今週のアップデート — 原発再稼動を考える(2014年2月10日)

2014年02月10日 13:00

アゴラ研究所の運営するエネルギー調査機関の「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

原子力規制委員会は何を審査しているのか
1)【本記】 2)【要旨】 3)【資料】

アゴラ研究所は、2月4日にインターネット放送「言論アリーナ」で「原子力規制委員会は何を審査しているのか」という放送を行いました。

出演者は、諸葛宗男(もろくず・むねお)元東京大学公共政策大学院特任教授・NPO法人原子力の安全と利用を促進する会理事、澤田哲生・東京工業大学助教、池田信夫・アゴラ研究所所長。原子力規制委員会の活動の問題点を議論しました。

その内容を、報告、要旨、さらに諸葛氏の作った資料に分けて公開します。

同委員会の活動の問題は、適正手続きを省略して、原子力発電所の設備についてバックフィット(法の遡及適用)を行う問題の多いものです。これを分析しています。

今週のリンク

1)(映像)原子力規制委員会は何を審査しているのか

今回記事で取り上げた言論アリーナの更新です。GEPRトップページ上部に掲載します。

2)原子力発電所の新規制施行に向けた基本的な方針(私案)

原子力規制委員会が法律上あいまいで、政省令上に明確な規定のない原発へのバックフィットを行っています。その根拠がこの文章ですが、委員会の田中俊一委員長のメモにすぎません。こうしたあいまいなもので国の行政が動く、おかしな状況になっています。

3)もう「原発こわい祭」は終わりにしよう

池田信夫アゴラ研究所所長の論考。2月9日に投開票が行われた東京都知事選は舛添要一氏が当選しました。原発ゼロを掲げた細川護煕氏、宇都宮健児氏は落選しました。リスクゼロにするその騒ぎの無意味さを、指摘しています。

4)米国における持続可能エネルギー調査白書 2014年版

ブルームバーグ・ニューエナジーファイナンス。米国事情を紹介するリポート(英語)。米国ではわずか5年前に比べて、エネルギーの消費効率が向上し、二酸化炭素排出量が減少しており、さまざまな最新技術の影響で、過去何十年も続いてきたエネルギーを取り巻く環境が変化しつつあることを伝えています。

5)官房長官、新エネ計画「もんじゅ含め議論・決定」

日経2月7日記事。菅義偉官房長官は7日の閣議後の記者会見で、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の実用化に向けた目標や組織の見直しを示唆しました。月内にも閣議決定するエネルギー基本計画に関し「もんじゅを含め徹底的に議論し、与党とも調整して決定する」としています。国は1兆円の支出をしましたが、その見直しは画期的なことです。

This page as PDF

関連記事

  • 元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 前稿で、現代の諸問題について現役の学者・研究者からの発言が少ないことに触れた。その理由の一つに「同調圧力」の存在を指摘したが、大学が抱えている問題はそれだけではない。エネルギー
  • 経済産業省は東電の原子力部門を分離して事実上の国営にする方向のようだが、これは順序が違う。柏崎刈羽原発を普通に動かせば、福島事故の賠償や廃炉のコストは十分まかなえるので、まず経産省が今までの「逃げ」の姿勢を改め、バックフ
  • バックフィットさせた原子力発電所は安全なのか 原子力発電所の安全対策は規制基準で決められている。当然だが、確率論ではなく決定論である。福一事故後、日本は2012年に原子力安全規制の法律を全面的に改正し、バックフィット法制
  • 福島第一原子力発電所の事故処理、特にその技術的課題に世間の耳目が集まる一方、その地域に住む人々の暮らしについては見過ごされがちである。しかし私には、事故を起こした原子力発電所とともに生きた経験がある。
  • 11月24日にCOP29が閉幕して、2035年までに、先進国は途上国への「気候資金」の提供額を年間3000億ドルまで増加させることを約束した。現在の為替レートで48兆円だ。 「気候資金」の内容は、①途上国が受ける気候災害
  • 厚生労働省は原発事故後の食品中の放射性物質に係る基準値の設定案を定め、現在意見公募中である。原発事故後に定めたセシウム(134と137の合計値)の暫定基準値は500Bq/kgであった。これを生涯内部被曝線量を100mSv以下にすることを目的として、それぞれ食品により100Bq/kgあるいはそれ以下に下げるという基準を厳格にした案である。私は以下の理由で、これに反対する意見を提出した。
  • 2025年5月22日、米下院はトランプ大統領が「One Big Beautiful Bill(ビッグ・ビューティフル・ビル)」と呼ぶ歳出・歳入一括法案を、賛成215、反対214(棄権1)で可決した。 本法案の柱は、大規模
  • 電力需給が逼迫している。各地の電力使用率は95%~99%という綱渡りになり、大手電力会社が新電力に卸し売りする日本卸電力取引所(JEPX)のシステム価格は、11日には200円/kWhを超えた。小売料金は20円/kWh前後

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑