CO2は好影響こそが明白であることを環境経済学で示した

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このほど、ワーキングペーパー「CO2増加の好影響の環境経済学的評価」を発表したので紹介しよう。検討したのは、CO2濃度の上昇がもたらす悪影響ではなく、これまで十分に評価されてこなかった好影響である。
CO2を排出すると、気候変動を通じて健康や環境に被害をもたらす、という推計は数多く行われてきた。たとえばIPCC第5次評価報告書では、追加的な約2度の温暖化による世界全体の経済損失について、所得の0.2%から2.0%という幅のある推計が示されている。
このように幅が大きいことは、推計方法や前提によって結果が大きく変わることを意味している。
ところが、こうした議論では、CO2が増えることによる便益は故意に軽視されてきた。そこで今回、悪影響の評価で使われてきた積み上げ型の環境経済学的手法を、そっくりそのまま便益側にも対称的に適用した。
その結果、CO2増加の好影響は、中心推計で年間約1.93兆ドル、2024年の世界GDP比で約1.73%となった。内訳で大きいのは二つである。
第一は、CO2施肥効果(=CO2が肥料のように働く効果)による作物収量・生産性の向上で、GDP比約0.49%に相当する。第二は、温暖化による温度関連死亡の正味減少で、同じく約1.16%である。
CO2施肥効果で作物生産が増えるのは、CO2が植物の光合成の原料であることを考えれば当然である。施設園芸では、実際にCO2を供給して生産性を高める技術が使われている。大気中のCO2濃度上昇も、これと同じ方向に働く。
健康影響についても、暑さによる死亡増加だけを見ていては全体を誤る。世界の超過死亡では、暑さよりも寒さに関連する死亡の方がはるかに多い。近年の研究では、温暖化によって暑熱関連死亡はやや増える一方、寒冷関連死亡はそれよりも減っており、正味では死亡率が下がっている。
このように、CO2と温暖化の便益は、すでに現時点、つまり産業革命前からの気温上昇が約1℃である時点で、世界のGDPの1.7%程度に達している。これに対し、悪影響側の推計は、不確かなシミュレーションに依存した推計にすぎないものだった。その大きさも、産業革命前に比べて2℃上昇になった時点においてGDPの0.2%から2%の間になると推計されているに過ぎない。
CO2を悪影響をもたらすものと決めつけて評価するのは科学的ではない。環境経済学による積み上げ手法を好影響と悪影響に等しく適用して示されたことは、好影響は、より明白で、すでに顕在化しており、しかも悪影響よりも大きいということだ。
国民経済に甚大な負担がかかる急激な脱炭素政策は正当化できない。
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