ウクライナの戦時に相次ぐインフラの「不具合」

yangphoto/iStock
2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、世界各地でインフラの「不具合」が相次いでいる。サイバー攻撃が関与しているのか、原因は定かではないが・・・。
1. ドイツの風力発電
ドイツでは、2022年3月4日時点で、約6000基の風力発電機(総発電容量11ギガワット)の事業者が、風力発電機にアクセスできず、リモートコントロールができない状況に陥った。
ヨーロッパ全域で影響を受けたタービンは、衛星の故障のため、一種の緊急モードとして厳しく制限された形でしか稼働していない。原因は、ロシアのウクライナ攻撃とほぼ同時に発生した衛星インターネットの不具合である。
衛星システムの不具合の原因については不明。この通信システムは、ヨーロッパ全土の約3万台の衛星端末で利用されているほか、多くの産業で利用されている。
誤作動の引き金は、ハッカーによる攻撃、送信信号の妨害、ウクライナの地上局の破壊などが考えられる。
2. 台湾で大規模停電
米国のトランプ政権で国務長官を務めたポンペオ氏らの一団の歴史的な訪台中だった。この停電のため、ポンペオ氏と蔡英文相当の会談のライブ配信は中断された。

ロイターより
3. トヨタの全工場停止
トヨタは、取引先の部品メーカーのシステム障害の影響で3月1日に全工場の稼働を停止した。サイバー攻撃を受け、それへの対応を行ったもの。

NHKより
4. 米国ガス会社へのサイバー攻撃
米国Fox Newsの取材によると、2月上旬に、液化天然ガス(LNG)の生産に関わるアメリカ企業20社近くがハッカーの攻撃を受けたらしい。
標的になったのはシェブロン社やシェニエール・エナジー社を含む21社のアメリカ企業。米政府当局は、この攻撃がロシアから発せられたものであることの確認作業を行っている。
◇
上記のうち、サイバー攻撃であるとはっきり判明しているのは、トヨタの件のみだ。だが、こうも相次ぐと、心穏やかではいられない。
■

関連記事
-
NHKで流れた福島原発事故の映像、ここに使用済核燃料が保管され一時的にその溶融の危険が指摘された。
-
福島原発事故を受けて、放射能をめぐる不安は、根強く残ります。それは当然としても、過度な不安が社会残ることで、冷静な議論が行えないなどの弊害が残ります。
-
シンクタンク「クリンテル」がIPCC報告書を批判的に精査した結果をまとめた論文を2023年4月に発表した。その中から、まだこの連載で取り上げていなかった論点を紹介しよう。 ■ IPCC報告における将来の海面上昇予測が地点
-
昨年夏からこの春にかけて、IPCCの第6次報告が出そろった(第1部会:気候の科学、第2部会:環境影響、第3部会:排出削減)。 何度かに分けて、気になった論点をまとめていこう。 気候モデルが過去を再現できないという話は何度
-
北海道はこれから冬を迎えるが、地震で壊れた苫東厚真発電所の全面復旧は10月末になる見通しだ。この冬は老朽火力も総動員しなければならないが、大きな火力が落ちると、また大停電するおそれがある。根本的な問題は泊原発(207万k
-
3月10日から久しぶりに米国ニューヨーク・ワシントンを訪れてきた。トランプ政権2.0が起動してから50日余りがたち、次々と繰り出される関税を含む極端な大統領令に沸く(翻弄される)米国の様子について、訪問先の企業関係者や政
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 論点⑳では、「政策決定者向け要約」の書きぶりが針小棒大に
-
「国民的議論」とは便利な言葉だ。しかし、実際のところ何を表しているのか不明確。そのうえ、仮にそれに実体があるとしても、その集約方法についてコンセンサスがあるとは思えない。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間