悪意ある再エネ事業者が停電を起こす危惧
![](https://agora-web.jp/cms/wp-content/uploads/2022/06/iStock-665322756-660x440.jpg)
baphotte/iStock
「再エネ発電の一部で規律に課題、停電に至ったケースも」と電気新聞が報じている:
送配電網協議会は6日、経済産業省などが開いた再生可能エネルギーの事業規律を強化するための有識者会合で、一部再エネ発電事業者の運用や工事面の問題を提起した。運用面では、給電指令を受けた再エネ事業者の認識不足と機器の誤操作で、系統が停電したケースがあったと報告。
説明しよう。再エネ事業者は、送電線・配電線を管理する送配電事業者の指令に従って、発電した電気を送電する。工事中の時などは、指令があれば、スイッチを切らねばならない。
この電気新聞記事は、その指令に誤って従わなかった事業者がいて、停電が発生した、としている。
さて今回は再エネ事業者の「規律」の問題として扱われているが、もしもこの再エネ事業者が「悪意」を持っていたらどうするのか。
かつては、電気事業者は日本の大企業ばかりだから、そんな心配は無かった。だが電力自由化と再エネ大量導入によって多数の事業者が参入した。中国系の企業も多い。
現代の戦争は「ハイブリッド戦争」であり、武力による攻撃に並行してインフラを攻撃するのは世界の常識になっている。
太陽光・風力を大量導入した結果、いまや日本の多くの地域で、瞬間的ではあるが電力供給の半分以上、九州に至っては7割を太陽・風力が占めることがある。図の最下段の赤枠がそれにあたる:
![](https://agora-web.jp/cms/wp-content/uploads/2022/06/8cce8968310479500f16202faa25fedd-660x453.png)
図 経産省資料
このうちのいったいどれだけが中国系の企業なのか?
それが一斉に、悪意を持って、送配電事業者に従わず、本国の命令によって送配電網の攪乱を試みたらどうなるのか。例えば一斉に出力を落とすとか、あるいは過剰に出力する。他にも電気的に攪乱する様々な方法がありうるのではないか。同時多発的に各地で停電を起こしたり、その復旧を妨害することで日本を混乱に陥れ、それに乗じて攻撃をしてくる可能性は無いのか。
杞憂であることを祈りたいが、早急に、実態の調査と対策が必要ではないか。
■
![This page as PDF](https://www.gepr.org/wp-content/plugins/wp-mpdf/pdf.png)
関連記事
-
バイデン政権は温暖化防止を政権の重要政策と位置づけ、発足直後には主要国40ヵ国の首脳による気候サミットを開催し、参加国に2050年カーボンニュートラルへのコミットや、それと整合的な形での2030年目標の引き上げを迫ってき
-
シンクタンク「クリンテル」がIPCC報告書を批判的に精査した結果をまとめた論文を2023年4月に発表した。その中から、まだこの連載で取り上げていなかった論点を紹介しよう。 ■ IPCCでは北半球の4月の積雪面積(Snow
-
原子力規制委員会、その下部機関である原子力規制庁による活断層審査の混乱が2年半続いている。日本原電の敦賀原発では原子炉の下に活断層がある可能性を主張する規制委に、同社が反論して結論が出ない。東北電力東通原発でも同じことが起こっている。調べるほどこの騒動は「ばかばかしい」。これによって原子炉の安全が向上しているとは思えないし、無駄な損害を電力会社と国民に与えている。
-
GEPRを運営するアゴラ研究所は、エネルギーシンポジウムを11月26、27日の両日に渡って開催します。山積する課題を、第一線の専門家を集めて語り合います。詳細は以下の告知記事をご覧ください。ご視聴をよろしくお願いします。
-
米国が最近のシェールガス、シェールオイルの生産ブームによって将来エネルギー(石油・ガス)の輸入国でなくなり、これまで国の目標であるエネルギー独立(Energy Independence)が達成できるという報道がなされ、多くの人々がそれを信じている。本当に生産は増え続けるのであろうか?
-
言論アリーナ「エネルギー問題の先送りはもうやめよう」を公開しました。 ほかの番組はこちらから。 新潟県知事選挙では与党推薦の花角候補が辛勝し、柏崎刈羽原発の再稼動に道が開けました。しかし原子力には積み残した問題が多く、前
-
昨年3月11日以降、福島第一原子力発電所の事故を受け、「リスクコミュニケーション」という言葉を耳にする機会が増えた。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギー調査機関の「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間