原子力発電所の輸出問題

2019年02月19日 20:00
アバター画像
NPO法人パブリック・アウトリーチ・上席研究員 元東京大学特任教授

はじめに

日立の英国原発凍結問題を機に原子力発電所の輸出問題が話題になることが多いので原発輸出問題を論考した。

原発輸出の歴史

原子力発電所の輸出国は図1の通りである。最初は英国のガス炉(GCR)が日本、イタリアに導入されたが、その後は米国の軽水炉PWRとBWRが日本を始め世界中に導入された。その後はロシア型PWR、VVERとフランス型PWR、M310、EPRと続いて現在は中国型PWR、CNP300/CAP1400や華龍1号(100万kW級)が主役になりつつある。主要輸出国5ヵ国を見て、共通点を思いつかない読者はいないだろう。そう、核保有5ヵ国である。偶然なのか必然なのかは判らぬが、同じである。偶然だろうが言うまでもなく日本は核保有国ではない。

原子炉輸出国の保有技術

各国の輸出企業の保有技術を比べると表1のとおりである。もちろん現時点の技術ではなく、原発輸出最盛期のものである。各国の主要な原発輸出企業はいずれも原発建設と原発運転の両方の実績を有している。日本の重電三社はいずれも原発運転実績を持っていない。だから運転を含む案件の受注を目指す場合、日本の重電三社はどうしても運転技術を持つ電力会社の協力が欠かせない。

フランスの新体制について

最後は原発輸出拡大に意欲を燃やすフランスの新体制である(図2)。周知のとおりフランスはフィンランドで大幅赤字を出す見込みである。そのため、アレバは昨年組織替えしてフィンランド3号機建設部門をアレバSAとして切り離し、原発輸出部門をオラノとフラマトムと改称した。中国からの出資申し出を断って日本の2社からの出資を受け入れたことが新体制の目玉のようだ。

以上

This page as PDF
アバター画像
NPO法人パブリック・アウトリーチ・上席研究員 元東京大学特任教授

関連記事

  • (GEPR編集部より)この論文は、日本学術会議の機関誌『学術の動向 2014年7月号』の特集「社会が受け入れられるリスクとは何か」から転載をさせていただいた。許可をいただいた中西準子氏、同誌編集部に感謝を申し上げる。1.リスク受容の課題ここで述べるリスク受容の課題は、筆者がリスク評価研究を始めた時からのもので、むしろその課題があるからこそ、リスク評価の体系を作る必要を感じ研究を始めた筆者にとって、ここ20年間くらいの中心的課題である。
  • 熊本県、大分県を中心に地震が続く。それが止まり被災者の方の生活が再建されることを祈りたい。問題がある。九州電力川内原発(鹿児島県)の稼動中の2基の原子炉をめぐり、止めるべきと、主張する人たちがいる。
  • 不正のデパート・関電 6月28日、今年の関西電力の株主総会は、予想された通り大荒れ模様となった。 その理由は、電力商売の競争相手である新電力の顧客情報ののぞき見(不正閲覧)や、同業他社3社とのカルテルを結んでいたことにあ
  • 新型コロナ騒動は客観的には大勢が決したと思うが、世論は意外に動かない。NHK世論調査では「緊急事態宣言を出すべきだ」と答えた人が57%にのぼった。きょう出るとみられる指定感染症の見直しについても、マスコミでは否定的な意見
  • 東京電力福島第1原発での事故を起こした1−4号機では、原子炉を覆う建屋の片付け作業が続いている。最終的には炉心にあるデブリ(小さなごみ)、溶解した燃料棒を取り出し、炉を解体した形での廃炉を目指す。
  • 昨年11月、チェルノブイリ原発とウクライナ政変を視察するツアーに参加した。印象に残ったことがある。1986年の原発事故を経験したのにもかかわらず、ウクライナの人々が原発を容認していたことだ。
  • 言論アリーナ「日米原子力協定の裏側」を公開しました。 番組はこちらから。 来年7月で30年の期限が来る日米原子力協定が「自動延長」されるかどうか注目されています。これはエネルギー問題だけではなく、日米同盟の核戦略ともから
  • 12月1日付GEPRに山家公雄氏の解説記事(「再エネ、健全な成長のために」)が掲載されており、「固定価格買取制度(FIT)とグリッド&マーケット・オペレートが再エネ健全推進の車の両輪である」との理論が展開されている。しかしドイツなど先行国の実例を見ても再エネの健全な推進は決して実現していない。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑