今週のアップデート — 電力は変るのか? 通信融合、安定供給の行く末(2012年8月27日)
1) 東京大学公共政策大学院教授の関啓一郎氏に、「電力・通信融合:E&Cの時代へ ― 通信は電力市場へ、電力は通信分野に攻め込めもう!」というコラムを寄稿いただきました。関教授は、総務官僚として日本の情報通信の自由化や政策作成にかかわったあとに、学会に転身しました。
電力の調節を行うスマート・グリッドを使ったエネルギーと通信の融合「E&C」(Energy and Communications)への期待を述べています。かつて日本の花形産業で、今は収益低下に悩むテレビについても「「ネット融合」端末だけでなく「エネルギー」という切り口で捉え直してはどうだろうか」と提案をしています。
2)提携するNPO国際環境経済研究所の澤昭裕所長のコラム「電力供給を支える現場力―関西電力海南発電所の苦闘」を伝えます。老朽化した火力発電所を復活させた、関西電力の取り組みを紹介しています。
GEPRは中立の立場からエネルギー問題を発信しており、その活動で電力会社を一方的に賛美する意図はありません。しかし電力業界で働く人々が、社会のために電力の安定供給のために努力する姿に敬意を持ちます。こうしたことを心に留めながら、エネルギーと電力の問題を考えるべきでしょう。
今週のリンク
1)GEPRは今後、民間有識者による団体「日本エネルギー会議」と協力して、エネルギーをめぐる情報を読者の皆さまに提供していきます。
日本エネルギー会議は「どうする日本!? ― 私たちの将来とエネルギー」というシンポジウムを9月1日に東京工業大学くらまえホール(東京都目黒区)で開催します。これからの社会を担う学生たちによる日本の将来、そしてエネルギーに関する自由討論を行います。東京工業大学工学部原子炉工学研究所助教の澤田哲生さんが代表世話人として議論をまとめます。
参加を希望する方は上記ホームページから連絡をお願いします。
2)中部電力「緊急稼動せよ!武豊火力発電所 電力安定供給の舞台裏」。
浜岡原子力発電所の全号機停止を受け、長期計画停止中だった武豊火力発電所2号機の復旧について、同社がドキュメンタリー風に社内の動きを振り返っています。
3)日本原子力学会「東京電力福島第一原子力発電所事故に関する 調査委員会の発足について」。日本原子力学会が原発事故について2013年中に研究をまとめることを8月17日に公表しました。
4)元東京電力社員の竹内純子さんのコラム「春の嵐の夜に−電力会社社員の「供給本能」を思う」を、GEPRは6月に掲載しました。電力会社の社内文化を紹介したものです。

関連記事
-
東京都の令和7年度予算の審議が始まった。 「世界のモデルとなる脱炭素都市」には3000億円もの予算が計上されている。 内容は、太陽光パネル、住宅断熱、電気自動車、水素供給などなど、補助金のオンパレードだ。 どれもこれも、
-
シンポジウムの第2セッション「原発ゼロは可能か」で、パネリストとして登場する国際環境経済研究所理事・主席研究員の竹内純子さんの論考です。前者はシンポジウム資料、後者は竹内さんが参加した、温暖化をめぐるワルシャワでの国際会議でのルポです。シンポジウムを視聴、参加する皆さまは、ぜひ参考にしてください。
-
福島の原発事故から4年半がたちました。帰還困難区域の解除に伴い、多くの住民の方が今、ご自宅に戻るか戻らないか、という決断を迫られています。「本当に戻って大丈夫なのか」「戻ったら何に気を付ければよいのか」という不安の声もよく聞かれます。
-
アゴラ研究所・GEPRは12月8日にシンポジウム「持続可能なエネルギー戦略を考える」を開催しました。200人の方の参加、そしてニコニコ生放送で4万人の視聴者を集めました。
-
太陽光発電と風力発電はいまや火力や原子力より安くなったという宣伝をよく聞くが、実際はそんなことはない。 複数の補助金や規制の存在が本当のコストを見えにくくしている。また火力発電によるバックアップや送電線増強のコストも、そ
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。 ■ 「要約」に環境影響についての観測の統計が図表で提示されていないのはおかしい、と指摘したが、唯一あったのはこれだ(図TS.6)。 これは、気候
-
12月6日のロイターの記事によれば、米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、国連主導の「Net-Zero Banking Alliance:NZBA(ネットゼロ銀行同盟)」からの離脱を発表したということだ。 米金融機関は
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間