気候作業部会・日本版報告書を作成:データが語る日本の気候と政策

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以前紹介したように、米国エネルギー長官クリストファー・ライトの指示によって、気候危機説を否定する内容の科学的知見をまとめた気候作業部会(Climate Working Group, CWG)の報告書が2025年7月23日に発表された。
タイトルは「温室効果ガス排出が米国気候に与える影響に関する批判的レビュー(A Critical Review of Impacts of Greenhouse Gas Emissions on the U.S. Climate)」である。
この内容については連載で詳しく紹介してきた。
さて、このCWG報告は、世界全体ないし米国における気候変動とその対策の影響についてまとめたものだった。そこで、補完するものとして、日本についての報告書を英文で作成してみた。
以下、題名、著者、要約、目次だけ紹介しよう。全文(英文)についてはリンクを参照されたい。
題名:日本における気候変動と気候政策の影響
著者:日本気候ワーキンググループ
(メンバー:松田智 静岡大学、室中善博 技術士事務所、杉山 大志 キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹、田中 博 筑波大学名誉教授、渡辺 正 東京大学名誉教授、山本 隆三 常葉大学名誉教授)
2025年9月23日
要旨
本報告では、気候モデルシミュレーションではなく、観測および統計的証拠に重点を置いて、気候変動に関する科学的知見を統合した。米国の気候ワーキンググループ(CWG)報告書との重複を避け、日本固有の側面に焦点を当てる。我々は、日本における観測および統計において、CWG報告書と矛盾する証拠は見出さなかった。観測および統計によれば、日本において自然災害の強度や頻度は長期的な増加を見せていない。日本政府は2050年までにCO2排出実質ゼロを達成するために数百兆円規模の投資を計画しているが、世界平均気温の低下効果は最大でも0.006℃、大雨の雨量低下の効果は最大でも0.04%にとどまる見込みである。総じて、日本のCO2排出実質ゼロ政策は費用便益の観点から合理性を欠いていると考えられる。
目次
- 台風激甚化の証拠はない
- 降水量は数十年規模の変動を示す
- 都市化による昇温は地球規模の温暖化を上回る
- 東京では寒さ関連の死亡率が暑さ関連の死亡率を30倍上回る
- 東京の年最低気温は6℃上昇している
- 地盤沈下と自然変動による海面変化は大きい
- 自然災害による死亡者数は大幅に減少している
- 産業空洞化によってCO₂排出量は減少している
- 2030年のCO2削減目標のコストは早くもGDPの5%に達する
- 2050年CO2実質ゼロ目標は費用対効果テストに合格しない
この「Japan CWG(JCWG)」 報告書の内容は、米国のCWG報告書と同様、過去数十年にわたって「気候危機説」を批判してきた研究者たちの論文等をまとめたものだ。だから、内容的には、拙著「データが語る気候変動問題のホントとウソ」にほぼ包含される。
今回紹介した英文報告書を読まずとも、拙著をご覧になれば内容はよく分かるので、もしよければご一読ください。
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(前回:米国の気候作業部会報告を読む⑪:災害のリスクは減り続けている) 気候危機説を否定する内容の科学的知見をまとめた気候作業部会(Climate Working Group, CWG)報告書が2025年7月23日に発表
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