資源・エネルギー関係予算案を公表した。2015年度(平成27年度)当初予算案は15年度7965億円と前年度当初予算比で8.8%の大幅減となる。しかし14年度補正予算案は3284億円と、13年度の965億円から大幅増とし、総額では増加となる。安倍政権のアベノミクスによる積極的な財政運営を背景に、総額での予算拡大は認められる方向だ。
  • 前回に続き、最近日本語では滅多にお目にかからない、エネルギー問題を真正面から直視した論文「燃焼やエンジン燃焼の研究は終わりなのか?終わらせるべきなのか?」を紹介する。 (前回:「ネットゼロなど不可能だぜ」と主張する真っ当
  • ウクライナ戦争の影響を受けて、米国でもエネルギー価格が高騰し、インフレが問題となっている。 ラムスセン・レポート社が発表した世論調査によると、米国の有権者は気候変動よりもエネルギーコストの上昇を懸念していることがわかった

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑