「東日本大震災からの農林水産業の復興に向けて―被害の認識と理解、復興へのテクニカル リコメンデーション」

2012年01月23日 15:00

この勧告は農業の技術的な提言に加えて、日本の現状を分析しています。

「放射能汚染を受けた地域の農業関係者に共通するのは、風評被害に対する恐怖である。それが、極端にいえば、「村に一切の放射能がない状態への復元」という実現不可能な除染を望む声を生み、結果的に除染が一向にすすまない状況を生んでいる場合さえある。」

「 消費者が、事故発生時点の「何が起こったか分からない」という状況で、事故地周辺の農産物を避けたのは正当なリスク回避の一つであったともいえよう。しかし、現在、放射性物質による汚染がほぼ正確に理解され、出荷、流通段階での検査等で安全性が確認された状況で、同じことをするのは公正な市場を損ねることになりかねない。」

「残念ながら、ときに、他地域の地方自治体と住民までが「風評加害者」となり、放射能汚染は、差別のような日本人の心の汚染にまで広がっているという
指摘さえある。」

いずれも重要な指摘です。

This page as PDF

関連記事

  • 国連科学委員会の中の一部局、原子放射線の影響に関する国連科学委員会は、昨年12月に報告書をまとめ、国連総会で了承された。その報告書の要約要旨を翻訳して掲載する。迂遠な表現であるが、要旨は国連の報告書間で整合性が取れていないこと、また低線量被曝についてのコンセンサスがないことを強調している。
  • 3月11日の大津波により冷却機能を喪失し核燃料が一部溶解した福島第一原子力発電所事故は、格納容器の外部での水素爆発により、主として放射性の気体を放出し、福島県と近隣を汚染させた。 しかし、この核事象の災害レベルは、当初より、核反応が暴走したチェルノブイリ事故と比べて小さな規模であることが、次の三つの事実から明らかであった。 1)巨大地震S波が到達する前にP波検知で核分裂連鎖反応を全停止させていた、 2)運転員らに急性放射線障害による死亡者がいない、 3)軽水炉のため黒鉛火災による汚染拡大は無かった。チェルノブイリでは、原子炉全体が崩壊し、高熱で、周囲のコンクリ―ト、ウラン燃料、鋼鉄の融け混ざった塊となってしまった。これが原子炉の“メルトダウン”である。
  • (GEPR編集部より)12月8日に開催されたアゴラシンポジウムで行われた、原子力委員会の鈴木達治郎氏の基調講演で使われた、プレゼンテーション資料を公開します。鈴木様に感謝を申し上げます。内容をたどれば、基調講演の内容が、ほぼ分かります。
  • バズフィードとヤフーが、福島第一原発の処理水についてキャンペーンを始めたが、問題の記事は意味不明だ。ほとんどは既知の話のおさらいで、5ページにようやく経産省の小委員会のメンバーの話が出てくるが、海洋放出に反対する委員の話
  • ロシアの国営原子力企業ロスアトムが、日本とのビジネスや技術協力の関係強化に関心を向けている。同社の原子力技術は、原子炉の建設や安全性から使用済み核燃料の処理(バックエンド)や除染まで、世界最高水準にある。トリチウムの除去技術の活用や、日本の使用済み核燃料の再処理を引き受ける提案をしている。同社から提供された日本向け資料から、現状と狙いを読み解く。
  • 台湾が5月15日から日本からの食品輸入規制を強化した。これに対して日本政府が抗議を申し入れた。しかし、今回の日本は、対応を間違えている。台湾に抗議することでなく、国内の食品基準を見直し、食品への信頼感を取り戻す事である。そのことで、国内の風評被害も減ることと思う。
  • サウジアラビアのエネルギー・産業・鉱物資源省(石油担当)大臣で、国営石油会社のサウジアラムコ会長を兼ねるカリード・A・アル・ファーレフ氏が9月1日の東京のセミナー「日本サウジアラビア〝ビジョン2030〟ビジネスフォーラム」で行った発言の要旨が公表された。
  • 2014年10月23日に首脳レベルで構成される欧州理事会において、2030年のパッケージが決定された。そのポイントは以下のとおりである。●2030年に最低でもGHG排出量を1990年比最低でも▲40%。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑