電力値上げ6社目、中部電力の申請を分析=原発停止の影響を見る

2014年04月21日 11:00
アバター画像
政策家

「霞が関政策総研」版 

東日本大震災による東京電力・福島第一原子力発電所の事故の煽りを受けて、日本の全ての原子力発電所が定期検査などの後に再稼働できない“塩漬け”状態が続いている。

それによる火力発電の増加に伴う追加燃料費の購入量の激増により、電気料金値上げに至ったのは既に6社。今日の「物価問題に関する関係閣僚会議」を経て、経済産業省は新たに中部電力の電気料金値上げを認可した。

申請内容は下の資料1の通り。東京電力以外の電力会社は、中部電力も含めて事故を起こしたわけでもないのに、原子力発電所の再稼働ができない。人件費などで大幅な費用圧縮を強いられていることには同情を禁じ得ない。

下の資料2のような査定の結果、家庭用など規制部門は3・77%の値上げ、産業用など自由化部門は7.21%の値上げとなる。

原価構成のうち、最重要なのは燃料費である。資料2にあるように、LNGについて、「原価算定期間中に価格改定される契約で最も安価なものと北米の天然ガス価格にリンクした価格を併用」とある。この査定方針は他の電力6社の値上げ認可の査定方針と同じような内容。非常に楽観的だが、今はこうした方針にならざるを得ない。

忘れてはならなのが、浜岡原子力発電所の動向に関して。下の概要資料には記載されていないが、詳細な査定方針では、「安全を確保しつつ地元の理解を前提として、原価算定期間において、浜岡原子力発電所3号機が平成29年(2017年)1月、同4号機が平成28年(2016年)1月から再稼働されることを仮定している」と記述されている。

浜岡原子力発電所では、1号機と2号機は廃炉が決定しているが、3号機(1987年~、110万kW)・4号機(1993年~、113・7kW)・5号機(2005年~、138万kW)は稼働可能だ。

この査定方針を見るに、3号機と4号機の“塩漬け”状態は今しばらく続く見込みだ。5号機に至っては、見通しすら立てられていない。中部電力管内でも、化石燃料代が徒らに国外逃避する事態はまだまだ続くことになる。

いつまでもこんなことを続けるべきではない。浜岡原子力発電所も含め、原子力発電再開に関する政府による英断が即刻必要である。

<資料1>

<資料2>

資料出所はいずれも経済産業省資料

(2014年4月21日掲載)

This page as PDF

関連記事

  • スマートジャパン
    スマートジャパン 3月14日記事。環境省が石炭火力発電所の新設に難色を示し続けている。国のCO2排出量の削減に影響を及ぼすからだ。しかし最終的な判断を担う経済産業省は容認する姿勢で、事業者が建設計画を変更する可能性は小さい。世界の主要国が石炭火力発電の縮小に向かう中、日本政府の方針は中途半端なままである。
  • 10月最終週に「朝まで生テレビ」に出た(その日は直前収録だったが)。原発政策がそのテーマだったが、自分の印象では、そのほとんどの時間が東京電力の法的整理論に関する議論に費やされたような気がする。出演者の方々のほとんどが法的整理に賛成で、私一人が消極的意見を述べ、周りから集中砲火を浴びた。
  • 「その1」「その2」に続いて、経済産業省・総合エネルギー調査会総合部会「電力システム改革専門委員会」の報告書を委員長としてとりまとめた伊藤元重・東京大学大学院経済学研究科教授が本年4月に公開した論考“日本の電力システムを創造的に破壊すべき3つの理由(上・下)について、私見を述べていきたい。
  • 全国の高校生が福島の復興やエネルギー問題を考える「ハイスクール世界サミットin福島」が、8月8日までの3日間、福島県いわき市で開かれた。原子力や再生可能エネルギーの活用、復興を阻む風評被害への対策といった難しいテーマに対し、未来を担う世代が見識を深め、今後も継続して考えていくきっかけとなったようだ。
  • 原発で働く作業者の労働条件の劣悪さや被ばく管理の杜撰さがメディアで取り上げられる際、現場の最前線の作業者が下請、孫請どころかさらにその下に入っている零細企業に雇用され、管理の目が行き届かず使い捨ての状態であると書かれる場合が多い。数次にわたる請負体制は「多層構造」と呼ばれているが、なぜそうなっているかも含め、その実態はあまり知られていない。
  • 5月23日、トランプ大統領は、 “科学におけるゴールドスタンダードを復活させる(Restoring Gold Standard Science)”と題する大統領令に署名した。 日本語(機械翻訳)は
  • NHK
    NHK 3月14日記事。大手電機メーカーの東芝は、巨額損失の原因となったアメリカの原子力事業を手がける子会社のウェスチングハウスについて、株式の過半数の売却などによってグループの連結決算から外し、アメリカの原子力事業からの撤退を目指す方針を明らかにしました。
  • 3月30日、英国の政財界に激震が走った。インドの鉄鋼大手タタ・スチールの取締役会がムンバイで開かれ、同社が持つ英国の鉄鋼事業を売却処理するとの決議を行ったと発表したのである。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑