今週のアップデート — スマートグリッドをどのように日本で普及させるべきか(2012年4月2日)
今週のコラム
1)スマートグリッドと呼ばれる、情報通信技術と結びついた新しい発送電網の構想が注目されています。東日本大震災と、それに伴う電力不足の中で、需要に応じた送電を、このシステムによって実施しようとしているのです。
エネルギーリサーチャーで、インターテック社代表の新谷隆之氏に「一般家庭への拙速なスマートメーター導入への疑問 — 日本に置けるスマートグリッドの現状」という解説コラムを寄稿いただきました。
現状を概観した上で、普及のためにはもう少しデータの集積・調査が必要ではないかという提言を行っています。
2)日本では東日本大震災の後のがれきの処理が進んでいません。その理由の一つは、がれきに放射能に汚染されているというデマです。GEPR編集部は「進まないがれき処理、被災地では片付け進む−現地リポート」を提供します。岩手県陸前高田市、宮城県石巻市のがれきの状況を、写真で紹介します。
3)GEPRはNPO国際環境経済研究所(IEEI)と提携し、今後はコンテンツの共用をしていきます。同研究所の所長である澤昭裕氏が執筆した「曲解だらけの電源コスト図made byコスト等検証委員会」を掲載します。
政府の国家戦略室が昨年秋に公開した電源コスト図は自然エネルギーに対して甘い判断がくだされ、原発について厳しい評価に傾いていると批判を集めています。それを、このコラムは分析しています。
今週のリンク
1)環境省のがれき問題についてのPR記事です。「環境省が推進するがれき広域処理の意味――前編:大量のがれき」ジャーナリストの津田大介さんが執筆し、さまざまな意見に目配りがされています。
2)アゴラ研究所の池田信夫所長がニューズウィークにコラムを寄稿しています。「「賢い省エネ」が新しい産業を生み出す」
スマートグリッド問題の現状を分析したものです。
3)米国FERC(連邦規制委員会)がまとめた2010年のディマンド・リスポンス(スマートグリッドを使った電力の需給調整)の評価報告書(英語)「2010 Assessment of Demand Response and Advanced Metering Staff Report」
電力会社から需要家の家電機器を直接遠隔操作する「直接負荷制御」という取り組みがピーク需要削減に効果があると指摘しています。

関連記事
-
有馬純 東京大学公共政策大学院教授 今回のCOP25でも化石賞が日本の紙面をにぎわした。その一例が12月12日の共同通信の記事である。 【マドリード=共同】世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」は11日、地球温暖
-
東日本大震災を契機に国のエネルギー政策の見直しが検討されている。震災発生直後から、石油は被災者の安全・安心を守り、被災地の復興と電力の安定供給を支えるエネルギーとして役立ってきた。しかし、最近は、再生可能エネルギーの利用や天然ガスへのシフトが議論の中心になっており、残念ながら現実を踏まえた議論になっていない。そこで石油連盟は、政府をはじめ、広く石油に対する理解促進につなげるべくエネルギー政策への提言をまとめた。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「グローバルエナジー・ポリシーリサーチ(GEPR)」は、12年1月1日の開設から1周年を経過しました。読者の皆さまのご支援、ご支持のおかげです。誠にありがとうございます。
-
東洋経済オンラインに掲載された細野豪志氏の「電力危機に陥る日本「原発再稼働」の議論が必要だ」という記事は正論だが、肝心のところで間違っている。彼はこう書く。 原発の再稼働の是非を判断する権限は原子力規制委員会にある。原子
-
菅首相の16日の訪米における主要議題は中国の人権・領土問題になり、日本は厳しい対応を迫られると見られる。バイデン政権はCO2も重視しているが、前回述べた様に、数値目標の空約束はすべきでない。それよりも、日米は共有すべき重
-
例年開催されるCOPのような印象を感じさせたG7が終わった。新聞には個別声明要旨が載っていた。気候変動対策については、対策の趣旨を述べた前文に以下のようなことが書かれていた。 【前文】 遅くとも2050年までにCO2の排
-
COP26において1.5℃目標、2050年カーボンニュートラルに向けて強い政治的メッセージをまとめあげた英国であるが、お膝元は必ずしも盤石ではない。 欧州を直撃しているエネルギー危機は英国にも深刻な影響を与えている。来春
-
科学的根拠の無い極端な気候危機説が溢れかえっているのは日本だけではなく米国も同じだ。 米国の大手テレビ局であるフォックス・ニュースの名物キャスターであるタッカー・カールソンが気候危機説を真向から批判している番組があったの
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間