1980年代のテネシー川流域での原発運転停止による石炭火力発電および乳児の健康に対する影響
nature.com 4月3日公開。「Impacts of nuclear plant shutdown on coal-fired power generation and infant health in the Tennessee Valley in the 1980s」の要旨翻訳 。
2011年3月の福島原発事故は深刻な社会不安と原発の将来についての不確実性を引き起こした。しかしながら、化石燃料発電所と異なり、原子力発電所が発電中に生み出す温室効果ガスや大気汚染物質は事実上ゼロである。これから示すのは、1980年代のテネシー川流域開発公社 (TVA) による 原子力発電所の一時閉鎖という状況が大気汚染および乳児の健康にもたらした影響である。1979年のスリーマイル島原発事故ののち、アメリカ合衆国原子力規制委員会が全国での調査を強化したことでTVA地域の大型原子力発電所2基が停止される事態となった。この停止に応じて、TVA内の発電は1対1の関係で石炭火力発電へとシフトしたが、その所在地となる郡の中では粒子汚染が増加した。その結果、影響を受けた場所のほとんどで乳児の健康が損なわれた可能性があることから、公衆衛生に対する悪影響が示唆されている。

関連記事
-
JR東海の葛西敬之会長が日本原子力学会シニアネットワーク連絡会のシンポジウム「原子力は信頼を回復できるか?」で8月3日に行った講演の要旨は次の通り。
-
村上敬亮資源エネルギー庁新エネルギー対策課長に、FITの成果と問題点について聞いた。
-
アゴラ研究所、またその運営するエネルギー問題のバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)は、9月27日に静岡市で常葉大学と共催で、第3回アゴラ・シンポジウム『災害のリスク 東日本大震災に何を学ぶか』を行った。
-
5月公表。本日公開記事の関連。遺伝子組み換え作物についての現状をまとめ整理している。
-
8月公表のリポート。ドイツの石炭の使用増で、他地域より同国の健康被害の統計が増加しているという。
-
東日本大震災による東京電力・福島第一原子力発電所の事故の煽りを受けて、日本の全ての原子力発電所が定期検査などの後に再稼働できない“塩漬け”状態が続いている。
-
世界の天然ガス情勢に大きな影響を及ぼしている北米のシェールガス革命。この動きを、経産省・資源エネルギー庁はどのように分析し、その変化を日本にどう取り込もうとしているのか。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間