カナダ熱波に熱海豪雨だが地球の気温は下がったままだ
カナダが熱波に見舞われていて、熱海では豪雨で土砂災害が起きた。さっそく地球温暖化のせいにするコメンテーターや自称有識者が溢れている。
けれども地球の気温はだいだい20年前の水準に戻ったままだ。

sankai/iStock
図は人工衛星による地球の大気圏全体(正確には地上から上空約9000mまで)の気温の観測データ。

人工衛星による地球の大気圏全体の気温の観測データ
2021年6月の気温は1990年から2020年までの平均値と比較して-0.01℃となっている。2016年以降のエルニーニョ現象が終わり、ラニーニャ現象が起きて気温は3月ごろから急降下した。
地域別にはムラがある。米国本土では+1.44℃だった。これは人工衛星での40年余の観測史上で最も高かった。カナダの熱波の影響もここに出ているのだろう。カナダの熱波は地球温暖化ではなく地域的な気象の変化だったということだ。
熱海の豪雨も地球の気温が上がっていない以上、地球温暖化のせいの筈がない。
さて地球平均で気温が上がっていないならば、暑い場所があれば寒い場所もあるということだ。
じっさいの所、南極地域(=南緯60℃以南)は-1.25℃で、歴史上2番目に寒かった。ペンギンも凍える寒さ(?)に思いを馳せて、日本の夏を乗り切ろう!
■
関連記事
-
欧州のエネルギー環境関係者とエネルギー転換について話をすると、判で押したように「気候変動に対応するためにはグリーンエネルギーが必要だ。再生可能エネルギーを中心にエネルギー転換を行えば産業界も家庭部門も低廉なエネルギー価格
-
菅首相が10月26日の所信表明演説で、「2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す」旨を宣言した。 1 なぜ宣言するに至ったか? このような「2050年ゼロ宣言」は、近年になって、西欧諸国
-
すべての国が参加する枠組みであるパリ協定の合意という成果を挙げたCOP21(国連・気候変動枠組み条約第21回締約国会議)。そして今後の国内対策を示す地球温暖化対策計画(温対計画)の策定作業も始まった。この影響はどのように日本の産業界、そしてエネルギー業界に及ぶのか。3人の専門家を招き分析した。
-
東日本大震災から、3月11日で1年が経過しました。復興は次第に進んでいます。しかし原発事故が社会に悪影響を与え続けています。
-
北海道はこれから冬を迎えるが、地震で壊れた苫東厚真発電所の全面復旧は10月末になる見通しだ。この冬は老朽火力も総動員しなければならないが、大きな火力が落ちると、また大停電するおそれがある。根本的な問題は泊原発(207万k
-
はじめに述べたようにいま、ポスト京都議定書の地球温暖化対策についての国際協議が迷走している。その中で日本の国内世論は京都議定書の制定に積極的に関わった日本の責任として、何としてでも、今後のCO2 排出枠組み国際協議の場で積極的な役割を果たすべきだと訴える。
-
原子力の論点、使用済核燃料問題についてのコラムを紹介します。
-
「必要なエネルギーを安く、大量に、安全に使えるようにするにはどうすればよいのか」。エネルギー問題では、このような全体像を考える問いが必要だ。それなのに論点の一つにすぎない原発の是非にばかり関心が向く。そして原子力規制委員会は原発の安全を考える際に、考慮の対象の一つにすぎない活断層のみに注目する規制を進めている。部分ごとしか見ない、最近のエネルギー政策の議論の姿は適切なのだろうか。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間














