今週のアップデート — 原発事故からの復興のために(2013年3月25日)
今週のアップデート
福島では原子力事故の後で、放射線量を年間被曝線量1ミリシーベルトにする目標を定めました。しかし、この結果、除染は遅々として進まず、復興が遅れています。現状を整理し、その見直しを訴える寄稿を、アゴラ研究所フェローのジャーナリスト、石井孝明氏が行いました。
福島で原発事故と東日本大震災に被災した、元原子力企業勤務の北村俊郎氏のコラムを紹介します。補償と除染が、福島でさまざまな波紋を広げています。
提携する国際環境経済研究所(IEEI)の澤昭裕所長のコラムです。おそらく、社会に熱気が原子力をめぐってないために、自民党政権でも原発推進にならないと分析。だからこそ、批判を受け止め冷静に議論できるのではという期待を述べています。
今週のリンク
1)「東日本大震災2年 除染に思う」
福島県在住の作家、玄侑宗久氏が出演したNHKの放送コラム「視点・論点」の文字起こしです。「正しく怖がること」「(他地域の人が)恐怖でいたずらにストレスをかけないこと」などを居住者の視点で、訴えています。さらに年間被曝量1ミリシーベルト基準にも、必要性について疑問を示しています。
2)「放射性物質の除染と汚染廃棄物処理の課題–福島第一原発事故とその影響・対策」
2013年3月刊行の国立国会図書館の調査リポートです。国会図書館は政策問題のリサーチを行っています。やや古くなりましたが、除染をめぐる状況を概観しています。
元経産省の政策家である石川和男氏は経済誌ウェッジへ寄稿した論考です。電力自由化の名目の下で発送電分離が行われようとしています。しかし現状で合理性はないと石川氏は指摘。かつて電力の規制改革にかかわった経験を活かして、原子力の国の関与の明確化、そして東電の再編を考えながら、業界再編案を示しています
ニューヨーク・タイムズ紙の3月19日記事。元タイトルは「N.R.C. Votes for Upgrades to Some Reactor Vents」。ベント装置の原始炉への設置が5人の委員の3人の反対で否決されました。ベントは原子炉内の圧力が高まった場合に、炉内の蒸気を逃がすことで、福島原発事故でも行われました。日本の原子力規制委員会は一基300億円とされるこの装置の設置を、日本の原発に義務づけようとしています。米国との判断の違いを参考に、日本の政策の合理性を考えるべきでしょう。
関連記事
-
小泉・細川“原発愉快犯”のせいで東京都知事選は、世間の関心を高めた。マスコミにとって重要だったのはいかに公平に広く情報を提供するかだが、はっきりしたのは脱原発新聞の視野の狭さと思考の浅薄さ。都知事選だというのに脱原発に集中した。こんなマスコミで日本の将来は大丈夫かという不安が見えた。佐伯啓思・京大教授は1月27日付産経新聞朝刊のコラムで「原発問題争点にならず」と題して次のように書いた。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
EUの気象情報機関コペルニクス気候変動サービスは、2023年の世界の平均気温が過去最高を記録し、産業革命前より1.48℃高くなったと発表した。 これは気温上昇を1.5℃以内に抑えるというパリ協定の努力目標まであと0.02
-
既にお知らせした「非政府エネルギー基本計画」の11項目の提言について、3回にわたって掲載する。今回は第3回目。 (前回:非政府エネ基本計画②:太陽光とEVは解答ではない) なお報告書の正式名称は「エネルギードミナンス:強
-
「たぶんトランプ」に備えて米国の共和党系シンクタンクは政策提言に忙しい。何しろ政治任命で高級官僚が何千人も入れ替わるから、みな自分事として具体的な政策を考えている。 彼らと議論していると、トランプ大統領になれば、パリ気候
-
崩壊しているのはサンゴでは無く温暖化の御用科学だ グレートバリアリーフには何ら問題は見られない。地球温暖化によってサンゴ礁が失われるという「御用科学」は腐っている(rotten)――オーストラリアで長年にわたりサンゴ礁を
-
「CO2から燃料生産、『バイオ技術』開発支援へ・・政府の温暖化対策の柱に」との報道が出た。岸田首相はバイオ技術にかなり期待しているらしく「バイオ技術に力強く投資する・・新しい資本主義を開く鍵だ」とまで言われたとか。 首相
-
昨年末の衆議院選挙・政権交代によりしばらく休止状態であった、電力システム改革の議論が再開されるようだ。茂木経済産業大臣は、12月26日初閣議後記者会見で、電力システム改革の方向性は維持しつつも、タイムスケジュール、発送電分離や料金規制撤廃等、個々の施策をどのレベルまでどの段階でやるか、といったことについて、新政権として検証する意向を表明している。(参考:茂木経済産業大臣の初閣議後記者会見の概要)
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間