広島・長崎の原爆の被害者の追跡調査の第14報(英語)

2012年05月21日 12:00

放射線影響研究所による広島・長崎の原爆の被害者の調査で、米学術誌『Radiation Research誌の2012年3月号に掲載された。(英語版)(要約の日本語版

この結果では、低線量被曝(100mSv以下)について、LNTモデル(低線量被曝でも、直線的にがんの発症が増加する)が、放射線のがん死亡への影響をよく説明しているとしています。具体的には、(1)線形モデル、(2)線形+二次モデル、(3)二次モデルを、同研究所の統計と比較して処理すると、1と2が妥当であるというもの。二次モデルとは、この場合にLNT仮説が成立しないとして、いき値(ある水準から増加する)などの考えを取り入れたもの。

同論文は、原爆被曝者ではLNT仮説が健康被害で当てはまることを、以前の被曝者への研究よりも強く示す。しかし、それは低線量の被曝でも即座に健康被害に結びつくことを示すものではなく、また仮説にすぎない。

仮にLNT仮説が成立したとしても、それは他の健康リスクと比べて、低線量被曝の場合にはかなり低いものだ。(100mSvの被曝で、全がんの発生量の増加の相対リスクは1.005)(GEPR記事「放射能のリスクを生活の中のリスクと比較する」)そして低線量被曝についてのこれまでの知見を大きく変えるものではない。(GEPR記事「放射線の健康影響 ― 重要な論文のリサーチ」)

同論文に、アゴラ研究所の池田信夫所長が解説を加えている。

This page as PDF

関連記事

  • 日本は数多くの国と原子力協定を結んでいるが、そのうちで日米原子力協定は歴史も古く、かつ最も重要な協定である。日本の原子力開発は、黎明期から米国との協力を通じて進められ、日米協定はその枠組みを設けるものであった。
  • 今年9月に避難指示の解除になった福島県・楢葉町民は、4年5カ月の避難生活で失った“日常”を取り戻せるのか。政府は、20回に渡る住民懇談会や個別訪問を通じて町民の不安に耳を傾け、帰還を躊躇させる障害を取り除くべく対策を講じてきた。国の支援策の主眼とは何か。高木陽介・経済産業副大臣(原子力災害現地対策本部長)に聞いた。
  • 原子力規制委員会、その下部機関である原子力規制庁による活断層審査の混乱が2年半続いている。日本原電の敦賀原発では原子炉の下に活断層がある可能性を主張する規制委に、同社が反論して結論が出ない。東北電力東通原発でも同じことが起こっている。調べるほどこの騒動は「ばかばかしい」。これによって原子炉の安全が向上しているとは思えないし、無駄な損害を電力会社と国民に与えている。
  • 太陽光発電と風力発電をはじめとする自然変動電源に関しては、発電のタイミングを人為的にコントロールすることができないため、電力の需要と供給のタイミングが必ずしも一致しない。そのためしばしば送配電網の需給調整力の枠を超えた発
  • アリソン教授は、GEPRに「放射線の事実に向き合う?本当にそれほど危険なのか」というコラムを寄稿した。同氏は冷戦構造の中で、原子力エネルギーへの過度な恐怖心が世界に広がったことを指摘した上で、理性的に事実に向き合う必要を強調した。(日本語要旨は近日公開)
  • 国際環境経済研究所(IEEI)版 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が7都府県に発令されてから、およそ3週間が経ちました。様々な自粛要請がなされる中、宣言の解除予定である5月を心待ちにされている方もいらっしゃると思います。
  • 福島第一原発(資源エネルギー庁サイトより)
    ネット上で、この記事が激しい批判を浴びている。朝日新聞福島総局の入社4年目の記者の記事だ。事故の当時は高校生で、新聞も読んでいなかったのだろう。幼稚な事実誤認が満載である。 まず「『原発事故で死亡者は出ていない』と発言し
  • ~厳しすぎる土壌環境基準、環境対策にお金と時間をかけすぎてはいけない~ 豊洲市場に水道はあるの? 小池百合子東京都知事の登場で、豊洲市場予定地の安全問題について、私の周囲にいる高齢者の女性たちの関心も高まり、昨年の秋口は

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑