原子力により防がれた従来および予測される死亡者数および温室効果ガスの排出量
米国化学会機関誌「Environmental Science and Technology」47号、2013年掲載 (記事、英語では全文公開)
要約:
2011年3月の福島第一原子力発電所事故の余波により、今後の世界的エネルギー供給への原子力の貢献はいくぶん不確かなものとなった。原子力は潤沢で低炭素のベースロード電源であるため、世界的な気候変動と大気汚染緩和に大きな貢献をすることができるものだ。過去の生産データを用いた我々の計算では、地球の原子力は平均して、化石燃料燃焼した場合の大気汚染に関連した184万人の死、そして、二酸化炭素換算64ギガトン(GtCO2-eq)の温室効果ガス排出を防止した。福島事故を考慮した世界的な投影データに基づいて、どの化石燃料におきかえられるかにもよるが、今世紀半ばまでに原子力はさらなる化石燃料による平均42万〜104万人の死および80〜240GtCO2-eqの排出を防止することができることがわかった。対照的に我々は、制約のない天然ガス使用の大規模な拡大は気候問題緩和にはならず、原子力の利用拡大よりもはるかに多くの死をもたらすと評価する。
(2013年8月26日掲載)
関連記事
-
6月21日の某大手新聞に、同社が6月前半に実施した主要100社への景気アンケート調査結果が掲載された。その中に「原発」に関する調査結果が記載されている。
-
はじめに 日本の放射線利用では不思議なことが起きている。胸部エックス線検査を受けたことが無い人はいないだろうし、CT(Computed Tomography)やPET(陽電子放射断層撮影)も広く知られ実際に利用した人も多
-
福島原発事故は、現場から遠く離れた場所においても、人々の心を傷つけ、社会に混乱を広げてきた。放射能について現在の日本で健康被害の可能性は極小であるにもかかわらず、不安からパニックに陥った人がいる。こうした人々は自らと家族や子供を不幸にする被害者であるが、同時に被災地に対する風評被害や差別を行う加害者になりかねない。
-
政府は2030年までに温室効果ガスを2013年比で26%削減するという目標を決め、安倍首相は6月のG7サミットでこれを発表する予定だが、およそ実現可能とは思われない。結果的には、排出権の購入で莫大な国民負担をもたらした京都議定書の失敗を繰り返すおそれが強い。
-
低線量の電離放射線被曝による発がんリスクについては、議論が分かれる。低線量ではデータが正確ではなく、しばしば矛盾するため、疫学的方法のみでは評価することはできない。
-
マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者たちによる新しい研究では、米国政府が原子力事故の際に人々が避難すること決める指標について、あまりにも保守的ではないかという考えを示している。
-
「甲状腺異常が全国に広がっている」という記事が報道された。反響が広がったようだが、この記事は統計の解釈が誤っており、いたずらに放射能をめぐる不安を煽るものだ。また記事と同じような論拠で、いつものように不安を煽る一部の人々が現れた。
-
2030年の電源構成(エネルギーミックス)について現時点で予断はできない。だが、どのようなミックスになるにせよ、ヒートポンプ・EVを初めとした電気利用技術は温暖化対策の一つとして有力である。さらに、2030年以降といった、より長い時間軸で考えると、電力の低炭素化は後戻りしないであろうから、電力化率(=最終エネルギーに占める電力の割合)の上昇はますます重要な手段となる。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間












