RFK Jr.の2024年大統領選出馬表明と気候変動発言

出馬表明したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏
kennedy24.comより
4月5日、ロバート・F・ケネディ・ジュニアが、2024年の大統領選に立候補するために、連邦選挙委員会に書類を提出した。ケネディ氏は、ジョン・F・ケネディ元大統領の甥で、暗殺されたロバート・F・ケネディ元司法長官の息子である。
ケネディ氏は、環境問題を扱う弁護士として、ニューヨーク州のハドソン川浄化活動に取り組むなど、水に関するキャンペーンを展開して称賛を浴びてきた。一方で、数年前から反ワクチンの主張を唱えている。
3月のツイートでは、「私が立候補したら、米国経済を崩壊させ、中産階級をバラバラにし、この国の風景や水を汚染し、子どもにダメージを与え、私たちの価値と自由を奪ってきた、腐敗した国家と企業権力の合併を終わらせる。これが最優先事項だ」と述べている。
また、気候変動について、ケネディ氏が表明した見解を要約すると以下のようになる。
- COVIDが悪用されたのと同じく、気候変動は、全体主義によって社会を支配しようとする超富裕層によって、社会を締め付ける口実として利用されている。世界経済フォーラムも全体主義社会を生み出すために気候政策を利用している。
- 我々には、科学技術を駆使して開発したとされる解決策が提示される。これらの解決策を推進しているのは、そうした技術の特許を有している人々だ。
- 気候変動は貧しい人々の富を奪い、億万長者を豊かにするために利用される危機の一つに過ぎない。それが気候変動を悪者にした彼らのやり方であり、多くの人たちが理解するようになってきた。
- 私は、40年間、気候問題と科学技術の在り方について一貫した方針をとってきた。1980年代の私の演説をチェックして貰えば分る事だが、環境問題の最も重要な解決策はトップダウンによる規制ではなく、自由市場資本主義だ。
- 米国にあるのは自由市場資本主義ではなく、金持ちには快適な社会主義ともいえる企業の縁故資本主義だ。それは、貧しい人々にとっての残忍で野蛮で容赦のない資本主義だ。
- 私は、田舎や労働者階級のアメリカ人、特に猟師や漁師と協力したい。これらの人たちは、環境コミュニティの本流から疎外されている。
- 企業やその他のグループで気候虚言を支持する者たちは罰を受けるべきだ。
- 民主党は道に迷い、戦争、企業利益、検閲の党になり下がってしまった。2024年大統領選に私が出馬表明した理由はそこにある。
(引用元:RFK Jr. Says Climate Change Being Exploited to Push ‘Totalitarian Controls’ (theepochtimes.com))
今後、ケネディ氏は、再選の立候補を表明したジョー・バイデン大統領らと見えることになるが、民主党には気候変動を推進する議員が多い。今回、民主党から出馬表明をしたケネディ氏が気候変動に対してこのような意見表明をしたのを知り、意外な印象を持った。
米国における気候変動について、先月ピュー・リサーチ・センターが最新の調査結果を発表している。その結果の一つを紹介する。
このチャートから、以下のことが言える。
- 米国人の67%は再エネだけに頼ることに慎重であり、化石燃料と再エネを組み合わせたエネルギーミックスが重要だと考えている。
- 多くの米国人は段階的な化石燃料廃止には消極的だが、若い世代はよりオープンである。
- 民主党員と民主党支持者の間では、18 歳から 29 歳までの62%が化石燃料の完全廃止を支持、50 歳以上の民主党員は約40%が支持している。
- 共和党員のすべての年齢層で、石油、石炭、天然ガスなどのエネルギー源を組み合わせて使用し続けることを支持している。18 歳から 29 歳までの共和党員の22%が、米国は化石燃料を段階的に廃止すべきだと考えており、そのように考える50 歳以上の共和党員は10%未満である。
この調査結果を基に、我が国保守、自由民主党の環境政策を振り返ってみると、再エネ推進という声ばかりが聞こえ、再エネ議連などのニュースは報道されるが、積極的に化石燃料も利用していくべきだという声はほとんど聞かれない。
さて、バイデン政権や左派リベラル民主党は、超富裕層の意を受けてか、ワクチン、気候変動、CRT、LGBTQ+などを米国の内外に推進しようとしている。我が国政府も、唯々諾々と追従しているように見えてならない。
ケネディ氏は、2024年大統領選出馬表明に当たって、「民主党は道に迷い、戦争、企業利益、検閲の党になり下がってしまった」と説明した。
それでも、民主党の大統領選候補としては、バイデン氏が依然として有力視されているが、Fox Newsの最近の世論調査によれば、ケネディ氏は民主党の有権者の間でも20%前後の支持を得ているという。
バイデン親子には、中国やウクライナなどから多額の報酬を受け取っていたなどの疑惑が付いて回る。下院共和党から追及されるという話も出ており、大統領選の行方にも影響を与える。
正論を唱えるケネディ氏が大統領選を勝ち抜くのか、或いは、徒花で終わってしまうのか、今後の動向が気になるところである。

関連記事
-
G7伊勢志摩サミットに合わせて、日本の石炭推進の状況を世に知らしめるべく、「コールジャパン」キャンペーンを私たちは始動することにした。日出る国日本を「コール」な国から真に「クール」な国へと変えることが、コールジャパンの目的だ。
-
バイデン政権は温暖化防止を政権の重要政策と位置づけ、発足直後には主要国40ヵ国の首脳による気候サミットを開催し、参加国に2050年カーボンニュートラルへのコミットや、それと整合的な形での2030年目標の引き上げを迫ってき
-
地球温暖化の正しい測定は難しい。通常の気象観測では捉えきれない僅かな変化を、理想的な環境で100年以上観測し続ける必要あるからだ。 気象観測は世界各地で行われているが、このような分析に耐えるデータセットはまだ存在しない。
-
ウクライナ戦争の影響を受けて、米国でもエネルギー価格が高騰し、インフレが問題となっている。 ラムスセン・レポート社が発表した世論調査によると、米国の有権者は気候変動よりもエネルギーコストの上昇を懸念していることがわかった
-
政府のエネルギー基本計画はこの夏にも決まるが、その骨子案が出た。基本的には現在の基本計画を踏襲しているが、その中身はエネルギー情勢懇談会の提言にそったものだ。ここでは脱炭素社会が目標として打ち出され、再生可能エネルギーが
-
シンクタンク「クリンテル」がIPCC報告書を批判的に精査した結果をまとめた論文を2023年4月に発表した。その中から、まだこの連載で取り上げていなかった論点を紹介しよう。 ■ 地域的に見れば、過去に今よりも温暖な時期があ
-
「福島の原発事故で放射能以上に恐ろしかったのは避難そのもので、精神的ストレスが健康被害をもたらしている」。カナダ経済紙のフィナンシャルポスト(FP)が、このような主張のコラムを9月22日に掲載した。この記事では、放射能の影響による死者は考えられないが、今後深刻なストレスで数千人の避難住民が健康被害で死亡することへの懸念を示している。
-
以前にも書いたことであるが、科学・技術が大きく進歩した現代社会の中で、特に科学・技術が強く関与する政策に意見を述べることは、簡単でない。その分野の基本的な知識が要るだけでなく、最新の情報を仕入れる「知識のアップデート」も
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間