再エネ賦課金と原子力停止が電気料金高騰の元凶

Stefan Pinter/iStock
日本の電気料金は高騰を続けてきた。政府は、産業用及び家庭用の電気料金推移について、2022年度分までを公表している。
この原因は①原子力停止、②再エネ賦課金、③化石燃料価格高騰なのだが、今回は、これを数値的に要因分解してみた。
まず3つの要素の経緯を見てみよう。
第1に、再エネ賦課金の推移である。これは一本調子に増え続けた。

第2に、原子力停止の状況である。2011年の東日本大震災以来、再稼働は遅々として進まず、原子力発電電力量は低迷を続けてきた。

第3に、化石燃料価格は、上下してきたが、2021年から22年にかけては高騰した。石炭・天然ガス・石油それぞれについて、日本の輸入価格(CIF価格)と燃料別の発電電力量を用いて平均燃料費を求めると、以下のような推移を示してきた。

以上のデータを用いて、この期間中(2010年から2022年)における電気料金上昇についての要因分解を行う。
手順としては、まず再エネ賦課金の寄与ははっきりしている。次いで、原子力停止と化石燃料価格上昇の影響を計算するのだが、これは計算する順序によって答えが変わらないように、Shapley平均要因分解という手法で案分する。以上3つの合計を、産業用・家庭用電気料金の実績値から差し引いたものを、「交絡・残余」として求める。
結果は、産業用・家庭用について以下のようになる。


交絡・残余項がマイナスの場合の図示がうまく出来ていないが、詳しくは数値を見て頂くことでご勘弁願いたい。
両図を見ると、産業用・家庭用共に結論は共通で、再エネ賦課金、そして原子力停止が電気料金上昇の底堅い要因になっていることが分かる。
もちろん、化石燃料価格が上下することでも電気料金は大きく影響を受け、とくにウクライナでの戦争が勃発した2022年には電気料金の急激な高騰を招いた。ただし、その後、執筆現在(2025年7月)になると、化石燃料価格はかなり落ち着いてきた。
その一方で、再エネに関しては、日本政府は第7次エネルギー基本計画において2040年には発電構成の4~5割を再エネで賄うとしている。再エネは現状では2割であり、しかもそのうち半分にあたる1割は水力なので、これは太陽光・風力発電等を現状の3~4倍にすると言う意味になる。
これを本当に実現するとなると、バッテリー導入や送電線建設の費用など、系統統合費用も大きくなり、負担はこれまでの再エネ賦課金を遥かに超えるだろう。これは今後一層の電気料金高騰を招くのではないかと筆者は危惧している。
■
関連記事
-
今回の大停電では、マスコミの劣化が激しい。ワイドショーは「泊原発で外部電源が喪失した!」と騒いでいるが、これは単なる停電のことだ。泊が運転していれば、もともと外部電源は必要ない。泊は緊急停止すると断定している記事もあるが
-
15年2月に、総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループで、高レベル放射性廃棄物の最終処分法に基づく基本方針の改定案が大筋合意された
-
スマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO(ゴー)」。関係なさそうな話だが、原子力やエネルギーインフラの安全についての懸念を引き起こす出来事が、このゲームによって発生している。
-
「カナダの存続は米国のおかげではない」カーニー氏、トランプ氏に反論 カーニー氏は20日、ダボス会議で米国主導の世界統治システムが、大国間の競争とルールに基づく秩序の「衰退」を特徴とする「破裂」に直面していると率直に語り、
-
「エネルギー資源小国の日本では、国策で開発したナトリウム冷却高速炉の技術を次代に継承して実用化させなければならない。それには高速増殖原型炉『もんじゅ』を運転して、技術力を維持しなければならない。軽水炉の運転で生ずるプルトニウムと劣化ウランを減らすためにも、ナトリウム冷却高速炉の実用化が必要だ」
-
この3月に米国エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(EIA)が米国のエネルギー予測「Annual Energy Outlook」(AEO)を発表した(AEOホームページ、解説記事)。 この予測で最も重視されるのは、現
-
3.11福島原発事故から二年半。その後遺症はいまだに癒えておらず、原子力に対する逆風は一向に弱まっていない。このような状況で、原子力の必要性を口にしただけで、反原発派から直ちに「御用学者」呼ばわりされ、個人攻撃に近い非難、誹謗の対象となる。それゆえ、冒頭で敢えて一言言わせていただく。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















