今週のアップデート=核燃料サイクルの未来(2016年10月5日)

2016年10月05日 18:55

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク、GEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1)核燃料サイクルに未来はあるか

池田信夫アゴラ研究所所長の論考です。もんじゅが正式決定ではないものの、廃炉の方向に追い込まれつつあります。これまでの議論、核燃料サイクルについての分析をまとめています。既存の政策の継続についての疑問を示し、選択肢の整備を主張しています。

2 )高速炉開発の意義を原点に戻って考えよう

もんじゅ開発を担当した技術者の論考です。上記と対象的な意見で、日本のエネルギーの自立のため、また資源枯渇に備えた高速炉の必要性を訴えています。

3)露ロスアトム社、医療用放射性物質の販売拡充−日本への期待

ロシアのロスアトムについては、世界的に重要な企業なのに、日本ではあまり知られていません。医療用関係での情報レターを抜粋しました。医療分野での日露協力が今後進展するかもしれません。

 今週のリンク

1)「夢の原子炉」もんじゅが廃炉へ 産経は「核燃サイクル不可欠」と主張 朝・毎は事業継続にも反対

産経新聞10月5日記事。もんじゅをめぐる世論は、残念ながら廃止に傾いているのが現状です。

2)福島原発 8兆円負担増 電事連、国費求める

毎日新聞10月4日記事。当初9兆円だった事故対策費用が17兆円に膨らんでいると、電事連が試算。この問題提起は当然です。過度な除染、補償のつけが顕在化しつつあります。

3)原発事業者の事故賠償に上限案 超えた分は国民負担も

朝日新聞10月2日記事。原子力事故の負担についてあいまいな状況が続いています。国の負担について議論が進んでいます。そこで国、電力業界から、事業者の有限責任論が出ています。しかし反発も強く、今後の検証が必要になります

This page as PDF

関連記事

  • 福島第一原発の後で、エネルギーと原発をめぐる議論が盛り上がった。当初、筆者はすばらしいことと受け止めた。エネルギーは重要な問題であり、人々のライフライン(生命線)である。それにもかかわらず、人々は積極的に関心を示さなかったためだ。
  • 問題:北緯60度から70度の間の世界の森林(シベリアやアラスカなど)を全部伐採したら、地球はどれだけ温暖化するか? 答え:0.4℃、気温が下がる(上がるのではない!) あれ? 温暖化対策のために、植林しているんじゃなかっ
  • きのうの言論アリーナでは、東芝と東電の問題について竹内純子さんと宇佐見典也さんに話を聞いたが、議論がわかれたのは東電の処理だった。これから30年かけて21.5兆円の「賠償・廃炉・除染」費用を東電(と他の電力)が負担する枠
  • 「2020年までに地球温暖化で甚大な悪影響が起きる」とした不吉な予測は多くなされたが、大外れだらけだった。以下、米国でトランプ政権に仕えたスティーブ・ミロイが集めたランキング(平易な解説はこちら。但し、いずれも英文)から
  • 「気候変動の真実 科学は何を語り、何を語っていないか」については分厚い本を通読する人は少ないと思うので、多少ネタバラシの感は拭えないが、敢えて内容紹介と論評を試みたい。1回では紹介しきれないので、複数回にわたることをお許
  • ANNニュースから
    はじめに インターネットでウランを売買していた高校生が摘発された。普通、試験管に入った量程度のウランを売買するのに国への報告が必要になるとは気が付かないが、実はウランは少量でも国に報告しなければならないことになっている。
  • 福島の「処理水」の問題は「決められない日本」を象徴する病理現象である。福島第一原発にある100万トンの水のほとんどは飲料水の水質基準を満たすので、そのまま流してもかまわない。トリチウムは技術的に除去できないので、薄めて流
  • 米朝首脳会談の直前に、アメリカが「プルトニウム削減」を要求したという報道が出たことは偶然とは思えない。北朝鮮の非核化を進める上でも、日本の核武装を牽制する必要があったのだろう。しかし日本は核武装できるのだろうか。 もちろ

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑