今週のアップデート — 福島原発の現状(2014年3月3日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク、GEPRはサイトを更新しました。
東京工業大学の澤田哲生助教が東電福島原発を視察しました。その報告です。報道は恐怖ばかりを伝えますが、専門家の視点はなかなか伝わりません。現場の疲弊、しかし秩序の回復が同時に侵攻しているようです。
エネルギー基本計画の原案が2月25日まとまりました。それを論評する読売、朝日、毎日3紙の社説を政策家の石川和男さんが分析しています。元記事は石川さんの「霞が関政策総研ブログ」です。
政府のエネルギー基本計画について、アゴラ研究所の池田信夫所長がコメントを示しています。内容が、世論からの批判を怖れ、あいまいであることを批判しています。
4)【映像】原発は新しい安全基準で安全になるのか(言論アリーナ)
東京大学教授の岡本孝司氏、政策家の石川和男氏、アゴラ研究所所長の池田信夫氏の対談です。原子力規制委員会の活動について、批判的に検証しています。アゴラの運営する言論アリーナの番組です。近く内容と要旨を掲載します。
今週のリンク
アゴラに3月1日掲載の池田信夫氏の論考です。再稼動をめぐって、否定的な見方が社会に根強くあります。しかし、このまま再稼動をせずに廃炉にするなら、電力会社への原発停止の国家賠償と電気料金の値上げが不可欠という話を説明しています。
同じくアゴラでの池田信夫氏の論考です。今年3月1日はビキニ水爆実験で日本の静岡県の漁船第五福竜丸が被爆してから60年になります。「死の灰」という言葉が一人歩きし、放射能への恐怖が正確な現状認識を妨げているという指摘です。亡くなった船員の死因は放射能ではなく、輸血による肝炎が原因のようです。
毎日新聞3月1日記事。ビキニ水爆の実験と被爆の事件で、当時の米国政府は日本の反核世論、また米国の国際的な批判の高まりを懸念していました。それを当時の公文書が明らかにしています。核兵器、原子力をめぐる情報は、今でも安全性を隠される懸念があります。私はそれを可能な限り政府に公開させ、監視していかなければなりません。
ハーバードマガジン3—4月号から。原題は「Nuclear Weapons or Democracy」。イレーヌ・スカリーさんというハーバード大学の女性教授(美学・論理学専攻)の”Thermonuclear Monarchy: Choosing Between Democracy and Doom”という本の紹介です。核兵器は人々の大量殺害を引き起こす強力な兵器であり、また秘密性の高いもので、民主主義や米国憲法の精神に本質的に反すると断じています。原子力の情報秘匿の危険性を論じています。
ロイター通信2月27日記事。安倍政権は原発の再稼働について動きが鈍い状況です。そして菅義偉官房長官、茂木敏充経済産業相が、原発の発電比率を3割以下に引き下げることを表明しています。かつてのように原子力の利用拡大を、自民党政権は考えていないようです。

関連記事
-
筆者は数年前から「炭素クレジット・カーボンオフセットは本質的にグリーンウォッシュ」と主張してきました。具体的な問題点についてはこちらの動画で整理していますのでぜひご覧ください。 さて、ここ半年ほどESGコンサルや金融機関
-
NHKニュースを見るとCOP28では化石燃料からの脱却、と書いてあった。 COP28 化石燃料から「脱却を進める」で合意 だが、これはほぼフェイクニュースだ。こう書いてあると、さもCOP28において、全ての国が化石燃料か
-
福島の「処理水」の問題は「決められない日本」を象徴する病理現象である。福島第一原発にある100万トンの水のほとんどは飲料水の水質基準を満たすので、そのまま流してもかまわない。トリチウムは技術的に除去できないので、薄めて流
-
中国国家電網のロゴ問題をきっかけに強い批判を浴びていた内閣府の再エネタスクフォースの廃止が決まった。当然である。根拠法もなく河野太郎氏の集めた「私兵」が他の役所に殴り込み、大林ミカ氏のような活動家がエネルギー基本計画にま
-
3月初めにEUの環境政策関係者に激震が走った。 「欧州グリーンディール」政策の一環として2021年7月にEUが発表した、2030年までに温室効果ガスの排出を90年比55%削減するという極めて野心的な目標をかかげた「FIT
-
今回も嘆かわしい報道をいくつか取り上げる。 いずれも、筆者から見ると、科学・技術の基本法則を無視した「おとぎ話」としか受け取れない。 1. 排ガスは資源 CO2から化学原料を直接合成、実証めざす 排ガスは資源 CO2か
-
大寒波が来ているので、暑くなる話題を一つ。 2022年3月から4月にかけてインドとパキスタンを熱波が襲った。英国ガーディアン紙の見出しは、「インドの殺人的な熱波は気候危機によって30倍も起こりやすくなった(The hea
-
昨年夏からこの春にかけて、IPCCの第6次報告が出そろった(第1部会:気候の科学、第2部会:環境影響、第3部会:排出削減)。 何度かに分けて、気になった論点をまとめていこう。 気候モデルが過去を再現できないという話は何度
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間