COP21と温暖化問題、アゴラ・GEPRでの解説
地球温暖化の防止策を議論するCOP21(国連・気候変動枠組条約第21回締約国会議)がパリで、11月30 日から12月11日の日程で開かれる。11月に悲劇的な大規模テロ事件があったこと、そし1997年に締結された京都議定書以来の国際的枠組みの決定ということで、各国の首脳が参加している。


ただし、協議の結末は事前に予想されている。
1・各国が自らの削減義務を明示し、実行を誓約(Pledge)した上で、その実現を検証(Review)する「プレッジ&レビュー」という形の温室効果ガスの排出規制を行う。これは京都議定書のように、削減数値目標を定め、義務を強める形とは異なる。
2・温暖化で損害を受けつつある途上国のエネルギー問題の改善、気候変動対策に支援を行う。
3・日本は、「プレッジ&レビュー」を支持し、技術協力などによる温暖化問題の解決を求めている。
この合意に基づいての今後の各国の取り組みが、温暖化を止めるために重要な問題になる。
科学的知見を集めたIPCC(国連・気候変動に関する政府間パネル)は第5次報告を14年までにまとめ、人為的要因の影響度の大きさ、気候変動によって悪影響が広がることの問題点を指摘している。
言論プラットホームのアゴラ、そしてそのエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)は、以下の報告を行ったので、問題を考える参考にしていただきたい。
2015年10月1日放送。出演は、有馬純(東京大学公共政策大学院教授)、池田信夫(アゴラ研究所所長)、司会は石井孝明(ジャーナリスト・GEPR編集者)の各氏。有馬氏は、経産省で、地球温暖化問題の首席交渉官。年末のCOP21に向け、これまでの交渉を振り返り、今後何をすべきかを議論。環境だけではなく、国益をかけた経済交渉の側面があることで、参加者は一致した。
京都議定書の失敗を繰り返すな COP21は「フリーライダーの祭典」
池田信夫アゴラ研究所所長のJBPress10月21日記事。池田氏が、政府内で見た京都議定書をめぐる批准の混乱、そしてその後の日本の負担を整理している。今の交渉でも参考になる。日本は国際的取り決め、国連の議論を美化する傾向があり気をつけるべきだ。
2015年4月21日公開。出演は杉山大志(電力中央研究所上席研究員・IPCC第5次報告書統括執筆責任者)、竹内純子(国際環境経済研究所理事・主席研究員)、司会は池田信夫(アゴラ研究所所長)の各氏だった。日本で議論の進むエネルギーミックス、またそれと関連した温室効果ガスの削減目標と年末のCOP21への対応を話し合った。原発、省エネ、コストの諸問題に正面から向き合わない日本の問題を指摘した。
【映像】地球は本当に温暖化しているのか-IPCC、ポスト京都を考える
13年9月3日公開。出演者は国立環境研究所で気候変動リスク評価研究室長を務める江守正多、国際環境経済研究所(IEEI)の所長である澤昭裕、アゴラ研究所所長の池田信夫の各氏。地球は本当に温暖化しているのか。科学の視点から考えた。
(GEPR編集担当 石井孝明)
(2015年12月7日掲載)

関連記事
-
夏も半分過ぎてしまったが、今年のドイツは冷夏になりそうだ。7月前半には全国的に暑い日が続き、ところによっては気温が40度近くになって「惑星の危機」が叫ばれたが、暑さは一瞬で終わった。今後、8月に挽回する可能性もあるが、7
-
前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。 今回は人間の健康への気候変動の影響。 ナマの観測の統計として図示されていたのはこの図Box 7.2.1だけで、(気候に関連する)全要因、デング熱
-
全国の電力会社で、太陽光発電の接続申し込みを受けつけないトラブルが広がっている。これは2012年7月から始まった固定価格買い取り制度(FIT)によって、大量に発電設備が設置されたことが原因である。2年間に認定された太陽光発電設備の総発電量は約7000万kW、日本の電力使用量の70%にのぼる膨大な設備である。
-
2050年にCO2をゼロにすると宣言する自治体が増えている。これが不真面目かつ罪作りであることを前に述べた。 本稿では仮に、日本全体で2050年にCO2をゼロにすると、気温は何度下がり、豪雨は何ミリ減るか計算しよう。 す
-
東京電力の元社員の竹内さんが、一般の人に知らないなじみの少ない停電発生のメカニズムを解説しています。
-
原発の停止により、化石燃料の使用増加で日本の温室効果ガスの削減とエネルギーコストの増加が起こっていることを指摘。再生可能エネルギーの急増の可能性も少なくエネルギー源として「原子力の維持を排除すべきではない」と見解を示す。翻訳は以下の通り。
-
誰でも見たことがあるだろう、このコンビニのローソンの領収書がかなり変わったものであると、分かるだろうか。3月1日に東京電力福島第1原子力発電所の大型休憩所内に開店した店で発行されたものだ。作業員の人々で店は賑わっていた。こうした町中にある店が原発構内に開店したということは、福島原発事故における周辺環境への危険が低下していることを示すものだ。
-
(写真1)モンサント社ロゴとホームページ(米国本社)(日本モンサント) 米国農業探訪取材・第2回・全4回 第1回「社会に貢献する米科学アカデミー」 食糧不足は技術で解決できるのか? 「世界の食糧が足りなくなるのではないか
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間