今週のアップデート=ロスアトム、水とトリチウム分離に成功(7月19日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを更新しました。
今週のアップデート
ロシアの原子力企業ロスアトムが、水とトリチウムの分離のための実証実験に6月に成功したと発表しました。ロスアトム広報部に寄稿を依頼したところ、日本語翻訳を提供されました。それを掲載します。福島第一原発では放射性物質を取り除いても、トリチウムが残った水を海に流せなくなっています。この技術が実用化されれば、状況は変わる可能性があります。
新エネルギー源のメタンハイドレートに関心が高まっています。しかし、その関心には過剰なものが見られます。まだ埋蔵量の全貌も明らかになっていません。今分かることをまとめてみました。
中国が南シナ海、東シナ海で海上進出の動きを強めています。それをめぐり、元外交官、元自衛官に先行きの話を聞きました。
今週のリンク
石井吉徳東大名誉教授のブログ。メタンハドレートの資源化調査をかつて行った石井氏の評価です。「質」が悪い」「利権を生みかねない」と指摘しています。全面的に賛成する必要はありませんが、一つの見方として紹介します。
経産省・資源エネルギー庁。経産省が2001年からメタンハイドレートの開発研究を、有識者を集めて行っています。現在、「第3フェーズ」と名付けられた商業化の計画が練られています。
産経新聞7月15日。福島事故の対応計画を練る原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業の新たな「戦略プラン」で建屋をコンクリートで覆う「石棺」に言及し、地元の反発を招きました。汚染物質の除去をしないことになるためです。これを考える必要はないし、地元への丁寧な説明が必要です。
英フィナンシャル・タイムズ7月19日記事。シェールガスで大量の生産が始まった米国から産出の中心である中東へガスが輸出されました。エネルギーの流れが変わろうとしています。
毎日新聞7月17日記事。トルコで16日にクーデタが発生、鎮圧されました。トルコはロシア、中東から欧州へのガス、石油のパイプラインが通過しており、その影響は現時点で出ていないものの注視する必要があるでしょう。

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【要旨】過去30年間、米国政府のエネルギー技術革新への財政支援は、中国、ドイツ、そして日本などがクリーン・エネルギー技術への投資を劇的に増やしているにもかかわらず著しく減少した。政府のクリーン・エネルギー研究開発への大幅な支出を増やす場合に限って、米国は、エネルギー技術革新を先導する現在の特別の地位を占め続けられるはずだ。
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