今週のアップデート - 健康、経済、多様なエネルギー論点(2015年1月13日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。今年初の更新となります。よろしくお願いします。
今週のアップデート
1) 福島の議論はなぜ決着がつかないのか:科学の限界と科学者の責任
福島の相馬中央病院の医師、越智小枝さんの寄稿です。福島で、健康被害の懸念について、決着のつかない、奇妙な定常状態が生じていると指摘。問題解決の難しさの背景に考察をめぐらせています。
2) 電力料金値上げ、苦しむ経営者の声-鋳造、特殊ガラス製造
原発の停止が続き、電力料金の上昇が続いています。下がる気配がありません。電力多消費産業の経営者の話を聞きました。反原発に傾いた日本のメディアでは、企業の損害をなかなか伝えません。多角的な議論のために、それを紹介します。
提携する国際環境経済研究所の竹内純子主席研究員の寄稿です。再生可能エネルギーの負担問題を、同研究所が取材を受けたことから紹介。法律の制定の経緯が語られます。菅直人首相(当時)が再エネ事業に進出する孫正義氏と一緒に、法制定に動いていた事実を再確認できます。
今週のリンク
福島在住の方による寄稿。脱原発を主張するのは自由だが、ここまで健康に問題がないという調査が重なっているのに危険を強調するのはおかしいという主張です。こうした当たり前のことを、もっと拡散していきましょう。
2)26年産新米基準超ゼロ 風評払拭へ大きく前進 放射性物質検査
福島民報1月9日記事福島の昨年の新米で、放射性物質の基準超えがゼロになったという報告です。福島の農業関係者の努力によるもので、喜ばしいニュースです。
読売新聞1月10日記事。福島県の新生児の異常が、全国平均並みという分析と、風評払拭に、福島県の医療関係者の努力があったという報道です。これも喜ばしいニュースです。
朝日新聞1月11日記事。原油安を受けて、その競争的な立場にあるシェールガスの開発企業が米国で経営破綻しました。この種の企業の採算ラインは現時点の石油価格1バレル=60ドル前後が多いとされます。この動きが広がるか、注意が必要です。
朝日新聞1月11日記事。原発の寿命を40年にするというルールの適用を受けて、電力各社が70年代の原発の廃炉を検討しています。それを整理した記事ですが、第一世代原発の世代交代は必要なものの、代替電源の手当にも、政策上の配慮が必要です。

関連記事
-
2015年3月11 日公開。高田純氏(札幌医科大学教授)、池田信夫氏(アゴラ研究所所長)が出演。司会は石井孝明氏(ジャーナリスト)。震災、原発事故から4年が経過した福島の現状と、政策の妥当性を分析。非科学的な言説、デマが
-
波紋を呼んだ原田発言 先週、トリチウム水に関する韓国のイチャモン付けに対する批判を書かせていただいたところ、8千人を超えるたくさんの読者から「いいね!」を頂戴した。しかし、その批判文で、一つ重要な指摘をあえて書かずにおい
-
今年5月9-13日、4年に一度開催される放射線防護学の国際会議IRPA(国際放射線防護学会:International Radiation Protection Association)が南アフリカ共和国で開催された。IRPA14ケープタウン会議である。私は福島軽水炉事象の20km圏内の低線量の現実を報告するために、片道30時間をかけて現地へ向かった。福島は国際核事象尺度INESでレベル6であると評価引き下げを提案した私の報告は議長をはじめ参加した専門家たちの賛同を得た。
-
アゴラ研究所・GEPRはインターネット放送「言論アリーナ」を運営している。東日本大震災、そして福島第一原発事故から4年となる、3月11日に「なぜ正確な放射能情報が伝わらないのか-現地視察した専門家の提言」を放送した。
-
大手メディアは無視したが、ハフィントンポストが「福島の子供の甲状腺がん発症率は20~50倍」という津田敏秀氏の外人記者クラブでの発表を報じている。私は疫学の専門家ではないが、Togetterで専門家から多くの批判が出ている。
-
チェルノブイリ原発事故の後で、強制避難の行われた同原発の近郊に避難後に戻り、生活を続ける自主帰還者がいる。放射能が危険という周囲の見方と異なり、その人たちは総じて長生きであり、自分では健康であると述べている。
-
問・信頼性を確保するためにどうしましたか。 クルード博士・委員会には多様な考えの人を入れ、議論の過程を公開し、多様な見解をリポートに反映させようとしました。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間