トランプの公約①:アメリカの光熱費を世界一安くする

2024年02月08日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

「もしトランプ」が大統領になったら、エネルギー環境政策がどうなるか、これははっきりしている。トランプ大統領のホームページに動画が公開されている。全47本のうち3本がエネルギー環境に関することだから、トランプ政権はこの問題を重要視していることが分かる。3回にわたって見てゆこう。

トランプ前大統領HPより

まずはこの動画。

アメリカを地球上で1番エネルギー・電力コストの低い国にする

一言で要約すると、「風力などはダメで、石炭、石油、天然ガス、原子力、水力などを導入し、また電気自動車の強制を止め、世界一安価な光熱費を目指す。それでアメリカは繁栄する」、というものだ。

以下、演説の抄訳を付けておこう:

私たちは手頃な価格のエネルギーを手に入れなければならない。今、私たちが手にしているエネルギーは、弱く、標準以下であり、値段も手頃ではない。風力発電だ。風車は錆びる。腐敗する。鳥を殺す。最も高価なエネルギーだ。その他にもダメなものがある。これはグリーン・ニューディールと呼ばれ、私はグリーン・ニュー・デマと呼んでいる。

バイデンのアメリカン・エネルギー戦争は価格を高騰させ、彼の最新の行動はそれを壊滅的に悪化させるだろう。これまで見たこともないようなレベルで悪化するだろう。これはとても悪いことだ。バイデンが新たに提案した発電所規制では、ほとんどの天然ガス・石炭発電所は操業停止に追い込まれるだろう。

ところで、彼らはドイツでそれを試したが、今はまた戻ってあちこちに石炭発電所を建設している。ドイツは破壊されたのだ。ドイツにはエネルギーがない。ドイツは今、2週間ごとに石炭発電所を建設している。中国は毎週石炭発電所を建設している。毎週毎週、新しい石炭発電所を建設している。そして私たちは風とゲームをしている。

私は大統領として、アメリカが地球上のどの工業国よりもエネルギーコストが低いナンバーワンの国になるという国家目標を設定する。私はナンバーワンになりたい。

ほんの3年前まではエネルギー面で自立していた。そして今、私たちはベネズエラに石油を懇願している。それなのに、私たちは他のどの国よりも何倍も石油を持っている。サウジアラビア、ロシア、どの国も、私たちが持っているものを持っていない。私たちは、アメリカの石油や天然ガスを含む、私たちの足元にある黄金の液体を開発し、原子力、クリーンな石炭、素晴らしい水力発電、その他あらゆる形態の手ごろなエネルギーを導入して、それを成し遂げるつもりです。

私は、バイデンの破滅的な発電所規制を中止し、彼の電気自動車義務化を中止する–電気自動車を買いたいなら、それはそれで構わないが、他のあらゆる形態の自動車も買えるようになる–そして、かつてないほど国内のエネルギー生産を解き放つ。

私は、次の100年に備えて送電網を完全に近代化し、迅速な電力供給を実施する。

そして、実際に機能する何百、何千、何万もの真新しい美しい発電所の建設に青信号を灯すのだ。これによって、アメリカの富は莫大な成長を遂げるだろう。

将来、すべての製造工場、データセンター、半導体施設、組立ラインはアメリカで建設されることを望むだろう。すべての製造工場、データセンター、半導体施設、組立ラインはアメリカに建設されることを望むだろう。なぜなら、エネルギーコストが最も安くなるからだ。これは大きな要素だ。エネルギーコストが地球上のどこよりも低く、経済が地球上のどこよりも強く、労働者が世界中のどこよりも優秀な場所となる。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • バイデン大統領は1.5℃を超える地球温暖化は「唯一最大の、人類の存亡に関わる、核戦争よりも重大な」危機であるという発言をしている。米誌ブライトバートが報じている。 同記事に出ている調査結果を見ると「人類存亡の危機」という
  • 福島県内で「震災関連死」と認定された死者数は、県の調べで8月末時点に1539人に上り、地震や津波による直接死者数に迫っている。宮城県の869人や岩手県の413人に比べ福島県の死者数は突出している。除染の遅れによる避難生活の長期化や、将来が見通せないことから来るストレスなどの悪影響がきわめて深刻だ。現在でもなお、14万人を超す避難住民を故郷に戻すことは喫緊の課題だが、それを阻んでいるのが「1mSvの呪縛」だ。「年間1mSv以下でないと安全ではない」との認識が社会的に広く浸透してしまっている。
  • 5月25〜27日にドイツでG7気候・エネルギー大臣会合が開催される。これに先立ち、5月22日の日経新聞に「「脱石炭」孤立深まる日本 G7、米独が歩み寄り-「全廃」削除要求は1カ国-」との記事が掲載された。 議長国のドイツ
  • 前回、防災白書が地球温暖化の悪影響を誇大に書いている、と指摘した。今回はその続き。 白書の令和2年度版には、「激甚化・頻発化する豪雨災害」という特集が組まれている。これはメディアにもウケたようで、「激甚化・頻発化」という
  • 先日のTBS「報道特集」で「有機農業の未来は?」との特集が放送され、YouTubeにも載っている。なかなか刺激的な内容だった。 有機農業とは、農薬や化学肥料を使わずに作物を栽培する農法で、病虫害に遭いやすく収穫量が少ない
  • きのうのシンポジウムでは、やはり動かない原発をどうするかが最大の話題になった。 安倍晋三氏の首相としての業績は不滅である。特に外交・防衛に関して日米安保をタブーとした風潮に挑戦して安保法制をつくったことは他の首相にはでき
  • 2015年のノーベル文学賞をベラルーシの作家、シュベトラーナ・アレクシエービッチ氏が受賞した。彼女の作品は大変重厚で素晴らしいものだ。しかし、その代表作の『チェルノブイリの祈り-未来の物語』(岩波書店)は問題もはらむ。文学と政治の対立を、このエッセイで考えたい。
  • 鈴木達治郎 猿田佐世 [編] 岩波ブックレット 岩波書店/520円(本体) 「なぜ日本は使いもしないプルトニウムをため続けるのか」。 米国のエネルギー政策、原子力関係者に話を聞くと、この質問を筆者らは頻繁に受けるという。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑