英保守党も脱・脱炭素で、オール与党で脱炭素はもう日本だけ
英国保守党のケミ・ベーデノック党首が、脱・脱炭素宣言をした。保守党のホームページに、スピーチ全文が掲載されている。
機械翻訳も付けておこう。
メディアも一斉に反応している。
ケミ・ベーデノックは、2050年にCO2をゼロにするなどというのは、幻想(fantasy)にすぎず、実現不可能で、それを実現しようとするとコストがかかりすぎ経済が破滅する、として、自らをネットゼロ懐疑者(Net Zero Sceptic)であると呼んだ(なお、ネットゼロというのは実質ゼロということで、英国では脱炭素をしてCO2をゼロにすることをこのように呼ぶ)。
保守党は、先の選挙では大敗したものの、労働党と代わる代わる政権を担当してきた英国の二大政党のうちの一つである。その保守党党首が、脱炭素を止めると宣言したことは重大だ。
ドイツでも、最近行われた総選挙で第2党に躍進したAfD(ドイツの為の選択肢)は、明確に脱炭素政策に反対してきた。アリス・ヴァイデル共同党首は、イーロン・マスクとの会談で、党の2大公約として、不法移民への対処に次いで、脱炭素の放棄を掲げていたほどだ。
これで、米国の与党・共和党はもちろんのこと、ドイツの最大野党・AfD、英国の最大野党・保守党と、脱炭素に反対する有力な政党が米・独・英に出そろったことになる。
翻って日本では、参政党と日本保守党は明確に脱炭素に反対しているが、自民党、立憲民主党、国民民主党、維新など、ほぼオール与党で脱炭素を推進しつづけている。
日本はいつも周回遅れだが、いつまでこんな愚かなことをしているのだろうか。ケミ・ベーデノックの演説を読んで、考え直して、「脱炭素懐疑者」に転向すべきだ。彼女の脱炭素政策批判は、ほとんどそのまま日本にも当てはまる。脱炭素は、幻想にすぎず、実現不可能で、経済が破滅する、愚かな政策だ。
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