カナダ熱波に熱海豪雨だが地球の気温は下がったままだ

2021年07月10日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

カナダが熱波に見舞われていて、熱海では豪雨で土砂災害が起きた。さっそく地球温暖化のせいにするコメンテーターや自称有識者が溢れている。

けれども地球の気温はだいだい20年前の水準に戻ったままだ。

sankai/iStock

図は人工衛星による地球の大気圏全体(正確には地上から上空約9000mまで)の気温の観測データ

人工衛星による地球の大気圏全体の気温の観測データ

2021年6月の気温は1990年から2020年までの平均値と比較して-0.01℃となっている。2016年以降のエルニーニョ現象が終わり、ラニーニャ現象が起きて気温は3月ごろから急降下した。

地域別にはムラがある。米国本土では+1.44℃だった。これは人工衛星での40年余の観測史上で最も高かった。カナダの熱波の影響もここに出ているのだろう。カナダの熱波は地球温暖化ではなく地域的な気象の変化だったということだ。

熱海の豪雨も地球の気温が上がっていない以上、地球温暖化のせいの筈がない。

さて地球平均で気温が上がっていないならば、暑い場所があれば寒い場所もあるということだ。

じっさいの所、南極地域(=南緯60℃以南)は-1.25℃で、歴史上2番目に寒かった。ペンギンも凍える寒さ(?)に思いを馳せて、日本の夏を乗り切ろう!

クリックするとリンクに飛びます。

「脱炭素」は嘘だらけ

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 4月29日、トランプ大統領は就任100日目にあたり、ミシガン州で支持者を前に演説し、「私たちの国の歴史上、最も成功した政権の最初の100日間を祝うためにここにいる。毎週、不法移民の流入を終わらせ、雇用を取り戻している」と
  • 福島の「処理水」の問題は「決められない日本」を象徴する病理現象である。福島第一原発にある100万トンの水のほとんどは飲料水の水質基準を満たすので、そのまま流してもかまわない。トリチウムは技術的に除去できないので、薄めて流
  • 私は友人と設計事務所を経営しつつ、山形にある東北芸術工科大学で建築を教えている。自然豊かな山形の地だからできることは何かを考え始め、自然の力を利用し、環境に負荷をかけないカーボンニュートラルハウスの研究に行き着いた。
  • (見解は2016年11月25日時点。筆者は元経産省官房審議官(国際エネルギー・気候変動交渉担当)) (IEEI版) 前回(「トランプ政権での米国のエネルギー・温暖化政策は?」)の投稿では、トランプ政権が米国のエネルギー・
  • 広野町に帰還してもう3年6ヶ月も経った。私は、3・11の前から、このままでは良くないと思い、新しい街づくりを進めてきた。だから、真っ先に帰還を決意した。そんな私の運営するNPOハッピーロードネットには、福島第一原子力発電所で日々作業に従事している若者が、時々立ち寄っていく。
  • 元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 日本では「ノーベル賞」は、格別に尊い存在と見なされている。毎年、ノーベル賞発表時期になるとマスコミは予想段階から大騒ぎで、日本人が受賞ともなると、さらに大変なお祭り騒ぎになる。
  • 米ホワイトハウスは、中国などCO2規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税を課す「国境炭素税」について、支持を見合わせている(ロイター英文記事、同抄訳記事)。(国境炭素税について詳しくは手塚氏記事を参照) バイデン大統領は
  • めまいがしそうです。 【スクープ】今冬の「節電プログラム」、電力会社など250社超参戦へ(ダイヤモンド・オンライン) 補助金適用までのフローとしては、企業からの申請後、条件を満たす節電プログラム内容であるかどうかなどを事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑