イーロン・マスクと対談したドイツ「極右」のエネルギー政策が正論

2025年01月15日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

ドイツのための選択肢(AfD)の党首アリス・バイゼルががイーロン・マスクと対談した動画が話題になっている。オリジナルのXの動画は1200万回再生を超えている。

YouTubeにもアップされている。

AfDは日本だけでなく、世界中のオールドメディアから「極右」呼ばわりされているが、アリス・バイゼルの発言を聞いてもごくマトモなことを言っているだけで、どこが極右なのかさっぱり分からない。

今回の対談では、ドイツのエネルギー政策と移民政策がAfDの2大課題だとした。

エネルギーについて言っていることは簡単で、化石燃料を止め、原子力を止めて、太陽・風力だけに頼るというドイツの「エネルギーヴェンデ(転換)」政策の批判である:

メルケルは、エネルギー政策の基盤を破壊しました。ドイツは原子力発電所を止めてしまった唯一の工業国です。メルケルは、太陽光と風力エネルギーを推進しました。しかし、それだけで工業国を運営することはできません。なぜなら、太陽が照らさず、風が吹かないときには、電気が得られないからです。私たちは、原子力発電を再び増強する必要があります。

メルケル政権や、近年では「信号機連立」政権が、我が国にグリーン政策を強制しました。

これは現実には機能しません。

1つの原子力発電所を風力発電で置き換えるだけで、シュトゥットガルトという主要都市の半分の面積が必要になります。こういった計算をするのに、それほど頭が良くある必要もありません。

しかし、ドイツのエネルギー政策は、正気とは思えない、愚かなことばかりです。

ウクライナ戦争により、ロシアからの天然ガス供給が途絶えました。この危機において、ドイツ政府が何を決めたかご存知ですか? なんと、よりによってその時に、最後の原子力発電所を停止し、さらに電力不足を深刻にしたのです。これは、非常に愚かであるか、自分の国を嫌っているかのどちらかとしか思えない所業です。

全く、おっしゃる通りだ。

おかしいのは、左翼的な「エネルギー転換」政策を推進してきたドイツ政府の方だ。

エネルギー以外の部分についての論評は私はいま控えるけれども、ことエネルギーに関しては、AfDは極右どころかごく普通のことを言っているだけだ。むしろメルケル以来、いま崩壊寸前の信号機連立に至るドイツ政府の方こそ、まるきり極左である。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 眞鍋叔郎氏がノーベル物理学賞を受賞した。祝賀ムードの中、すでに様々な意見が出ているが、あまり知られていないものを紹介しよう。 今回のノーベル物理学賞を猛烈に批判しているのはチェコ人の素粒子物理学者ルボシュ・モトルである。
  • テレビ朝日が8月6日に「ビキニ事件63年目の真実~フクシマの未来予想図~」という番組を放送すると予告している。そのキャプションでは、こう書いている。 ネバダ核実験公文書館で衝撃的な機密文書を多数発掘。ロンゲラップ島民たち
  • ニューヨーク・タイムズ
    6月30日記事。環境研究者のマイケル・シェレンベルガー氏の寄稿。ディアプロ・キャニオン原発の閉鎖で、化石燃料の消費が拡大するという指摘だ。原題「How Not to Deal With Climate Change」。
  • ちょっとした不注意・・・なのか 大林ミカさん(自然エネルギー財団事務局長)が一躍時の人となっている。中国企業の透かしロゴ入り資料が問題化されて深刻度を増しているという。 大林さんは再生可能エネルギーの普及拡大を目指して規
  • 菅首相の所信表明演説を受けて、政府の温暖化対策見直しの作業が本格化すると予想される。いま政府の方針は「石炭火力発電を縮小」する一方で「洋上風力発電を拡大」する、としている。他方で「原子力の再稼働」の話は相変わらずよく見え
  • 日経ビジネス
    6月21日記事。ドイツ在住の日系ビジネスコンサルタントの寄稿。筆者は再エネ拡充と脱原発を評価する立場のようだが、それでも多くの問題を抱えていることを指摘している。中でも電力料金の上昇と、電力配電系統の未整備の問題があるという。
  • ここは事故を起こした東京福島第一原発の約20キロメートル以遠の北にある。震災前に約7万人の人がいたが、2月末時点で、約6万4000人まで減少。震災では、地震、津波で1032人の方が死者・行方不明者が出ている。その上に、原子力災害が重なった。
  • 原子力規制委員会は、日本原電敦賀2号機について「重要施設の直下に活断層がある」との「有識者調査」の最終評価書を受け取った。敦賀2号機については、これで運転再開の可能性はなくなり、廃炉が決まった。しかしこの有識者会合なるものは単なるアドバイザーであり、この評価書には法的拘束力がない。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑